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Channel: リニア中央新幹線 南アルプスに穴を開けちゃっていいのかい?
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事業計画を大幅変更するのなら環境アセスメントをやりなおしてください。

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環境影響評価をやり直してくださいな 

本日静岡市役所で開かれた環境影響評価専門家会議において、JR東海の担当者から、大井川沿いの平坦地「燕沢」に、静岡県内での発生土(360万立方メートル以上)を集約する案についての説明がなされたという。そして本線トンネルから掘り出された発生土を運搬するために、新たに道路トンネルを建設する必要があるのだという
(25日の静岡新聞記事)


26日の新聞報道によると、これまで西俣~扇沢に計画していた道路トンネルの位置を変更し、西俣斜坑~燕沢(約4500m)にするのだという。工事用トンネルの長さが6割程度に減るので環境負荷が減るのだとか。

26日の静岡新聞 



冗談ではない。

おい、東海旅客鉄道株式会社さんよ。
アンタらの庭じゃないんだぞ!

イメージ 2
このあたりぶっ潰すんだって。。。
(昨年10月に南アルプスを訪れた方よりご提供いただきました。上千枚沢合流点付近の工事施工ヤード予定地) 


とまあ、キレそうになったわけだ。勝手にいじくり回すのが実に気に食わないのだけど、もうちょっと冷静に考えてみよう。



環境影響評価が終了し、事業認可を受けたのは昨年8月のことでした。それをもとにして11月4日に事後調査計画書が県へ提出されました。このあと、静岡県内においては、環境影響評価の結果を含めて事業計画の変更が相次ぎました。

イメージ 1

イメージ 3

環境影響評価の間は、発生土について上記地図に示したA~Gの7地点に分散して処するとしており、その前提で評価書が作成されました。しかし山の稜線上にあるA地点を中止し、大井川沿いのB地点(燕沢平坦地)に全量を集約しようと言い始めたのです。このため発生土運搬のために、新たな工事用トンネルを掘るともしています。図中では東西2本の工事用道路トンネルが計画されていますが、これらは中止し、新たに西俣斜坑と燕沢と直結するトンネルを掘るのだそうです。

ところで今年に入ってから、コロコロと話が変わり続けています。

①扇沢の発生土置場の使用を中止し、全量を燕沢平坦地に集約する案を表明(2015/4/15)。
②前項に伴い、道路トンネルの位置・規模の変更計画を表明(同/9/25)。

の他にも、

③JR東海の調査では確認されなかったとされるヤマトイワナ(絶滅危惧ⅡB)について、地元漁協の調査から異議が出され(同4/30)、市の委託調査によっても生息が確認される(同6/9)。
④トンネル内に発生する湧水を大井川に流すためとして、長さ12㎞の導水路トンネルの建設計画を表明(同4/14)。
 

こんな具合です。たった5か月間の出来事です。特に④については、大井川における河川流量への環境保全措置の方針として評価書に書かれた内容を全面的に否定するわけでして、評価書の信頼性が根本的に疑われます。


これら変更にともなう、環境影響評価書の記載事項の変更は次のように多岐にわたるはずです。

●工事用車両の通行台数の場所ごとの変更
●工事の順序やスケジュールの変更
●工事用道路トンネルの位置・規模変更
 ・発生土量の変更
 ・トンネル頭上の沢・地下水への影響が不明
 ・坑口における景観への影響
●環境保全措置としての工事用道路トンネルの妥当性
●燕沢に発生土を集約した場合の諸予測結果の変更
 ・生態系への影響(そもそも予測していない)
 ・環境保全措置の妥当性
 ・景観への影響
 ・周辺の崩壊地からの土砂流出へ与える影響
 ・工事騒音の増大
●導水路トンネル建設による諸影響についてアセス未実施
 ・発生土量の増加
 ・坑口付近での生態系や景観への影響
 ・工事用車両の通行台数
 ・頭上の沢への影響
●導水路トンネル計画における論理破綻(⇒2015/6/14ブ
ログ記事
 ・建設目的が不明
 ・評価書における河川流量についての環境保全措置を否

●ヤマトイワナについての環境保全措置が論理破綻
 ・「いないこと」を前提に話を進めていた
●事後調査計画の内容にも変更が生じうる


静岡県内での地上工事は、発生土の運搬と発生土置場の造成が大半ですから、それを全面的に変更することは、地上で発生する環境負荷の予測結果がほぼ全面的に変わることを意味するのです。

環境影響評価法の施行規則により、評価書が確定した後にアセスを再実施するかどうかの判断は事業者に委ねられます。

しかし事業認可の前提となった環境影響評価書の記載事項がほぼ全面的に変更されるわけです。しかも、変更後の事業計画については住民・地元専門家等からの意見提出の場は設けられないままとなってしまいます。

JR東海には、自主的なアセス再実施が求められると思います。

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