(7/11 追記)
最近、「某大手鉄道会社社長がヨーロッパで、10年前に日本経済のためにインドあたりで戦争が起きてほしいと発言していた。発言者はJR東海の葛西会長だ」という話がfacebookから広まってネット上に出回り、そのせいか拙ブログのアクセス数も妙に増えています。https://www.facebook.com/photo.php?fbid=721821097877245&%3Bset=a.417886121604079.73054558.100001480848971&%3Btype=1
しかし、これって根拠がはっきりしているのでしょうか? 葛西会長ならいかにも言い出しそうですが、あれだけゼニ勘定に聡い人物が、インドでの戦争を要望するはずがないと思うのです。インドで戦争(印パ紛争? カシミール紛争? どういう事態?)が起きたら、スズキ現地工場の暴動どころではない事態となり、日系企業が大ダメージを受けるだけで何ら得ることがないことは、たぶんわかってるのではないかと。そのうえ印パ戦争が勃発したら、葛西会長の大嫌いな中国がパキスタンに武器輸出してぼろ儲けするかもしれない(パキスタンに中国の給油基地があります)。そんな事態を望むはずもないのでは?
しかも10年前なら、インドではなくアフガンに米国が侵攻し、その少し前ならNATOが旧ユーゴを空爆しており、実際に戦争が起きていた大変な状況だったはずです。ユーゴからほど近い中欧でそんな話が出るのか・・・。そう考えると、胡散臭く感じます。創作の可能性は否定できないと思います。
この方は安倍総理や集団的自衛権行使容認の解釈改憲への批判としてこの話を持ち出しておられます。私も安倍総理のやっていることにはムチャクチャ腹が立ちます。とはいえ、根拠があるのかないのか分からない、あるいは裏の取りようのない話を広めるのはマズいと思います。
それから、少なくとも、これとリニアとを無理やり絡めることのないよう、くれぐれも注意したいと思います。また、このブログではリニア絡みや環境政策・交通政策は別として、基本的に政治批判につながるような内容には言及しない方針ですので、そこのところはよろしくお願いします
すでに繰り返し報道されているため、皆様ご存知かと思いますが、集中豪雨に見舞われた長野県南木曽町で、土石流による災害が発生しました。
土石流というものは、地表を構成する礫や砂や泥が、グチャグチャに混じりあって一体となって急勾配の谷を流れ下る現象です。
土石流発生の要因は、①流れ下る土石と②勾配です。大量の水があると発生しやすくなりますが、乾燥した状態でも地震動によって発生ることもあるため、水の存在は必ずしも不可欠ではないようです。
上記リンク先で確認していただきたいのですが、発生域、流下域、停止域とを分けて考えることがポイントです。
一般に土石流は、統計上、川床の勾配が15度以上になると発生しやすくなるそうです。下り始めて、勾配が10度未満になると堆積・減速し始め、3度未満になると停止するといわれています。もちろん、泥水ははるか下方まで到達します。
被災地について、国土地理院の地形図で確認してみます。
この梨子沢、A地点を境に下流と上流とで勾配が異なります。A地点より集落付近までは約2700m、標高差は400mほどです。川床の勾配は角度にすると8度程度です。逆にA地点より上流側は約27~28度です。
土石流はおそらくA地点よりも上流側で発生したのでしょう(午後7時のNHKニュースでは2か所で崩落が発生したとのこと)。一帯は花崗岩でできた山地ですが、花崗岩は風化するとボロボロの砂状になるという特性があるため、川床には砂礫や巨石がたまっていたに違いありません。そしてA地点よりも下流側に到達したところで減速しつつ、集落まで進んで行ってしまったのでしょう。減速したといっても、家々を押し流し、橋を破壊するだけの力はもっています。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
リニアのことを考えているせいで、即座に連想したのが、JR東海が南アルプス扇沢源流(標高2000m)に想定している巨大残土捨て場。比較のために、同じ縮尺の地形図を貼り付けておきます。
