「鉄道の建設及び改良の事業に係る環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うための手法を選定するための指針、環境の保全のための措置に関する指針等を定める省令」
という、長ったらしい名前のルールがあります。
法対象事業の鉄道建設や改良における環境影響評価の手続きは、これに基づいて進めることになっています。
気になる部分をコピペ
(環境影響評価の項目に係る評価の手法)
第二十六条 事業者は、対象鉄道建設等事業に係る環境影響評価の評価の手法を選定するに当たっては、次に掲げる事項に留意しなければならない。
一 調査及び予測の結果並びに第二十九条第一項の規定による検討を行った場合においてはその結果を踏まえ、対象鉄道建設等事業の実施により当該選定項目に係る環境要素に及ぶおそれがある影響が、事業者により実行可能な範囲内でできる限り回避され、又は低減されており、必要に応じその他の方法により環境の保全についての配慮が適正になされているかどうかを評価する手法であること。
二 前号に掲げる手法は、評価の根拠及び評価に関する検討の経緯を明らかにできるようにするものであること。
下線部に注目してください。環境への影響が、事業者により実行可能な範囲内で、できる限り回避・低減されているかどうかを評価しなければならない、とされています。
リニア中央新幹線の事業主体であるJR東海も、このルールに従って環境影響評価手続きを進めてきたはずです。そして大井川の流量に対する評価は次のように結びました。
赤く囲ったように、「トンネルの工事を開始し、先進坑が隣接工区と貫通するまでの間は、トンネル内に湧出した水を汲み上げて非常口から河川に戻すことから、河川流量は減少しない。」と結論付けたのです。
評価書に書いてある以上、工事中に河川流量を減少させないことは事業者(JR東海)にとって実行可能であるはずです。この評価書に基づき事業認可を受けた以上、この記述を守る義務があります。
しかし、今頃になってこんなことを言い出すのなら、評価書の記述は何だったのだ?という話になります。環境影響評価手続き終了後に新事実が判明したのでしょうか。それとも大言壮語、つまりもとより実行不可能なことを書いて事業認可を受けようとしたのでしょうか。
JR東海は、なるべく早いうちに環境影響評価書を修正すべきです。