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Channel: リニア中央新幹線 南アルプスに穴を開けちゃっていいのかい?
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新型車両L0系と環境アセスメント

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世代間のギャップについての懸念についてもう一回書こうと思っておりましたが、新たなニュースが入ってきたのでちょっと方向転換。
 
JR東海が、今年9月から2016年度にかけて、山梨実験線にて営業用車両L0系を用いた走行実験をおこなうと発表しています。
 
例えばコレ(読売新聞中部版より引用)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/chubu/news/20130418-OYT8T00199.htm?from=localtop
 JR東海は17日、延伸工事を進めている山梨リニア実験線(山梨県上野原市―笛吹市、42・8キロ)の完成に合わせ、9月から実際の営業で使われる新型車両「L0(エル・ゼロ)系」の試験走行を始めると発表した。
 
 実験線は、2027年に開業予定のリニア中央新幹線の路線の一部で、実験のため先行整備していた18・4キロから東西それぞれに延伸していた。新型車両による試験走行はまず5両編成でスタートし、営業運行で予定している12両に増やす計画。16年度末まで続け、最高時速500キロでの走行や耐久性などを確かめる。
 
 山田佳臣社長は同日の記者会見で、「延伸工事が順調で、当初は今年末からの予定だった試験を前倒しすることができた。L0系の性能を最大限引き出せるようにしたい」と述べた。
 

L0系は新型車両ですし、12両編成で走行実験が行われるのも初めてのことなので、いろいろと新たな知見が得られることとなります。
 
一方でJR東海は、今年2013年秋にはリニア中央新幹線の環境影響評価(アセスメント)準備書を発表すると宣言しています。
(山梨日日新聞)
http://www.sannichi.co.jp/linear/news/2013/04/11/13.html
 
準備書というのは事業に伴う様々な環境への影響を予測・評価し、対策を記載した文書のことであり、当然、列車の走行にともなう騒音、振動、トンネル微気圧波、電力消費、磁界などの影響予測や対策についても言及がなされます。そして準備書に対しては市民や市町村・県知事から意見を提出できることが環境影響評価法で定められています。
 
っていうか、準備書への意見提出が、外部から環境配慮について意見を出せる最後の機会です。準備書が出された後に意見提出のできるのは、環境大臣(つまり環境省)だけと定められています。

準備書が公表される正確な日時はわかりませんが、日程を考えると、L0系・12両編成での走行実験結果が記載されるのは不可能です(そもそも実験終了の2016年度というのは着工予定2014年度よりも2年先!)。ですからこれまでのMLX01等による最大5両編成での走行に基づく予測や対策が記載されることになります。
 
したがって万が一、今後の新型車両12両編成での走行実験で新たな環境への影響が判明し、それへの新たな対応が必要となっても、準備書には反映できなくなってしまい、外部からの法律に基づく意見提出も不可能(事業者側から見れば不要)になってしまいます
 
例えば、12両で走らせてみたら、4両での走行に基づく予想よりも沿線への騒音や磁界なんかが大きいことが判明して路線の規格が若干変更され、準備書での記載内容が有名無実化してしまったけど、誰も法的には何も言えない…なんて事態が、理論上は生じうるわけです

これでは何のための走行実験なのか分からなくなってしまいますし、あるいは環境アセスメントが形骸化してしまうように思われますが、どうなっているのでしょうか?
 
 
「今までの走行実験である程度分かってるから、そんな小さいこと気にすんなよ」
という声が聞こえてきそうですが、「想定外」のことが起こるのがこの国では恒例化してますし、そもそも進め方としておかしいと思います。フツーに考えれば順序は逆です。
 
 
それにしても、なんでこんな懸念が報道されないんだろう?

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