以下に書くことはヘリクツである。
リニア中央新幹線は全国新幹線鉄道整備法に基づいて整備計画が事業認可されたが、その基準を満たしていない
同法には次のような規定がある。
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、高速輸送体系の形成が国土の総合的かつ普遍的開発に果たす役割の重要性にかんがみ、新幹線鉄道による全国的な鉄道網の整備を図り、もつて国民経済の発展及び国民生活領域の拡大並びに地域の振興に資することを目的とする。
(目的)
第一条 この法律は、高速輸送体系の形成が国土の総合的かつ普遍的開発に果たす役割の重要性にかんがみ、新幹線鉄道による全国的な鉄道網の整備を図り、もつて国民経済の発展及び国民生活領域の拡大並びに地域の振興に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「新幹線鉄道」とは、その主たる区間を列車が二百キロメートル毎時以上の高速度で走行できる幹線鉄道をいう。
(新幹線鉄道の路線)
第三条 新幹線鉄道の路線は、全国的な幹線鉄道網を形成するに足るものであるとともに、全国の中核都市を有機的かつ効率的に連結するものであつて、第一条の目的を達成しうるものとする。
つまり高速で走行する新幹線鉄道の整備によって地域の振興に資する(=役立つ、助けになる)ことが全幹法の目的であり、その目的を達成しうる路線でなければ新幹線鉄道たりえないらしい。
このうち第二条の定義についてはクリアしていると思うのだけど、どうも第三条がアヤシイ。
ところで、同法第八条に基づいて作成された整備計画(平成23年5月26日)とは次のようなものである。
赤線を引いたところに主要な経由地として「赤石山脈(南アルプス)中南部」と明記してある。
この中央新幹線は、「主要な経由地」である「赤石山脈(南アルプス)中南部」には、デメリットしか与えない。
【主だったデメリット】
●大量の残土が出てくる
⇒早川町、富士川町、大鹿村、中川村、豊丘村では搬出のために大量の工事用車両が通行
⇒静岡市では大井川源流部に360万立米を置き去り
●災害誘発の懸念
●河川流量の減少
⇓
●生活環境の大幅な悪化
●大規模自然破壊
●立ち退き要請
●景観の破壊
●観光客の減少
●ユネスコエコパークとしての価値・信頼性の低下
●非常口設置で緊急時の地元への負担増
●国立公園区域拡張計画の頓挫
●大量の残土が出てくる
⇒早川町、富士川町、大鹿村、中川村、豊丘村では搬出のために大量の工事用車両が通行
⇒静岡市では大井川源流部に360万立米を置き去り
●災害誘発の懸念
●河川流量の減少
⇓
●生活環境の大幅な悪化
●大規模自然破壊
●立ち退き要請
●景観の破壊
●観光客の減少
●ユネスコエコパークとしての価値・信頼性の低下
●非常口設置で緊急時の地元への負担増
●国立公園区域拡張計画の頓挫
こんなことが想定されているのだが、こんな負担を押し付けて完成させたとしても、単に通過してゆくだけであり、本当に全くメリットがない。
もしかすると推進している側から見れば、
●関連工事による道路整備
●固定資産税の増加?
●甲府・飯田新駅設置による観光客の増加
●関連工事による道路整備
●固定資産税の増加?
●甲府・飯田新駅設置による観光客の増加
を「地域振興」の根拠とするのかもしれない。しかし道路整備はリニアの建設目的ではない(必要なら無関係に造ればいい)、観光客の数は全くの皮算用。しかも仮に利益が見込めるとしても、十数年も続く工事による不利益を補って余りあるものなののかはおおいに疑問がある。
さらに静岡市側にいたっては、完全にデメリットだけであろう。
さらに屁理屈をごねて、「東海道新幹線の運転本数が減れば、ひかり号を増発したり静岡空港に新駅を造ったりすることが理屈の上では可能」としても、それは「赤石山脈中南部」の地域振興とは関係がない。
というわけで、「主要な経由地」である南アルプス地域に対しては、どうヘリクツをこねても「地域の振興に資する」ようには見えない。そればかりか「主要な経由地」に不利益のみを押し付ける高速鉄道は、全国新幹線鉄道第一条および第三条に反している!
以上、ヘリクツでした。