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Channel: リニア中央新幹線 南アルプスに穴を開けちゃっていいのかい?
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マスコミ各社のリニア狂騒/外来種で南アルプスが南アルプスでなくなる!!

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「この秋リニア着工!!」
と、JR東海が環境影響評価制度を理解できていないとしか思えない計画を出したからなのか何なのか分かりませんが、この正月はあちこちの新聞-
それもこれまでのリニア推進旗振り役であった読売・産経ではなく毎日・朝日新聞、NHKがメイン-がこぞってリニア万々歳の記事を出していたようです。毎日新聞というのは批判的な記事や社説を載せたり、リニアの需要予測をした某会社の試算結果をそのまま載せて経済工をうたったりして、いったいどういうスタンスなの?
 
といっても、ネット上で見かけただけの話であり、実際に新聞を購入して読んだわけではありません。当方、静岡新聞しか読んでませんし、高校サッカーで静岡県代表校が初戦敗退してからは、ロクにテレビも見ていませぬ。
 
昨日あたりからは、日本政府がアメリカに5000億円を融資してリニアを建設させる話を昨年秋に提案していたという、実に気前のよいニュースも出てきました。
 
リニア中央新幹線計画というものの実態を全く知らぬ-意図的に無視している?-としか思えないバカ騒ぎです。

●南アルプス貫通の長大トンネル建設により、南ア山中に1000万立方メートル超の膨大な残土が発生する。その残土を処分するために、南アルプスの標高2000mの稜線や山崩れ直下に残土を捨てたり、山里を1日1700台の大型車両で埋め尽くして搬出したりと、物理的に実現不可能な処分方法が出されている。
●環境影響評価により、静岡県の大井川では大幅な流量減少が予測されている。しかしトンネルの構造から、実現的な対策方法がない。
●大量の車両通行、残土投棄、外来種搬入、騒音、道路整備、砂防工事により南アルプスの生態系と景観がメチャクチャになる
●岐阜県東濃地区ではウラン鉱床を突っ切るが、環境影響評価において、JR東海独自の調査をしていない。万一、放射性物質を含む層に突き当たった場合の対策も何ら示していない。

現在のリニア計画では物理的に避けられない、非常に大きな環境破壊。どうして全て無視して万々歳という記事を書けるのでしょう?

ほかにも
●環境影響評価がデタラメ・ヘリクツだらけ。準備書の審議会でも「これほどひどいのは珍しい」という声が相次いでいる(山梨・神奈川・静岡)。
●バカみたいに電気をくう。東京-大阪間における1人あたりのエネルギー消費は、現在の新幹線N700系に比べて4.1倍(準備書より)。移動時間は半分以下になることを考えると効率はとても悪い。
●総建設費9兆300億円に、消費税、利子払い、そして以上のような環境破壊への対策費は含まれていない。
●事業見通しに、長期的な人口減少・少子高齢化の影響は考慮されていない。そして人口が減少するにもかかわらず、大阪開業後には現在の1.5倍の利用者が見込めるとしている。
JR東海会長の首相への直談判で土地取得に関わる186億円の税金が免除される方向になった。そもそも、なんで直談判できるの?
●大地震により南アルプス地下で停止した場合、乗客は孤立するうえ救助も困難。
 
なんでこんな問題だらけの進め方に疑問を抱かぬのでしょう?

アメリカに輸出するなどと景気のよい話が出ていますが、そもそもリニア技術は、アメリカで考案されたものの、彼の地では不要と判断されて開発を中断したものです。建設費がはるかに安い鉄輪式の高速鉄道でさえ導入を渋っている国で、その何倍もの費用のかかるものが受け入れられるのでしょうか? セキュリティー対策、電磁波対策(アメリカでは送電線直下に人は住んでいない)など日本ではほぼ不問にされていることも考慮しなければなりません。
→昨年3月に書いた記事http://blogs.yahoo.co.jp/jigiua8eurao4/10971758.html
 
キリがないからもういいや・・・。
 
日本国においては、マスコミ各社が、多々ある問題点には目をつむって一斉に賛美し始めるものには、ロクなものがないという法則があるような気がしますが…。
 


 
 
南アルプスにおける外来種搬入による生態系破壊は非常に大きな問題であり、声高に主張したいので、しばらく掲載します。
 
 
 
