JR東海による燕沢付近の巨大発生土置き場計画ですが、どう考えても土砂災害もしくは河川荒廃を引き起こすのではないかと思うのであります。
前回は、左岸の沢を巨大盛土で塞いだらどうなるだろうということを考えました。盛土によって沢の出口を狭めたら、これまで河原に堆積していた砂礫が、そのままダイレクトに河道に流れ込み、川を塞いでしまうのではないかという疑問を抱きました。
衛星画像や地形図を見ると、この発生土置場候補地の右岸(写真では左手)からも、源頭に大規模な崩壊地をもつ沢が2本流入しています。その上流側には、広範囲の斜面が全般的に崩れている箇所もあります。これら右岸の崩壊地との関係についても考えてみようと思います。
図1 衛星画像
GoogleEarthから複製。加筆
図2 環境影響評価書のコピー
図3 全体的な工事個所の位置関係
衛星画像によると、この崩壊地から大井川本流へ流れ下る沢には、少々緑の部分が見受けられます。70年前の空中写真と比較してみても緑の部分が増えているようであり、この間は比較的安定していたのでしょう。
(前々回記事参照)
http://blogs.yahoo.co.jp/jigiua8eurao4/13812317.html
(前々回記事参照)
http://blogs.yahoo.co.jp/jigiua8eurao4/13812317.html
ところがそれでも、大規模な崩壊地をもつことには変わりません。源頭すなわち沢の一番上流の部分は崖になっており、後方への侵食が続いていることがうかがえます。
ところで川沿いでは、水の力によって岸が削られることにより、下からの支えを失ってバランスが崩れ、広い範囲がズルズルと崩れ落ちていることがよくあります。このような河川の作用を側刻(そっこく)と言います。上の衛星画像でいうと、Aの部分で、特に側刻が活発なようです。裸地が広がっていますが、約40年前の写真と比べ、明らかに拡大しているからです(前々回記事参照)。
JR東海の計画によると、巨大盛土(最大で高さ50m、長さ1000mを想定)は右岸よりに計画されているようです。そのため、これを実行したら、川の流れは必然的に右岸よりになります。また、大雨の際には、これまで河原いっぱいに広がって流れていた濁流が、右岸側に集中して流れることになるので、これまでよりも強い力で右岸を削ることになるでしょう。
側刻するスピードが増すことにより、新たな崩壊を助長するような気がします
。
衛星画像のAの示した部分はもとより、B・Cの崩壊地の間でも即刻が活発になるように思われます。ここで側刻が進めば、現在は安定を保って緑に覆われているその間の斜面が全体的に崩れてしまうことはないのでしょうか?
また、BやCの沢は土石流を頻繁に起こしていると見られます。現在のところ、河原の幅が広いために本流全体を埋めてしまうことはなく、河原に堆積した砂礫は、徐々に下流に流されてゆくことになります。とこが、その対岸を分厚く盛土で覆ってしまったら、流れ込んだ土石流の行き場がなくなります。容易に川をせき止め、より規模の大きな土石流を誘発するかもしれません。
このような、侵食と堆積が激しく進んでいる場所に、大量の盛土を行うという話は、聞いたことがありません。本当にどうするつもりなのでしょうか?
環境影響評価書では、こんなこと一言も書いていないのですけど。。。
図4 環境影響評価書(静岡編)よりJR東海による燕沢付近発生土置場についての見解