今日の静岡新聞朝刊を開いて「?」と感じました。
中日新聞の記事では、もっと大きな「「」が頭に浮かびました。
「湧水全量戻す設備用意」 リニア工事でJR東海
◆大井川系流量減対策 県の主張のむ
◆大井川系流量減対策 県の主張のむ
リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事に伴う静岡県の大井川水系の流量減少対策について、JR東海の金子慎社長は十三日、「いざとなれば湧水の全量を戻せる設備を用意する」と県側に提案したことを明らかにした。これまで主張が食い違ってきた県側に歩み寄りを見せた形で、対立解消の糸口になる可能性がある。
県側は、トンネル工事で発生する湧水の全量を川に戻すよう求め、JRは工事の影響で川の流量が減った分だけ量って戻すと主張してきた。JR東海によると、今月上旬に新しい提案をした。
JR東海は「湧水全てを川に戻せば戻しすぎになる」とする従来の主張を崩していないが、県側の主張に設備の能力面から応じる。新提案には、工事が原因でなくても渇水期の流量減少時には水を供給する方針も盛り込んだ。
川勝平太知事は十一日、岐阜県各務原市で開かれた中部圏知事会議で「水の問題は深刻。住民には死活問題であり、リニア中央新幹線のメリットが感じられない」などと述べた。金子社長は十三日の定例会見で、知事発言に対する反応を問われて回答した。
金子社長は「環境アセスメントでは工事の減水分を戻せば良いとされ、工事認可を受けた。それでも地元に耳を傾けることが大切だから、誠実に対応している」と再提案の理由を説明。「環境問題に真剣に取り組んでいる」とも述べ、認識不足との批判は当たらないとの見解を示した。
JR東海が県境地下にポンプを設置し、「いざとなれば導水路まで湧水をくみ上げる用意をする」ことを提案したそうです。これを中日新聞では「県の主張をのんだ」と表現しています。あたかもJR東海が譲歩したかのような表現ですけど、違和感を覚えます。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
http://company.jr-central.co.jp/chuoshinkansen/efforts/oigawa_committee/
「必要に応じて導水路トンネル取付位置までトンネル湧水をポンプアップすることにより・・・」と書いてあります。
さらに第4回目の会合(同年11月27日)でも次のような資料を提出しています。
ここでも、「必要に応じて計画路線の湧水を導水路トンネル取付位置までポンプアップすることにより、河川流量の減少を回避することが可能です」としています。
さらに、2017年1月17日にJR東海が静岡県に提出・公表した「平成29年1月 導水路トンネル等に係る調査及び影響検討結果」第1章にも、次のような記述があります。
やはりここにも、「必要に応じて、トンネル湧水を導水路トンネルの取り付け位置までポンプアップすることと考えている。」と書かれており、イメージ図が添えられています。
何のことはない。
トンネル内にポンプを設置して水をくみ上げるという案は、2015年から繰り返されてきているわけです。
冒頭の中日新聞記事によれば、このほど県に対し、「県境地下にポンプを設置し、いざとなれば導水路まで湧水をくみ上げる用意をする」ことを新たに提案したことになっていますが、何が新しいのかさっぱり分かりません。
必要に応じて
が、
いざとなれば
に変わっただけではないでしょうか?