明治時代、
 
「鉄道草」
 
と呼ばれた草がありました。
 
新しく線路が敷かれた地域にきまって生えてくる、これまで誰も見たこともない、不思議な草のことをこう呼んだそうです。
 
文明開化のしるしとされたこともあったそうです。
 
その草には、様々な種類があり、「ヒメムカシヨモギ」「ヒメジョオン」などという和名がつけられました。

これらは、北アメリカ原産のキク科植物です。幕末~明治の開港にともない北アメリカから輸入された物資について日本に伝播し、鉄道網の拡大とともに全国に広がり、元々荒地を好む性質とあいまって、線路沿いを席巻してしまったのです。現在では都会の空き地、土手、緑地などに大量に生えています。名前はマイナーですが、誰しも一度は見たことがあると思います。手元に適当な写真がないのが残念ですが・・・。
 
このように海外から持ち込まれた、本来その地に生えていない植物のことを外来種といいます。なお、生物の分布に国境で仕切ることに意味はなく、九州にしか生えていない植物が関東に広まったら、それだって生態系のうえでは異質であり、移入種とよばれます。
 
現在日本各地に広まっている外来植物の多くは、
種子を大量につける
種子が軽量・ごく小型で、風・水・物に付着するなどして散布されやすい
他の植物の生育しにくい、やせた荒地で育つ

という性質をもっています。鉄道草とよばれたヒメムカシヨモギやヒメジョオンは典型例で、種子は1㎜にも満たないうえ、風に乗りやすいよう小さな冠毛がついています。そのため貨物や乗り物に付着したり、風に飛ばされたりして、広範囲へ簡単に運ばれてゆきます。
 
そして荒地-養分が少ない、石だらけなど普通の植物の生育に適さない-にたどり着くといち早く出芽し、大量に繁茂し、在来植物の生育する場を占領してしまいます。そこが新たな種子供給源となり、また周囲へと広がってゆきます。

このような植物には、

キク科植物(オオアレチノギク、セイタカアワダチソウ、センダングサ類、セイヨウタンポポ、ダンドボロギク、ノゲシ、ブタクサなど実に多様)
アブラナ科植物(菜の花、クレソンなど)
タデ科(エゾノギシギシなど)
アカザ科(アリタソウなど)
マツヨイグサ類、
クマツヅラ属(アレチハナガサなど)
イネ科(シナダレスズメガヤ、ネズミムギ、オオクサキビ、イヌムギ、カモガヤ、メリケンカルカヤなど実に多様)
メリケンガヤツリ

など、実に多様な種類があります。静岡市内の東海道線沿いや清水港周辺を歩いただけで、簡単に100種類は見つかるでしょう。
 
外来植物の目から日本列島を見つめると、明治維新以降、こうした伝播・繁茂に適した環境が着々と広げられてきたに違いありません。
 
つまり交通網の拡大というのは、
工事に伴う荒地の出現
工事に伴う大量の物資の搬入
完成後の大量のヒト・モノの移動
交通路沿いの開発と新たな荒地の出現
 
という面がありますが、これはいずれも外来植物の繁茂にとってふさわしい環境が拡大の一途をたどってきたことを意味します。
 
外来植物の生える土地が増えた分、在来植物の生える土地が減ったことは、いうまでもありません。そしてそれは、在来植物をエサとしていた昆虫の減少や、あるいは外来種をエサにすることのできる一部の種の増加(キャベツをえさにするモンシロチョウが典型例)につながり、生態系の破壊と、郷土景観の喪失に直結します。

さて、リニア中央新幹線計画と外来植物という関係に目を向けます。
 
JR東海の作成した静岡県版準備書によると、静岡県内の現地調査範囲(南アルプス)でみつかった高等植物は756種だそうです。このうちシダ植物を除く種子植物は
686種。
 
このうち外来種はどのくらいかな…と思って一覧表を見渡すと、全く分類していないんです。環境影響評価で在来種と外来種・栽培種とを分けることは常識であり、南アルプスという場所を考えると、非常識ともいえるいい加減さです。
 
というわけで非常に不親切なのですが、一応、拾い上げてみました。結果は以下の通りでした。
エゾノギシギシ
オランダミミナグサ
イタチハギ
ハリエンジュ
コメツブツメクサ
ムラサキツメクサ
シロツメクサ
メマツヨイグサ
マツヨイグサ
アメリカセンダングサ
コセンダングサ
ダンドボロギク
ヒメムカシヨモギ
ハルジオン
セイタカアワダチソウ
ヒメジョオン
セイヨウタンポポ
コヌカグサ
シナダレスズメガヤ
オオクサキビ
 
確実な外来種は以上の21種。このほか植林されたものかどうか不明なものとしてスギ、ヒノキ、サワラ、カラマツの4種があります。なお、イタチハギ、ハリエンジュ、シナダレスズメガヤの3種は、砂防工事のために意図的に植えられたものだと思われます。
 
