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Channel: リニア中央新幹線 南アルプスに穴を開けちゃっていいのかい?
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評価書(静岡県版)にブチ切れた その3 景観評価がまるでデタラメ

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静岡県版の環境影響評価書、トンデモ記載の宝庫になってるんですよ。
 
今度は「景観」。

静岡の場合、リニアの路線は地上に出てきませんが、巨大な残土捨て場が7地点、それから斜坑2本と道路トンネル2本が掘られるので、出入口が合わせて6か所出現します。
 
イメージ 2
準備書を複製
 
まず、トンネルについて考えてみます。
 
参考までに、新東名高速道路の建設工事で静岡市街地郊外に造られた、作業用道路トンネルの写真を貼り付けます。リニアの道路トンネル断面積は41㎡なので、この写真程度の断面(内幅7.5m)になるとみられます。
イメージ 1
静岡市葵区にて
 
南アルプスの場合、おそらく上記の場所より岩石の風化が激しく、また常に侵食にさらされている川岸近くに造られる計画なので、こんな具合に周囲をガチガチに固めなければならないかもしれません。なお、斜坑は道路トンネルよりも一回り大きく、こちらの写真程度になるのでしょう。
イメージ 3
静岡市葵区 国道362号線新間トンネル
 
南アルプスの奥深い場所ですから、そんな異様なものが7か所も出現したら、渓谷や山岳の景観を大いに損ねるのではないでしょうか。こういう不安や疑問を誰しも抱くので、当然、景観に与える影響も環境影響評価の対象となっています。
 
では評価書を見てみましょう。なお、トンネル出入り口のことを評価書では「非常口(山岳部)」と呼んでいます。
 
イメージ 4
 
なんだこれ?

(赤く線を引いた部分)トンネルは景観資源の中にない。トンネルの見える範囲に景観を見る点(眺望点)も存在しないから、景観への影響はない…???

はあ~!? Σ(゚д゚;)
 
しかも青く囲った部分をよ~くご覧いただきたい。「主要な眺望景観について、フォトモンタージュ法を用いてその変化の程度を予測した」ってありますよね。フォトモンタージュ法というのは、写真に完成予想図を合成するものです(マンションの広告にあるようなもの)。
 
でも、評価書には一切載っていない…。
 
予測結果も載せていないのに何を言っているんだ!?
 
関係者の方には失礼ですが、「本当に調査したのか??」という疑念さえ抱いてしまいます。
 

 

それから意味不明なのが残土捨て場の予測。
 
南アルプスのど真ん中に当たる二軒小屋というところの近くに、バカでかい残土捨て場が計画されています。どのぐらい捨てるのか分かりませんが、県内発生分360万立方メートルのうち、おそらく100万立方メートルぐらいは捨てるのでしょう。平均厚さ20m(電信柱の倍近く!)の盛土にすれば、短辺100m、長辺500mという広大な規模となります。
 
とにかく、確実に数百メートル四方‼
 
静岡市街地の感覚でいえば、駿府公園を全面厚さ10m程度の残土で覆うようなものです。
 
二軒小屋というのは登山拠点になっていて、そこまで送迎用のマイクロバスがやってきます。残土捨て場はそのバスが通る林道沿いに計画されていますので、バスの車内から否応なく、この巨大な残土の山を見ることとなります。
イメージ 5
これについては一応イメージ図が載っているわけですが、それがこちら。
 
イメージ 6
 
ん?
 
っていう感です。ちっちゃくて何も分かりませんね(それにど~も、残土捨て場が見えにくいような角度で撮った気がしてなりません。もし左手の木の枝が折れたらどうなるんだろう?)
 
それもそのはず。イメージ図のベースとした写真は、直線距離で2~3㎞(!)も離れ、900mも高い登山道の途中(山の上)から撮影されたものだからです。
 
この残土捨て場のイメージ予測については、この図だけです。
 
無意味とは申しませんが、なぜそんな遠くからの予測だけ?
 
これまた静岡市街地付近の感覚でいえば、安倍川の河原に何かをつくるときに、竜爪山の山頂からのイメージ図だけに基づいて景観予測をするようなものです(静岡以外の方、分かりにくくてごめんなさい)。
 
環境影響評価においては、ある点を「眺望点」と定め、そこからの眺望がどのように変化するかという手法で予測・評価がなされます。この評価書では、すぐ横に林道が通っているのにもかかわらず、この残土捨て場を見ることのできる”眺望点”は、この2~3㎞離れた山の上ただ一点しか存在しないという、JR東海のナゾめいた判断に基づいているのです。
 
なんという自己中心的な判断でしょう…
 
途中の林道から、否応なく目の前に見えるはずです。

しかもその林道については、評価書の中で「人と自然との触れ合い活動の場」に選定しているものです。
 
だったら林道から見た場合を想定しろよ~!!! (`Д´)

しかもよ~く見ると、残土捨て場は緑色に塗られています。これは「緑化が完成して木々が生い茂っている」状況をイメージしたものだからです。
 
んんっ?
 
開業予定は2027年だから工事終了予定は2026年ごろ。それから木を植えて大きく育てて…って、
 
おい!  (;゚⊿゚)ノ

このイメージ図って、何十年後なんだよ⁉
 
 
 
 
 
 

山梨など他県では、「景観への影響はない」とする評価結果に対し、非論理的で自己中心的だという批判があるそうです。ところが静岡の場合はそれ以前の問題。
 
ホントに調べたかどうかすら分からない。

イメージ図はわざわざ見えにくい場所を選んで作成したのかもしれない。

疑惑だらけ!!
 

 

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