リニア計画の行方を左右するかもしれない中部横断自動車道の残土問題です。あまり詳しく調べているわけでもなく、また、工区ごとに建設主体が分割されているために、全体像がつかみにくくなっていますが、疑問に感じることを並べてみます。
ことし8月20日、静岡新聞に次のような記事が掲載されました。
この中部横断道は、山梨県甲斐市の双葉ICから静岡県の清水港まで、富士川沿いの山間部を貫くため、多くのトンネルが設けられます。そのトンネル工事において、地盤が悪くて土砂崩落が相次ぐ、大量の湧水が発生するなど難航し、そのうえ建設発生土に基準値を超える有害物質が検出され、その処理に四苦八苦しているということです。
国土交通省甲府河川国道事務所の記者発表
産経新聞によると、掘り出した発生土の置き場確保にさえ苦慮しているとか。
ところで、この有害物質については、すでに平成25年ごろから問題化していたようで、当時から対策を考案していたそうです。
一部を抜粋して貼り付けておきます。
産経新聞記によると、今後も有害物質を含む発生土が生じるのは確実とみられるものの、その置き場の確保さえ決まっていないとのこと。3年前から対策に迫られていたのに未だ確保できていないのであれば、よっぽど場所の選定に苦慮しているに違いありません。
ところで中部横断道は、北から
増穂IC~六郷IC(9.3㎞)…中日本高速道路
六郷IC~富沢IC(28.3㎞)…国土交通省
富沢IC~新清水ジャンクション(21.9㎞)…中日本高速道路
と、建設主体が分割されています。ここに掲げられた「当該事業(全19本、総延長約15kmのトンネル)とは、国土交通省直轄区間だけを指しています。ここだけで380万立米の発生土が出るのですから、中日本高速道路担当区間も含めると、合計600万立米ぐらいに達するのでしょう。そのうち有害物質を含むのはどのぐらいになるのでしょうか・・・?
話が突然変わりますが、現在、GoogleEarthで甲府盆地の中部横断道建設現場付近を眺めると、あちこちに青いビニールシートの小山が見受けられます。今年5月に撮影されたものだそうです。
ピンクの線で囲った部分です。おそらくこれが、有害物質を含む発生土なのでしょう。このあと、盛土に封じ込められるのを待っているのでしょうか。なんだか、えらく遠くまで運ばれていますが、置き場の確保に四苦八苦したであろうことがうかがえます。
衛星画像にはリニア中央新幹線の予定ルートも記入しておきました。
リニア中央新幹線の建設エリアは、中部横断道の建設エリアと重なります。そしてリニア建設にともない山梨県内に出される発生土は672万立米。行き先はほとんど決まっていません。
中部横断道から建設発生土の処分が確定していない、このタイミングでリニア着工に踏み切れば、いっときに1000万立米を上回る量が峡南地域に吐き出されることになります。
中部横断道の場合、盛土区間にある程度の量の汚染土壌を閉じ込めたそうですが、リニア建設の場合、それこそ行き場がない!
ヤバくないですか・・・?
前回、前々回のブログで紹介した通り、山梨県からは早川芦安連絡道路建設や芦安温泉付近の駐車場造成に160万を使うという構想が出ていますが、それならば、先に着工した中部横断道からの発生土を使ったほうが合理的な気もします。