JR東海は、他の残土捨て場候補地の面積から推定すると、この場所に200~250万㎥の残土を捨てる計画であると見受けられます(前回ブログ参照)。おおよそ東京ドーム2杯分という、とてつもない量になります。
こちらの扇沢は、850mの距離で400mの標高差を流れ下ります。この間の勾配は27度。土石流発生の目安を大幅に上回ります。先に見た梨子沢でいえば、A地点より上流の、土石流が発生する付近の勾配に相当します。
というわけで、扇沢源流に大量の残土を積み上げることは、土石流発生の要件である①流れ下る土石、②勾配、どちらも人為的にそろえることと同じ意味をもちます。
しかも大井川との合流点まで平坦地は全くなく、20度以上の勾配を保っているためため、もし残土が崩れたら大井川まで到達してしまいます。量にもよりますが、大量に崩れれば大井川本流をせき止めてしまうかもしれません。大量の残土が川をせき止めた場合、崩壊残土が水圧に耐えられなくなったり、侵食で崩れ始めた途端、一機に巨大土石流となって下流に押し寄せます。今度は大量の水があるため、河床勾配とあまり関係なく、高速ではるか下流側へ流れ下ることでしょう。人為的に大災害を起こす要因を作り上げるというわけです。
おそらく現在、国土交通省内で環境影響評価書の審査が大詰めを迎えているところです。残土捨て場候補地については、鉄道関係の部署ではなく、砂防・河川・建設副産物リサイクル関係の部署が担当するものと思われます。「国民生活を災害から守る」ための国土交通省が、こんな「土石流の実験」のような話を認めるとは思いたくもありませんが…。
話が全く変わりますが、最近(というか前から?)どうも、リニア反対の声に疑問を抱きます。このことは、キチンとさせないといけないと思うのでで、批判にさらされるのを覚悟のうえで書きます。
『疑問》反対意見に筋が通っているのか? 筋が通っていなかったらそれはJR東海や国交省と同じ穴のムジナではないか?
どうも気になるのですが、ひたすら
「500キロ走行は危ないから」
「地下走行は危ないから」
「磁界がヤバいから」
「電気をいっぱい食うから」
「南アルプスに穴をあけるから」
「自宅の下を通るのが気に食わないから」
「原発再稼働を前提としているから」
「巨大土管が目障りだから」
「赤字になるのは目に見えてるから」
「政府とつながってるから」
「500キロ走行は危ないから」
「地下走行は危ないから」
「磁界がヤバいから」
「電気をいっぱい食うから」
「南アルプスに穴をあけるから」
「自宅の下を通るのが気に食わないから」
「原発再稼働を前提としているから」
「巨大土管が目障りだから」
「赤字になるのは目に見えてるから」
「政府とつながってるから」
ということを繰り返すのみで反対の根拠としているような人が多いように見受けられます。極端なところでは、「JR東海の会長が戦争をしたがってるからリニア反対」という意味不明なものも…。これはまあ、戯言の一種だとは思いますが、しかしそれぞれの主張について具体的な論拠をあげずに反対するだけでは、説得力もないし、ふつうの人々の関心を呼び起こせるとも思えません。単なるストレス発散に終始してしまいます。
例えば「危ない」というのは、誰だってなんとなくイメージできますが、具体的にどのように危ないと考えられるのか、どなたか検証されているのでしょうか?
・物理的にどういうことが言えるのか
・一口に危険性といっても、事故そのものの危険性、車両の構造上の危険性、地下からの脱出困難、南アルプス山中からの脱出困難などいろいろ
・地下走行の安全性について、事業者や所轄官庁はどのように考えてきたのか
・そもそも安全性の所轄はどこになるのか⇒国土交通省なのか、消防庁なのか、自治体なのか、警察なのか…?
・安全性については法律上、どのような縛りがあるのか
⇒ちょっと調べただけでも、
建築基準法、消防法、鉄道事業法、大深度地下の公共的使用に関する特別措置法、バリアフリー法、建築物における衛生的環境の確保に関する法律、その他まあ、いろいろあるわけで、これら法律に照らし合わせてどういう問題があると予見されるのか?
