昨日(4日)、JR東海が環境影響評価事後調査計画書を公表しました。
これは環境影響評価法第38条に基づく事後調査(モニタリングなど)報告を行うための計画書であり、その作成は法律で作成を義務付けられているわけではありません。しかし東京都、静岡県、名古屋市においては、条例で作成が義務付けられており、それに合わせて山梨県、長野県、岐阜県、愛知県版も作成したのでしょう。
で、これを見て驚いたのですが・・・
もしかしたら、リニアの着工は相当先なのではないか!?
こちらは、山梨県における水資源についての事後調査計画です。
小さくて申し訳ありませんが、クリックして確認してご覧になってください。
右端の四角く囲ったところには、井戸の水位や河川流量を、トンネル工事着手前の1年間にわたって観測するとしています。
そして下端の赤線部分には、計測地点は専門家等の助言を踏まえて計画を策定するとしています。なお南アルプスの静岡県側では調査地点候補地を9地点あげており、長野県側は未定となっています。
ん?
着工前に1年間調査?
その場所は未定?
????
リニアについては、2027年開業を実現するために早期に着工しなければならないという話をさんざん聞かされてきました。
南アルプスとて例外ではなく、年明けにも着工するという話も伝えられています。
http://www.at-s.com/news/detail/1174133555.html(2014/10/18静岡新聞記事)
ところが、着工する前に1年間事前観測を行うのなら、トンネル工事に取り掛かるのは昨日から1年以上先ということになります。静岡の場合、計画書に対する知事意見が30日後に公表されるのを待たねばならないので、1年一か月以上先となります。
場所がまだ決まっていないのなら、それを決める作業も必要となります。今年12月19日に、JR東海がトンネル工事による水問題について専門家会議を開くという話なので、おそらくそれ以降になるのでしょう。
「早期着工」「来年着工」という割には、妙に悠長だと思われませんでしょうか?
工学書を読み漁ってみると、トンネル工事における事前の河川流量調査は、環境への影響を把握するだけではなく、工事遂行のうえでも欠かせないものだそうです。すなわち、湧水の傾向、破砕帯の位置などを知るために欠かせないとのこと。その調査地点が、「着工直前」とされる現段階で決まっていないなんて、何か妙ではないでしょうか?
スケジュールという面でもおかしな気がします。
ルートの概略は、2011年9月の環境影響評価方法書の段階では幅3㎞の帯示され、2013年9月の準備書で確定されました。2年間ありましたから、河川流量調査はこの間に終わらせておくことが可能だったはずです。っていうか、普通のアセスならそうします。わざわざ二度手間にする必要性なんてないからです。でも、なぜか今から調査を開始…。しかも下手をすれば、「アセスで適切な調査が不足している」と訴えられる可能性すらある…。
そんな二度手間を行うなんて、全く急いでいないようにも見受けられます。
また、上記のスケジュールだと、南アルプスのトンネル工事に取り掛かるのは、2016年以降となることにとなります。評価書に掲載された工事計画によると、2025年には試運転を行うということなので、9年で南アルプスを貫通させる計画ということになります。
NEXCO中日本が、東海北陸自動車道の建設工事において、長さ10㎞の飛騨トンネルを完成させるのに10年以上かかったそうです。それなのに、長さ25㎞、斜坑や工事用道路トンネルまで合わせると計40㎞にもなる南アルプス本体区間(それぞれの工区は斜坑も含めると推定7~8㎞)、を、たった9年で完成させることなど可能なのでしょうか?
前回のブログ記事と同様に、急いでいる割には急いでいないように見受けられ、何か妙です。