とりあえず21種という値を用いると、外来種の割合は3%となります。これは、1地点の環境アセスメントとしては、おそらく、けっこう低い割合だと思います。
 
例えば同様の作業を隣県の山梨県版準備書について行ってみますと、種子植物1186種のうち、外来種は約226種(数え漏れがあるかと思います)。その割合は19%に達します。面倒なのでこれ以上は調べていませんが、東京都、神奈川県、愛知県ではもっと割合が多くなるのでしょう。
 
これと比較すると、やはり静岡県内で工事が計画されている地域では、現状ではまだそれほど外来植物が入り込んでいないと言えます。
 
外来種の搬入をこの程度で何とか食い止めてきたのは、ひとえに一般車両の通行を禁じてきたからに違いありません。
 
リニア中央新幹線の建設工事は10年以上に及びます。
 
現在の計画では、その間は大井川源流部の東俣林道を使って、毎日300~500台の大型車両が大量の物資と人とを乗せて、外部と南アルプスとを行き来することになっています。
 
こんな事態は南アルプスにとってはじめてです

現在は山梨県版準備書で明らかな通り、平野部や人家周辺は外来種だらけなのですから、かつての電源開発や森林伐採の行われた時代に比べて種子供給源がたくさんあります。そこを通って、これまでになく大量の車両・人・モノが入り込むのですから、これでは、確実に大量の外来植物が外部から南アルプスへと運び込まれます。
 
そして工事にともない、表土をはぎとられる場所があちこちに生じます。さらに残土捨て場という植物の全くない裸地も広い面積で生じます。こうした場所は、外来植物にとっては天国です。
 
もうちょっと具体的に想像してみますと・・・。
 
準備書の植物リストから推測するに、現在の南アルプスにおいて、がけ崩れや倒木によって生じた裸地に真っ先に侵入する在来植物は、おそらくフジアザミ、ヤマハタザオ、ミヤマハンノキ、ノリウツギといった種類です。こうした植物を先駆性植物とよびます。
 
がけ崩れや洪水で植生が失たら、上方からの落下や周囲からの飛散により、徐々に先駆性植物の種子が入ってきます。やがて発芽し、成長してゆき、土壌の流出を防ぎ、土地が安定してきたところでカラマツやアカメガシワなど明るい場所を好む樹木が生え、最終的にブナやミズナラ、高所ならオオシラビソ等の高木の茂る森林へと変わってゆくのでしょう。
 
ところが工事によって人為的に表土をはぎとられた直後には、先駆性植物等の種子は含まれていません。そこへ頻繁に外来種の種子がふりかけのようにばらまかれ、早々と発芽してしまったら、在来の先駆性植物の生えてくる間がなくなってしまうのではないのでしょうか。しかもそういう危険箇所が、南アルプス南部を串刺しにするように延々35㎞もの区間におよびます。

リニアの工事の場合、まず、畑薙第一ダムから斜坑までの約35㎞の東俣林道沿いにおいて、路肩の整備によって現存の植生が剥ぎ取られます。林道整備のイメージのために、最近、突貫工事で完成した林道の写真を貼り付けておきます(静岡市葵区牛ヶ峰山腹)。
 
こんなふうに、道の両側はいったん表土がはぎ取られた状況となります。土砂崩れ防止のためにフェンスが張ってありますが、用を足していません。完成直後に土砂崩れが起きて通行止めとなったためか、今のところは外来種の姿は目立ちませんが、それでもダンドボロギク、ヒメムカシヨモギ、アメリカセンダングサ等が入り込んでいます。
 
 
南アルプスでは、さらに作業用ヤードにおいて、頻繁にダンプカーがコンクリート骨材をや何かを降ろしてゆくため、その周辺も外来種だらけとなるでしょう。
 
 
 
在来の先駆性植物がカモガヤ、エゾノギシギシ、シナダレスズメガヤ、セイタカアワダチソウなど、強力な繁殖力をもった外来種に変わったら…その時点でアウトです。その場所を占拠し、在来の植物を締め出してしまいます。 これらはびっしりとはびこるため、他の植物が生えてくる隙間を残しません。
 
さらにこうした場所は恒久的な外来植物の種子供給源となります。すなわち川の流れ、風、動物や登山者への付着により、奥へ奥へと運ばれていってしまうに違いありません。そしてがけ崩れや洪水で裸地が生じると同時に芽吹き、新たな種子供給源となり、これを繰り返して奥へ奥へと拡散していってしまう…。
 
