前回のブログで河川法について触れたこともあり、しばらくの間、南アルプストンネル静岡工区と河川法との関係について調べておりました。
と題して別ページにまとめましたので、興味がございましたらご覧ください。
非常に大雑把にまとめると、現在までに明らかにされている事業計画では、工事認可はできないと思います。
トンネル工事で河川法上の許可が必要となる部分(A~D)
・河川区域を使わせてもらう許可(第二十四条)
・トンネルを設ける許可(第二十六条)
が必要。
また、上図で「大井川」の「大」の字あたりに計画される発生土置き場について、おそらく
・擁壁を設ける許可(第二十六条)
・伐採や盛土を行う許可(第二十七条)
が必要になると思われます。
これらをクリアできなければ「河川の損傷(施行令第十六条の四)」になるので許可は出せない。
このほか、
・工事や宿舎に使う水を川から引く許可(第二十三条)
・宿舎からの汚水を川に流す許可(施行令十六条の五)
も必要となるでしょうけど、これは許可が下りるでしょう。
一番ネックになるんじゃないかと思うのが第二十四条
(土地の占用の許可)
第二十四条 河川区域内の土地(河川管理者以外の者がその権原に基づき管理する土地を除く。以下次条において同じ。)を占用しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならない。
です。詳しくは上記リンク先をご覧いただきたいのですが、トンネルであっても河川への影響が予想される以上は、土地を使う許可(土地の占用許可)をうけねばなりません。その細則は国土交通省令つまり河川法施行規則と河川敷地占用許可準則とで定められていて、そのうち河川敷地占用許可準則のほうで定められている基準を、今の計画ではクリアする兆しさえ見えてないのです。
いくつかの基準が抵触しそうですが、特に次の二点――
第八 工作物の設置、樹木の栽植等を伴う河川敷地の占用は、治水上又は利水上の支障を生じないものでなければならない 。この場合、占用の許可は、法第26条第1項又は第27条第1項の許可と併せて行うものとする。
(土地利用状況、景観及び環境との調整についての基準)
第十一 河川敷地の占用は、河川及びその周辺の土地利用の状況、景観その他自然的及び社会的環境を損なわず、かつ、それらと調和したものでなければならない。
第十一 河川敷地の占用は、河川及びその周辺の土地利用の状況、景観その他自然的及び社会的環境を損なわず、かつ、それらと調和したものでなければならない。
第八の利水問題では、議論が平行線をたどったままですし、第十一の「自然的環境を損なわず」という方にいたっては、現在の導水路&ポンプアップ案ではどうしようもない。
それに巨大発生土置き場が次の基準を満たせるのかどうかもわかぬまま。
(土地の掘削等の許可)
第二十七条 河川区域内の土地において土地の掘削、盛土若しくは切土その他土地の形状を変更する行為(前条第一項の許可に係る行為のためにするものを除く。)又は竹木の栽植若しくは伐採をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽易な行為については、この限りでない。
第二十七条 河川区域内の土地において土地の掘削、盛土若しくは切土その他土地の形状を変更する行為(前条第一項の許可に係る行為のためにするものを除く。)又は竹木の栽植若しくは伐採をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽易な行為については、この限りでない。
⇒「行政手続法の施行に伴う河川法等における処分の運用等について」より、盛土が満たさねばならぬ基準。
・上下流を含む盛土の行われる箇所における流下能力の低下をもたらさないこと。
・当該盛土により流速の乱れを生ずるものではないこと。
・盛土後の河川の形状の変化により流速の変化を起こすものではないこと。
・当該盛土により流速の乱れを生ずるものではないこと。
・盛土後の河川の形状の変化により流速の変化を起こすものではないこと。