・一口に危険性といっても、事故そのものの危険性、車両の構造上の危険性、地下からの脱出困難、南アルプス山中からの脱出困難などいろいろ
・地下走行の安全性について、事業者や所轄官庁はどのように考えてきたのか
・そもそも安全性の所轄はどこになるのか⇒国土交通省なのか、消防庁なのか、自治体なのか、警察なのか…?
・安全性については法律上、どのような縛りがあるのか
⇒ちょっと調べただけでも、
建築基準法、消防法、鉄道事業法、大深度地下の公共的使用に関する特別措置法、バリアフリー法、建築物における衛生的環境の確保に関する法律、その他まあ、いろいろあるわけで、これら法律に照らし合わせてどういう問題があると予見されるのか?
環境問題についても無数の切り口があるわけで、そこのところが整理できていないと、何が問題なのかもはっきりしないし、どうすればよいのかの道筋も立てられないんじゃないのかな?
◎問題発覚後でも対応可能な問題なのか?
◎問題発覚後では対応が不可能であり、事前に回避することが原則の問題なのか?
◎問題発覚後では対応が不可能であり、事前に回避することが原則の問題なのか?
◎工事期間中の問題なのか?
◎永久に続く問題なのか?
◎永久に続く問題なのか?
◎局所的な問題か?
◎広範囲に及ぶものか?
◎広範囲に及ぶものか?
◎類似事例があるのか?
◎未知の問題か?
◎未知の問題か?
◎環境影響評価書に示された環境保全措置で対応可能といえるのか?
◎生活環境破壊なのか?
◎自然破壊なのか?
◎生活環境・自然環境両方にまたがる問題なのか?
◎自然破壊なのか?
◎生活環境・自然環境両方にまたがる問題なのか?
◎影響を受けるものは何か?
◎目に見える被害か、見えない被害か?
◎懸念される被害というものは、多くの人が実感・共感できるものなのか?
◎法律や制度では、どのように規制されているのか?
◎環境影響評価制度で取り扱える問題なのか?
◎その問題はどこの行政機関が対応するのか
※南アルプス標高2000m残土捨て場に着目すると
残土そのもの⇒国土交通省
残土ではなく汚泥⇒環境省
残土中の有害物質⇒環境省、厚生労働省
森林開発許可⇒静岡県と静岡市
河川汚濁⇒国土交通省
環境影響評価⇒環境省
環境影響評価の事後調査⇒静岡県
県条例で保全されている希少植物を損傷⇒静岡県
林道整備⇒静岡市
残土崩壊の危険性⇒どこ?
※南アルプス標高2000m残土捨て場に着目すると
残土そのもの⇒国土交通省
残土ではなく汚泥⇒環境省
残土中の有害物質⇒環境省、厚生労働省
森林開発許可⇒静岡県と静岡市
河川汚濁⇒国土交通省
環境影響評価⇒環境省
環境影響評価の事後調査⇒静岡県
県条例で保全されている希少植物を損傷⇒静岡県
林道整備⇒静岡市
残土崩壊の危険性⇒どこ?
所轄行政機関はこんなふうに細分化されているらしく、国交省や環境省に文句をつけたってどうにもならないだろう。しかもここでいう「国土交通省」に、鉄道事業関係の部署は関係がないらしい。
◎被害を回避するためにはどのような対応策が考えられるのか?
◎その対応策は、現在の事業計画内でも十分にとれそうなものか?
こういうところを自問しつつ、問題点を整理することが必要なんじゃないのかな?
場合によってはJR東海のほうから「悪質なクレーマー」として逆に非難されてしまうかもしれません。都合のいい記事を書いてくれるライターを使って、反対派住民への非難をおこなうことなど朝飯前でしょう。それは極端だとしても、共感を得られにくい主張を繰り返すと、フツーの人から余計におかしな目で見られてしまうかもしれない。
下手をすると、リニア計画への批判が反対派封殺の手段になりかねないってことです。「みんなの夢を阻害するだけ」なんてレッテルを貼られたら最悪なのでは…?
そうならないようにするにはどうしたらよいのか、そこのところをよく考える必要があるんじゃないのかな?
何だかとりとめのない話になってしまいましたが、批判がありましたらどうぞコメント欄へ。