 
しかも、これらの植物については、いったん侵入してしまうと根絶が不可能なのが現状です。セイタカアワダチソウなど、1本の株で数万の種子を飛散させるんですから…。かといって、こんな南アルプスの山奥に、強力な除草剤をばらまくわけにもいかない。
 



私、配慮書の段階から3回この点を意見書として問いましたが、マトモに取り扱ってもらえません。
 
準備書への意見に対し、ようやく見解書で回答らしきものが得られましたが、それは次の通り。

まったくもって、的外れです。

「工事終了後、外来種の植物が入り込まないよう…」

工事が終了するまで10年かかるんです。その間に工事現場周辺が外来種だらけになるのは目に見えています。その対策を求めているんです 
 
こちら、静岡市街地郊外で工事中だった新東名高速道路の写真ですが
 
まわりを散歩していたら、オオマツヨイグサ、ヒメムカシヨモギ、オオアレチノギク、セイタカアワダチソウ、アメリケセンダングサ、シナダレスズメガヤ、カモガヤ、ネズミムギ、イヌムギ、アレチハナガサ、オッタチカタバミなど、実に多種多様な外来植物が繁茂しておりました。目に付く在来種はマメ科のクズばかり。このクズとて、在来種とはいえ強力な繁殖力をもち、他の植物の生育を阻害し、生態系を貧弱にするという厄介な性質をもっています。
 
いずれにせよ、外来種は工事の最中から大量に生えてくるんです!!
 
「タイヤの洗浄」とも書かれていますが、これとて厳重な管理をおこなわない限り、洗車場が種子供給源となります。1日400回も洗浄をしていれば水の使用量もバカにならない(水道などない場所!!)し、その処理も必要となりますが、全く言及していません。
 
また、種子がくっつくのはタイヤだけであるわけありません。荷台にだって、大量の建設資材やセメント材料にだって付着しているでしょう。特にセメント骨材はどこかの河原から運んでくるのでしょうが、現在の日本において河原の砂利というのは、外来植物のかたまりみたいなものです(例えば安倍川河川敷では、アメリカセンダングサ、セイタカアワダチソウ、ヒメムカシヨモギ、シナダレスズメガヤ、オオフタバムグラ、オオカワヂシャ、フサフジウツギ、ハリエンジュ、マツヨイグサ類、オオブタクサ、アメリカフウロ、アレチウリなどが非常に目に付く)
 
搬入する骨材すべてを洗浄するか熱処理でもしない限り、ダンプカーの荷台を傾けた瞬間に、砂ぼこりとともに大量に飛散してしまいます。
 
700人もの作業員が入れば、その靴の裏や荷物にもくっついてくるでしょう。

近所に生えていたセイタカアワダチソウ、マツヨイグサ類(正確な種類は不明)、ノゲシ、アメリカセンダンガウサの種子の写真を貼り付けておきますが、こんな1㎜にも満たない、ごく小さく軽いものの侵入を拒むことなど可能だと思いますか?
 
 
 
さらに、南アルプスのように原生的な自然環境を残している地域の場合、国内移入種のことも考えねばなりません。日本原産とはいえ本来南アルプスい分布していない植物が大量に侵入したら、それをエサとする、本来南アルプスに生息していなかった昆虫も呼び寄せてしまいます。それはそれで生態系の劣化・破壊に他なりません。しかも国内移入種の場合、遺伝子解析でもしない限り、在来種かどうかの判定すらできないという厄介な点があります。
 
 
リニア中央新幹線計画において、外来植物・移入種の搬入が南アルプスの生態系に与える危険性は、土砂災害を引き起こしかねない残土捨て場や、大井川の大幅な流量減少に比べて目に見えにくい懸念ですす。しかし林道や工事現場周辺が外来植物で埋め尽くされたら、南アルプスの生態系が根本的に破壊されてしまいます。
 
 
長くなりましたので要点をまとめます
・現状では、南アルプスの林道沿いでは外来植物の割合は少ない
・南アルプスという場所である以上、外来種をこれ以上増やしてはいけない
・リニア建設に伴い、人為的に広範囲にわたって裸地が生じる
・そこを大量の砂利や資材を積んだ大型車両が頻繁に出入りする
・大量の人間も出入りする
・これでは裸地が外来種で覆われてしまう
・いったん定着したら根絶は不可能であり、周囲に拡散する
・それは生態系の大きな破壊と南アルプスのもつ価値の低下である
 
しかし見解書で明らかな通り、現段階で現実的で有効な対策は考えられていません。

これでは南アルプスの生態系が南アルプスのものでなくなってしまいます!!

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