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Channel: リニア中央新幹線 南アルプスに穴を開けちゃっていいのかい?
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リニア新幹線、ホントに造るつもりがあるの?

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このリニア中央新幹線、それにしても計画の進め方がおそろしくヘタクソだな~と感じます。
 
進める側としても、そろそろ、これはマズいと感じている頃ではないでしょうか?
 
◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 
リニア中央新幹線事業は、JR東海がおこなう”民間事業”とされています。その一方で、国から全国新幹線鉄道整備法に基づいて建設指示を受けたことにより、”公共事業”ともなっています。
 
いわば”国策民営”といったところであり、民間事業、公共事業、双方の特権がJR東海に与えられています。したがって公共事業としての責任を問われれば民間事業としてすり抜け、民間事業として監視・規制しようとすれば公共事業を盾に退けるということがまかり通っています。

思い込みでもなんでもなくて、各地の準備書審議会の議事録を見れば一目瞭然です。審議会に関わられた方々、そう感じておられるじゃないでしょうか。
 
先日、準備書に対する知事意見が出され、現在はJR東海がそれを受けて準備書を修正し、評価書を作成している最中です。10月着工を目指すのなら、そろそろ知事意見を完全に無視した評価書が出てくるのでしょう。その評価書を環境省が審査し、もう一度JR東海が補正して評価書が確定し、国交省による事業認可審査に移ります。
 
通常の”公共事業”なら、「知事意見に全く答えてない評価書」で事業認可することはありえません。曲がりなりにも修正作業をおこないます。そうしなければ住民の合意がまず得られぬうえ、環境影響評価法33条に違反する可能性があるからです。
 
しかしながらリニアの場合、”民間事業”なのでそこまでは求められませんし、鉄道事業法や全国新幹線鉄道整備法においては住民の合意も不要です。もし環境省が強い意見を出しても、国会経由(与野党ともリニア推進)で横やりが入り、自動的に事業認可となるのでしょう。

要するにまあ、現在のJR東海は無敵なんですね。
 
う~ん、無敵じゃないか。裸の王様かな?
 
今の進め方じゃ、事業認可が出ても着工できそうもないんですよ。
 
物理的に残土がどうのこうのという問題ではありません。人々の信頼という問題です。

ちょっと、事業を進めてもらいたい側、つまりリニアの早期開業を望む側にたって考えてみます。
 
早期開業を望むということは、当然ながら、「早期着工、工事の遅延なし、金銭的にも予定額内、2027年ぴったり名古屋開業!」という円満解決を望むとことでしょう。
こういう進め方を望むのならば、地域住民や自治体に理解してもらうことが何より大切なはずです。要するに「波風をたたせないでスムーズに進めてくれ」ってことです。
いかに新設区間の9割が地下とはいえ、20㎞くらいは地上で工事が行われますし、駅や車両基地だってつくらなければなりません。30か所くらい縦穴・斜坑を設けなければなりません。それから5680万立方メートルにもおよぶ膨大な建設発生土を処分するため、広大な土地も確保しなければなりません。
 
「地下9割」とはいえ、住民から広大な土地を提供してもらわなければ完成しないわけです。
 
それからこれも当たり前ですが、この工事により大きな生活環境と自然環境の破壊が避けられません。いかにリニアの早期開業を望む人とて、生活道路を毎日数百台ものダンプカーが行き来することを全く不快に感じぬことはないでしょうし、目の前に高さ20m級の高架橋が出現することに対し、違和感を覚えぬ人もあまりいないと思います。
 
騒音、振動、地下水・川の枯渇、動植物への影響、鉱毒、ウランを含む残土、遺跡の破壊、景観の破壊、磁界、エコパーク…現在、リニア中央新幹線計画においてあがっている環境破壊の懸念について数え上げたらキリがありません。知事意見でも出されていることから、住民だけでなく行政としても見過ごせないレベルになっちゃったんですね。
 
こうした不満・不安・懸念をいかに最小限におさえるか。そこに事業の成否がかかっているとみて間違いないでしょう。
 
しかもカネですむ問題じゃない。「水がなくなる」って心配しているところに札束はたいたって何の意味もない。
さらに技術的・科学的にどうにかなる性質でもない。何しろ「前例のない事業だから何が起こるかわからない」のが不安のもとなんだもん

環境アセスメントというものは、こうした住民のもつ不安・懸念について、事業者・行政・住民とが一緒になって考えるというコミュニケーションの手法と位置づけられています(建前上は)。
 
場合によってはアセスの途中で事業内容が変更されたり、場合によっては中止を決断したりします。そのためにアセス結果を修正して評価書を作成したり、評価書をさらに補正する手続きが定められているのです。合意形成のための手段ともいえます。
 
そこで事業者が真剣に環境配慮をしなかったらどうなるでしょうか。
 
その場合、不安・懸念が高まる一方です。合意形成どころか、不満が高まり反対運動が頻発しかねません。失敗事例とされた、各地の大型公共事業で繰り返されてきた光景ですな。

だから最近のアセスは、こういう事態を避ける意味でも、いかに事業者が環境配慮に気をつかっているか、PRする場にもなっているようです。分かりやすい記載にしたり、専門家の審査に耐えうる資料を掲載したり、シミュレーションの計算過程を公表したり…

どうしてもこのリニア中央新幹線計画を進める必要があるのなら、それがいかに社会にとって要不可欠なものであり、それに住民がどう関わるか、ということを、事業者であるJR東海と地域住民とが一緒になって考え、合意形成を目指さないと、まず前に進まないと思うのであります。そのためにはアセスで真剣に環境配慮を考え、住民の信頼を得るのが大前提のはずです。
 
 
悪いけれども、今までのところ、JR東海には「合意形成を目指す」姿勢がぜーんぜん感じられません。スケジュールからみて今後もそうなのでしょう。国の建設支持を錦の御旗として強引に推し進めようというようにしか見えません。
 
このままでは確実にモメますな。
 
こんな状況を引き起こして誰が得をするの?
 
●JR東海⇒反対運動に対して手を焼き、いつまでたっても着工できない。
●推進したい自治体⇒JR東海の尻拭いをさせられ、住民からの不振だけが募る。
●推進したい住民や政治家⇒反対住民に圧力
●不安のある住民⇒反対運動に労力を使うのみ。
●地元⇒地域コミュニティの破壊。将来像なきまま月日がたつ
 
 これじゃつくりたくてもつくれませんよ~!
 
話があちこちに飛んでしまったのでまとめ!
 
大型プロジェクトを進めるのならカネ・技術・コミュニケーション能力の3点が欠かせないが、いまのJR東海は、三番目の能力に明らかに欠けている。これでは永久に前に進まず、混乱を引き起こすだけであろう。これは進めたい側にとっても不利益である。
(別にご機嫌伺いをしろとか、カネをばらまけとか、そういうことをしろという意味ではないので) 
 
いつまでも「大動脈の二重系統化にご協力を」じゃ通用せんよ!!

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