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Channel: リニア中央新幹線 南アルプスに穴を開けちゃっていいのかい?
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ブッポウソウ騒動と林道東俣線での野鳥調査

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長野県内でJR東海によって進められている道路整備事業において、工事現場近傍に営巣していたブッポウソウという野鳥が巣を放棄したことが報告され、一時工事がストップする事態となっています。

7/14 中日新聞
中川のブッポウソウ姿消す リニア工事、一時中断

http://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20180714/CK2018071402000024.html
7/14 信濃毎日新聞
中川のリニア関連トンネル工事中断 ブッポウソウ報告受け

https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20180714/KT180713FTI090019000.php

7/16 ANNnewsCH(YouTube動画)
ブッポウソウが消えた!リニア工事中断

https://youtu.be/kRhMMezrsf8?t=4

ブッポウソウとは青緑色の美しい小鳥でして、初夏に東南アジアから渡ってきて繁殖する夏鳥です。

環境省による全国版カテゴリでは絶滅危惧ⅠBに、長野県版では絶滅危惧ⅠAに指定されており、近い将来における絶滅の危険性が高い種であると判断されています。
http://jpnrdb.com/search.php?mode=region&q=21&k=02&t=f&cd=0216002

リニアの工事車両の通行ルート沿いでは、ある程度まとまった数が繁殖していることが地元の人々によって知られていたようです。

しかしJR東海による環境影響評価では、直接の改変地域のみが調査対象地域とされており、ルート沿いの営巣地は調査対象外でした。しかし最盛期には1日1500台以上の車両が通行するとされていることから、繁殖への影響が懸念され、事業認可後の事後調査として、継続的に生息状況の確認がなされることとなりました。

その結果、JR東海としてもルート沿いでの繁殖を確認することとなります。また、通行ルートとなる県道の拡幅やトンネル新設が長野県事業(事業費の過半はJR東海が出す)として進められることとなり、その結果、長野県が環境保全措置を考案するという形になったようです。

ここが部外者にはややこしいところで、工事をやっているのはJR東海、工事費の7割がたを出しているのもJR東海、なのに環境保全措置は長野県が考案し、それを守るのは施工業者で、ブッポウソウのいなくなった責任を問われているのはJR東海、という構図になっているようです。

※長野県公共事業等環境配慮制度に基づく環境配慮書
https://www.pref.nagano.lg.jp/kankyo/kurashi/kankyo/ekyohyoka/hairyo/index.html

イメージ 1
平成27年度 道路改築事業(中川村)についての公共事業環境配慮書

赤く囲ったように、環境保全措置を考案したのは「長野県の事業部長」という構図になっているようです。「工事計画に反映して、影響の提言を図ります。また、繁殖期、産卵期における工事車両の通行、工程等に配慮し…」とありますが、この姿勢について検証せざるを得なくなったわけです。

この問題はブッポウソウだけでなく、イヌワシ、クマタカ、ミゾゴイといった他の野鳥についてもいえることです。

また、まだ工事が本格化していない段階で野鳥の営巣に影響を及ぼした可能性が生じたわけです。工事が本格化すれば、さらに数百台~1000台もの車両が追加されるのですから、影響はさらに大きくなるはずです。

地元としては、野鳥が営巣できる今の環境を壊してほしくはない、という思いでいることと思います。それが守れるか否か、徹底的な検証が求められるところです。



ところで南アルプスの稜線を越えた静岡県側の場合でも、同様の事態が生じるのではないか、という疑問があります。

静岡市街地郊外の平地から南アルプスの工事予定地までは80~90㎞くらいの距離があります。この間、大部分は山林の中ですから、もしかすると道路沿いに希少な動物が生息しているかもしれません。しかし市街~畑薙第一ダム間では、少なくとも表向きには、一度たりとも生物調査はされていません。

特に南アルプスの懐深くに食い込んだ林道東俣線沿いは、一般車両の通行が禁止されていることも踏まえると、希少な動植物が生息・生育している可能性は相対的に高いといえるでしょう。

一応、JR東海は、環境影響評価書の資料編に「林道東俣線に関する動物調査」および「林道東俣線に関する植物調査」の結果を載せています。

このうち動物調査のほうですが、ちょっと不審です。

調査方法を説明している欄に「哺乳類、爬虫類、両生類、昆虫類、魚類、底生動物、真正クモ類及び陸産貝類」を調査したとなります。

イメージ 2

うん?

鳥類はどうなったのでしょうか?

直接に改変工事を行う場所(対象事業実施区域)での調査の場合は、当然、鳥類は調査対象に含まれます。鳥類調査は環境影響評価の基本中の基本です。

なぜやらなかったのでしょうか。

例えば平成26年度に行われた確認調査では、トンネル頭上の沢を対象とした調査において鳥類を対象から外した理由を説明しています。
イメージ 3
見解の是非は別として、一応、説明はなされているわけです。しかし林道東俣線沿いでの調査において対象外とした判断根拠は示されておりません。

評価書の騒音のページには、林道東俣線で予想される通行台数として、1日に片道332台とか、478台といった数字が掲載されています。おそらくブッポウソウ騒動の起きている長野県中川村での現在の通行台数を上回る数字でしょう。

もしも林道東俣線沿いに希少な野鳥が営巣していたとしても、何の対策もないのですから、これじゃ逃げ出してしまうかもしれません。




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