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Channel: リニア中央新幹線 南アルプスに穴を開けちゃっていいのかい?
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「リニア開業でひかり・こだまが便利になる」「空港新駅で便利に」…それってホント?

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「リニアが開通するとダイヤに余裕ができるから静岡駅に停車する本数が増えるし静岡空港に新駅を造れる」みたいなことが言われていますし、リニアの準備書説明会でも話されていました。
 
南アルプスをメチャクチャにするための免罪符…といったところでしょうか。
 
南アルプスなんか山奥だからどうでもいいけど、新幹線が便利になるなら願ってもないチャンス…と思う方がいるかもしれません。
 
でも、ちょっと考えていただきたいのです。
 
静岡県民にとってメリットがあるのは、単に東京、名古屋に素早く行けるだけではなく、名古屋以西(京都・大阪・山陽方面)に直通する「のぞみ」が停まってくれることであるはずです。だからこそ前知事がやっきになって、「のぞみ通過税」を言い出したり、赤字確実な静岡空港を造り始めたわけです。

ところが、リニアが名古屋まで開業すると、東京-博多間の「のぞみ」は廃止されます。
 
これはJR東海が前々から言っていることです。
 
その理由を明確に説明したわけではありませんが、おそらく次のようなことによるのでしょう(あくまで私の推測)。
 
理由① リニア開業後にも東京-新大阪以西直通の「のぞみ」が残っていたら、大半の乗客は品川・名古屋での乗り換えを嫌い、リニアを敬遠してしまう可能性があるから。
出発地点にもよるが、都心→品川→(リニア)→名古屋→東海道新幹線)→新大阪となると、所要時間は2:10程度となり、現在の「のぞみ」による2:33とたいして変わらない。よく考えれば現在のN700Aの「ひかり」だって、通過待ちがない深夜の列車では東京-名古屋を1:45程度で結んでおり、速度が285㎞/hに引き上げたうえでのぞみ全廃となれば、リニアと競合してしまう可能性すらある。
 
理由② 運行体系は名古屋で寸断せざるをえないから
全席指定のリニア利用者が名古屋以西に行くためには、名古屋で接続する東海道新幹線列車も、リニアの利用者(最大950人)分は指定席にせねばならない。すると、もしも東京-新大阪を直通する列車を残す場合、リニア連絡列車については950人分の席を、東京-名古屋間では空席としておかねばならない。そのために16両編成のうち11両をカラにしたまま、東京-名古屋を行き来するなんてことはありえない。よって、名古屋駅の東西で、運行体系は分断されることとなる。

というわけで、2027年にリニアが開業しても、こだまをのぞいてほとんどの列車が名古屋で寸断され、静岡県民にメリットのある列車が設定される可能性は、残念ながら低のではないのでしょうか
 
⇒これ間違いかもしれません m(_ _)m
名古屋駅の受け入れ能力にもよりますが、よくよく考えれば、東京発新大阪行きの「ひかり」を毎時3本程度走らせることは可能かもしれません。名古屋-新大阪間は、毎時ひかり3本と、リニア接続列車4本の計7本を走らせるかたちで…。

たしかに「こだま」の「のぞみ」通過待ちがなくなり、東京、名古屋まで1:40だったのが15~20分程度短縮されるでしょうが、メリットといえば、それくらいだろうと思われます。南アルプスをメチャクチャにすることを考えると、交換条件としてOKといえるのでしょうか?
 
「大阪開通まで30年以上待てば確実なメリットが出る」というのも馬鹿げた話です。
 
 
 
ところで、今日(4/3)の静岡新聞朝刊で、JR東海が静岡空港新駅構想について改めて無理との見解を示したと、報道されました。
 
静岡空港への東海道新幹線新駅設置構想は、川勝県知事が再三にわたって主張されてきたものです。

リニアのトンネルを南アルプスに通すと、大量の残土を県内に捨てるし、それが原因となって土砂災害の危険性があるし、大井川の水を抜くかもしれない…と、静岡県には大問題ばかりが降りかかります。
 
それに対して、「だったら見返りに空港に新幹線駅を造ってくれてもよい」というようなニュアンスも含まれているのでしょう。
 
私自身としては、リニアのトンネル工事とは関係なく、静岡空港新駅なんてやめたほうがいい…というか、無茶だとも思います。
 
確かに、空港の直下に新幹線駅があれば、便利になるようにみえます。でも三島あたりから新幹線を使うなら品川経由で羽田に出る人が多いでしょうし、浜松からでも、セントレアのほうが便利かもしれない。新幹線を使って静岡空港に向かうのは、静岡市民だけかもしれません。掛川あたりならマイカーで出かけるでしょうし。
 
そもそもの問題として、275㎞/hの速度で列車の通過しているトンネルを拡幅することなど可能なのでしょうか?
 
少なくとも、国内に前例はないと思います。
 
また、新幹線列車が停止する部分の勾配は3‰(0.3%=1㎞で3m高さが変化)までと、新幹線鉄道構造規則というもので定められています
 
空港下のトンネルは第一高尾山トンネルといいます。東の大井川橋梁から西の牧ノ原台地に向けての上り勾配区間の途中に設けられた、上り一辺倒のトンネルです。
 
ちょっと、国土地理院の地形図閲覧サービスより、空港周辺の地形図を転載しておきます。
イメージ 1
確かに勾配区間となっていますね。
 
このトンネルの勾配についてネットで検索すると15‰という結果が出てきます。この数字が正しければ、ここに駅を造って列車を停車させることは、規則によってできないことになってしまいます。
 
 
それでも駅を造って列車を停めたければ、
①15‰でも停められるブレーキを備えた車両を開発する
②規則を改定する
③平らなトンネルを上下線それぞれに新設し、そこにホームを設ける。
 
のようなことをしなければなりません。なんだか、非現実的な気がします。
 
それから、いくらかかるのかさっぱり分かりませんが、ボツになったびわこ南駅構想が250億円程度、リニアの地下駅が2200億円ですから、相当な額になるはずです。
 
しかもこれだけお金をつぎ込んでも、駅利用者は空港利用者にほぼ限定されます。周囲は茶畑ばかりですし、島田や藤枝からなら東海道線で静岡・掛川駅に行くのと時間的・金銭的に大差ないですから。
 
静岡空港の年間利用者の当初目標は85万人でした。しかし過大だったとして、先日70万人に下方修正されました。
 
仮に85万人がすべて新幹線を利用したとしても、85万人÷365日で、1日2329人。70万人が使ったとしたら1918人。上下線合わせた人数であることにご注意。
 
県内の新幹線駅で、もっとも乗車人数の少ないのは新富士駅で1日4502人(平成22年度)。降車人数を合わせれば9000人ぐらいにはなるでしょう。
 
空港新駅を造っても、利用者は新富士駅の2割にしかならないのではないのでしょうか。 御前崎や吉田町からの利用もあることにはあるのでしょうが、あまり多くはないでしょう。

赤字の空港に、赤字確実な新駅を造る…?
しかも、それはリニア工事認可との交換条件…?
 
やめたほうがいいんじゃないのかな?

どうしても空港に接続する鉄道駅が必要なら、大井川鐵道を金谷駅からのスイッチバックで延伸したほうがいいのでは…?

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