何やら、唐突にブログのカウンターが増えてびっくりしました。
何だろう?と思って調べてみたら、こんな記事が出回っていたんですね。
JR東海が2027年の開業を目指して東京(品川)―名古屋間に整備するリニア中央新幹線が、9月中にも着工される見通しになった。
政府は6月に閣議決定した新たな成長戦略で、リニア中央新幹線について「早期整備・活用を図る」方針を打ち出しており、実現すれば、東京―名古屋間を最速40分で結ぶことになる。
JR東海は環境影響評価(環境アセスメント)書の最終版を国土交通省や沿線自治体に近日中に示し、工事実施計画の認可を国交省に申請する方針を固めた。国交省は工事方法などを記した計画の妥当性などを審査し、9月中にも認可する見通しだ。
同社は認可後、速やかに各地に工事事務所を設置し、沿線に対する工事計画の説明や用地取得の手続きを始める。地下の構造が複雑な品川、名古屋の両ターミナル駅や、3000メートル級の山々が連なる南アルプスの工事を優先的に進める考えだ。
政府は6月に閣議決定した新たな成長戦略で、リニア中央新幹線について「早期整備・活用を図る」方針を打ち出しており、実現すれば、東京―名古屋間を最速40分で結ぶことになる。
JR東海は環境影響評価(環境アセスメント)書の最終版を国土交通省や沿線自治体に近日中に示し、工事実施計画の認可を国交省に申請する方針を固めた。国交省は工事方法などを記した計画の妥当性などを審査し、9月中にも認可する見通しだ。
同社は認可後、速やかに各地に工事事務所を設置し、沿線に対する工事計画の説明や用地取得の手続きを始める。地下の構造が複雑な品川、名古屋の両ターミナル駅や、3000メートル級の山々が連なる南アルプスの工事を優先的に進める考えだ。
これこそまさに、世論を「リニア着工は既成事実」という方向へ持っていこうという意思が働いているんじゃないのかな?
あからさまに、手続き上ヘンですよ。
冒頭部分。 「JR東海が2027年の開業を目指して東京(品川)―名古屋間に整備するリニア中央新幹線が、9月中にも着工される見通しになった。」
現在は、環境影響評価手続きの途中です。7月18日に、国土交通大臣がJR東海の作成した環境影響評価書に対する意見書を提出し、それを受けて、JR東海が評価書の補正作業を行っている最中です。
この作業が終わったのち、JR東海は補正版評価書を公表することになります。
補正版評価書を作成・公表しないと、事業認可申請は出せません。
事業認可申請をおこなうためには、次のような事項を記した書類が必要です(全国新幹線鉄道整備法の規定による)
●路線名
●工事の区間
●線路の位置(縮尺二十万分の一の平面図及び縮尺横二十万分の一、縦四千分の一の縦断面図をもつて表示すること。)
●線路延長
●停車場の位置
●車庫施設及び検査修繕施設の位置
●工事方法
●最小曲線半径
●最急勾配
●軌道の中心間隔
●軌条の種類
●枕木の種類及び間隔
●道床の構造
●施工基面の幅
●軌道及び橋梁の負担力
●停車場における本線路の有効長
●列車の制御方式
●通信設備の概要
●電車線の電気方式
●電車線の吊架方式、種類及び太さ
●饋電線、送電線及び配電線(低圧のものを除く。)の架設方式、種類及び太さ
●発電所及び変電所の概要
●建設工事に伴う人に対する危害の防止方法
●その他工事の実施に関し必要な事項
●工事予算(第一号様式)
●工事の着手及び完了の予定時期
●工事の区間
●線路の位置(縮尺二十万分の一の平面図及び縮尺横二十万分の一、縦四千分の一の縦断面図をもつて表示すること。)
●線路延長
●停車場の位置
●車庫施設及び検査修繕施設の位置
●工事方法
●最小曲線半径
●最急勾配
●軌道の中心間隔
●軌条の種類
●枕木の種類及び間隔
●道床の構造
●施工基面の幅
●軌道及び橋梁の負担力
●停車場における本線路の有効長
●列車の制御方式
●通信設備の概要
●電車線の電気方式
●電車線の吊架方式、種類及び太さ
●饋電線、送電線及び配電線(低圧のものを除く。)の架設方式、種類及び太さ
●発電所及び変電所の概要
