ここのところ、夕方以降、肩~首~歯が痛くなる…というわけで、更新が滞っています。ガチガチに凝ってます。。。
えー、フランスのパリというと、まさに同時多発テロの衝撃的なニュース一色ですが、そのパリにおいて、今月30日からフランス・パリで、気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)および京都議定書第11回締約国会議(CMP11)が開催されます。
http://www.jccca.org/trend_world/conference_report/cop21/
こちらの情報については疎いのですが、2020年以降の、新しい温暖化対策の枠組みを話し合うことになっているようです。
さて、我らが日本政府は、温室効果ガスの排出量を、2030年までに2013年に比べて26%削減することを目標に掲げております。
というわけで、国の行う様々な事業についても、温室効果ガス排出量の削減が求められております。
最近、石炭火力発電所のアセスにおいて是正が求められるというニュースが相次ぎましたが、これもその一環というわけです。
内閣には地球温暖化対策推進本部なんていうものも設けられています。https://www.kantei.go.jp/jp/singi/ondanka/
その他、クールビズだのサマータイム制度だの、雀の涙のような(?)努力で、何とか削減目標をを達成しようとしているらしい。
しかしですねえ、その政府がリニア中央新幹線の整備計画を後押ししているわけです。電気バカ食いである超電導リニアの推進を国が後押しするってぇのは、温室効果ガス削減の点から見ると、なんだかミョーな話じゃないかと思うわけですよ。
例えば、平成10年に制定された地球温暖化対策の推進に関する法律ってのがあるんですが、これの第三条(国の責務)に反しているような気がします。
一部を抜粋しますね。
第三条
2 国は、温室効果ガスの排出の抑制等のための施策を推進するとともに、温室効果ガスの排出の抑制等に関係のある施策について、当該施策の目的の達成との調和を図りつつ温室効果ガスの排出の抑制等が行われるよう配意するものとする。
3 国は、自らの事務及び事業に関し、温室効果ガスの排出の量の削減並びに吸収作用の保全及び強化のための措置を講ずるとともに、温室効果ガスの排出の抑制等のための地方公共団体の施策を支援し、及び事業者、国民又はこれらの者の組織する民間の団体が温室効果ガスの排出の抑制等に関して行う活動の促進を図るため、技術的な助言その他の措置を講ずるように努めるものとする。
青く表示した部分に照らし合わせると、リニア推進ってヘンじゃないですか? まあ、「努めるものとする」という書き方なので、努力目標にすぎないって言えば、その通りなんだけど。
また、平成25年には交通政策基本法というものが平成25年に制定されましたけど、そこでは環境問題を念頭において次のような条文が設けられています。
(交通による環境への負荷の低減)
第四条 交通に関する施策の推進は、環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであること及び交通が環境に与える影響に鑑み、将来にわたって、国民が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受することができるよう、交通による環境への負荷の低減が図られることを旨として行われなければならない。
ここで定められた国の責務を放棄しとるんじゃないのでしょうか?
電気バカ食い
=温室効果ガス大量排出
である超電導リニアは、やっぱ、政策として推進しちゃマズいんじゃないのかな?
「超電導リニアによる中央新幹線の実現」というのは、東海道新幹線からの乗客シフトを前提として成り立っている計画です。その東海道新幹線に比して一人当たりの二酸化炭素排出量は、環境影響評価書によると約4,1倍としています。もっと一人当たり排出量の多い航空便からの乗客シフトがあるとはいえ、それは全乗客数の1割しか見込んでいない。
そんなわけで、もしもリニアが大阪まで開業すると、東京~大阪間における全旅客輸送にともなう二酸化炭素排出量は、現在よりも1割増えるという試算になっています。
環境影響評価書より複製
リニア推進すべし!という方々の主張を見ると、「より排出量の多い航空機よりは環境にやさしい」という論調で書かれていることがありますが、これはJR東海自身が否定しているわけです。
期成同盟会ホームページより複製
例えば期成同盟会のページにはこんなことが書いてあるけれども、こんなのはデタラメなんですよ。子供向けページとはいえ、子供だましにもなっとらんわけです。こんなもん、堂々と掲げて恥ずかしくないのかい?
この理屈で推進するのなら、航空機が大半のシェアをもっている地域でなければ成り立たないし、それと同時に、温室効果ガス排出以外の環境破壊にも目をむけ、削減のための手法として妥当かどうかも検証しなければならないはずです。
さて、この評価書について環境省は「これほどのエネルギー需要が増大することは看過できない」としました。しかしながら国土交通省は認可し、その後は国の成長戦略に位置付けられるようになります。
つまりは、2030年までの温室効果ガス排出量を26%削減させるのが国全体の目標であるはずなのに、日本の大動脈における二酸化炭素排出量は現状の10%増しを容認し、それどころか政府一丸となって後押ししていることになります。
発電のために温室効果ガスを出す側について厳しい姿勢をとるのは理解できますが、エネルギー(電気)を使う側についてはどうでもいいってのは、なんだかおかしくないのかなあ?
…時々、国会においてリニア計画推進上の問題点について話題になることがあるる。けれども、「JR東海は住民の声を聞いていない」とか、「説明会の方法が悪い」とか、枝葉末節的な話ばかりのようである。
そういう具体的な問題は国会ではなく地方議会のレベルで扱うべきであると思う。国会というのは国政を議論する場であるのだから、政策としてみたリニア計画の問題点を話し合うべきなんじゃないのだろうか?
国として温室効果ガス削減をうたいながら、その目標と著しく乖離した交通政策を推進していることの矛盾点を追及してもらいたいところである。