●建設工事に伴う人に対する危害の防止方法
●その他工事の実施に関し必要な事項
●工事予算(第一号様式)
●工事の着手及び完了の予定時期
●線路平面図(縮尺五万分の一のもの)
●線路縦断面図(縮尺横二万五千分の一、縦二千分の一のもの)
●停車場平面図(縮尺二千五百分の一のもの)
●停車場設備表(第二号様式)
●車庫施設及び検査修繕施設の概要を示す表(第三号様式)
●橋梁、隧道その他の主要な建造物の概要を示す表
●連動図表
●通信回線図
●電車線路標準装柱図
●饋電系統図、送電系統図及び配電系統図(低圧のものを除く。)
●変電所単線結線図
●運転保安設備の概要を示す書類
●車両の概要を示す書類
●予定運行図表
●特殊な設計がある場合には、その概要を示す書類
●建設工事の工程表
以上のような事項を記した書類を国土交通省に提出します(全国新幹線鉄道整備法第9条)。
国土交通省は、これらの書類を審査するとともに、補正版評価書が、先に述べた国土交通大臣意見を勘案(勘案という言葉の意味については8/4ブログ記事をご覧ください)できているか、きちんと環境保全措置が講じられるといえるのかを検討しなければなりません。これは、環境影響評価法第33条の規定です。
読売新聞の記事は、まだ補正版評価書も公表されていないのに、これら全国新幹線鉄道整備法第9条と、環境影響評価法第33条の審査が、今から一月少々で終了する見通しとなったと報じているわけです。
どこから、誰がそんな話を作り上げたんだ?????
調査・報道に求められる、5W1HつまりWhen(いつ)、Where(どこで)、Who(だれが)、Wha(何を)、How(どのように)、Why(なぜ)が全く分からず、記事として失格のように思われます。国土交通省に取材したのか、JR東海に取材したのか、記者による推測なのか、いろいろ総合的に記者がまとめた推論なのか、それすら分かりません。起承転結もできてませんし。
もうまもなく補正版評価書が出されそうだというなら、そういう記事を書けばいいのになあ?
そういえば、先週12日にも、中日・東京新聞が似たような記事を書いておりました。
さらに、先週16日土曜日の夜7時のNHKニュースでは、わけのわからないリニア関連のニュースが流されていました。
唐突に、マスコミ各社が出所不明の怪情報を流し出した感があります。「リニア着工は既成事実だ!」という世論を作り上げたい人々が、どこかで暗躍しているのかもしれません。裏をかえせは、そんなことをコソコソやらないと建設できないシロモノなのかな?
まさか、こちらのYouTube動画への対抗策じゃあるまいし・・・。
https://www.youtube.com/watch?v=u-cLZ2m6324&feature=player_detailpage#t=0
https://www.youtube.com/watch?v=u-cLZ2m6324&feature=player_detailpage#t=0
なお、9月あるいは10月着工というのは基本的に不可能です。着工といっても、品川や名古屋駅の地下を掘り下げる準備をする程度なのでしょう。
というのは、いくらリニアとはいえ、どこでも好き勝手に穴を掘ってはいけないからです。地上区間や地下浅い場所、縦穴では土地を購入しなければなりませんが、用地買収は(建前上)事業認可を受けてから始まります。それから、用地買収の不要な大深度地下を使用するには国や都県の許可が必要ですが、その使用許可手続きもまだ終わっていません。県によっては環境影響評価の事後調査計画書の作成が義務づけられていたり、保安林の解除手続き、林地開発許可の申請、河川法の工事申請、水利権調整など、「着工」までのハードルはまだまだあります。
記事では「南アルプスから優先的に工事を始める見込み」だなんて書いてあるけれども、一番手続きが残っているのは南アルプスです。行政上の手続きがたくさんあるうえ、水、残土、生態系、残土運搬など一番問題があるのも南アルプス。
こういう事実を一切無視して、あたかも10月からトンネル工事が始まるかのような記事を書くのは悪質だと思います。