本日、長野県側の大鹿村において、リニアの南アルプス横断トンネルの起工式が行われました。住民の合意が全く進まないままの起工式ということになったようです。
今回の大鹿村における起工式は、先週末に山梨県早川町にて報道陣向けに行われたズリ搬出と同じく、財政投融資実現のための独立行政法人法改正のためにパフォーマンス的な要素が強いのではないかと思います。
現時点で残土の処分先がほとんど決まっていないのだからトンネルは掘れない!
南アルプストンネルから早川町と大鹿村に掘り出される発生土は合計457万立方メートル。それに対し、現時点で確定しているのは早川町塩島の3万立方メートルだけ。
全体の0.6%にしかなりません。
さて、その大鹿村において、残土についての学習会が催されたそうです。その模様はこちらに詳しく描かれています。
http://shuzaikoara.blog39.fc2.com/blog-entry-515.html
http://shuzaikoara.blog39.fc2.com/blog-entry-515.html
残土の処分先が決まっていないのに穴を掘ろうという不思議な計画。というわけで、私なりに発生土の取り扱いに関するリンク集を作成してみました。
●基本事項
資源の有効な利用の促進に関する法律
・建設発生土は同法施行令第2条において、「建設副産物」と定義されている。よって廃棄物(ゴミ)ではない。⇒建設副産物の解説
・同法に基づき、国土交通省などはマニュアルを作成している。リニアの建設発生土を他の事業に用いる場合は、このマニュアルに従うことになる。
●環境影響評価書への国土交通大臣意見で回避すべきとされた場所(大意)
・土石流の起こるような急勾配の河川流域
・地すべりの上(下なら地すべり防止に有効とされる)
・急斜面の上
・希少な動植物の分布域
・生態系保全上、重要な場所
・土石流の起こるような急勾配の河川流域
・地すべりの上(下なら地すべり防止に有効とされる)
・急斜面の上
・希少な動植物の分布域
・生態系保全上、重要な場所
・景観保全上、重要な場所
・人々の憩いの場
⇒特に問題のある地点については、各自治体ごとに条例や指針などにより開発規制がなされていると思います。
●建設発生土の概念
処理業者による分かりやすい解説
●建設発生土および建設汚泥の再利用基準
国土交通省ホームページhttp://www.mlit.go.jp/tec/hasseido.html
・発生土は水分含有量、性状、強度等により、第1種~第4種建設発生土および泥土の5段階に区分される。第1、第2種建設発生土は建設資材として有効利用されるが、第3、第4種では利用に制約があり、泥土になるとほとんど使い道がないらしい。
●盛土、谷の埋立などを行う際の開発許可に関わる主な法律・制度
河川法
・河川法適用河川を埋め立てるような場合、以下の許可が必要となる。
第24条(土地の占用の許可) ⇒河川区域を埋め立てる場合
第26条(工作物の新築等の許可)⇒盛土の擁壁、土留工、砂防ダム等を河川に設置する場合
第27条(土地の掘削等の許可)⇒河川区域に盛土を行う際の許可基準
第26条(工作物の新築等の許可)⇒盛土の擁壁、土留工、砂防ダム等を河川に設置する場合
第27条(土地の掘削等の許可)⇒河川区域に盛土を行う際の許可基準
森林法
・林地開発許可制度(第10条の2)
http://www.rinya.maff.go.jp/j/tisan/tisan/con_4.html
⇒森林法第5条の規定に基づき都道府県知事が定めた地域森林計画の対象民有林にて、1ヘクタール以上の開発行為を行うための許可手続きを定めたもの。
・保安林制度(第25条、第30条)
⇒森林法第5条の規定に基づき都道府県知事が定めた地域森林計画の対象民有林にて、1ヘクタール以上の開発行為を行うための許可手続きを定めたもの。
・保安林制度(第25条、第30条)
水源の涵養、土砂の崩壊その他の災害の防備、生活環境の保全・形成等、特定の公益目的のために、農林水産大臣又は都道府県知事によって指定される森林。開発には許可が必要。
農地法
・農地転用許可制度
農地を農業以外の用途に転用する際の手続き
土壌汚染対策法
工場跡地等、汚染の確認された地域の土壌についての取り扱いを定めた法律。建設発生土に基準値以上の自然由来重金属等が検出された場合についても、人為的汚染土壌と同様に取り扱うべきとされる。
以下はどちらも環境省の解説ページへリンク
(詳細解説)http://www.env.go.jp/water/dojo/pamph_law-scheme/
●海岸を埋め立てる場合
⇒公有水面埋立法を中心に、海岸法、河川法(河口部の場合)、土地開発法、都市計画法などが複雑に絡んでくるらしい。ブログ作者の理解の範囲を超えています。
●リニア沿線および周辺自治体の盛土・土地の埋立等に関する条例
東京都
町田市 土砂等による埋立て等の規制に関する条例 (面積500㎡以上/高さ1m以上を対象)
八王子市 土砂等による土地の埋立て等の規制に関する条例 (面積500㎡以上/高さ1m以上を対象)
東京都
町田市 土砂等による埋立て等の規制に関する条例 (面積500㎡以上/高さ1m以上を対象)
八王子市 土砂等による土地の埋立て等の規制に関する条例 (面積500㎡以上/高さ1m以上を対象)
神奈川県 土砂の適正処理に関する条例 (面積2000㎡以上)
神奈川県下19の市・町で条例制定(相模原市、平塚市、藤沢市、小田原市、秦野市、厚木市、伊勢原市、海老名氏、座間市、南足柄市、綾瀬市、葉山町、大磯町、中井町、大井町、松田町、山北町、愛川町、茅ヶ崎市)
うち、リニア沿線では相模原市 土砂等の埋立て等の規制に関する条例がある。 (面積500㎡以上/高さ1m以上かつ5000㎥以上を対象)
甲斐市土砂等による土地の埋立て等の規制に関する条例 (面積500~3000㎡)
上野原市土砂等による土地の埋立て等の規制に関する条例 (面積500㎡以上)
笛吹市残土による土地の埋立て等の規制に関する条例 (面積500㎡以上)
大月市土砂等による土地の埋立て等の規制に関する条例 (面積500~3000㎡)
静岡県土採取等規制条例 (「採取等」には盛土・埋立が含まれる。面積1000㎡以上かつ盛土量2000㎥以上)
富士宮市土砂等による土地の埋立て等の規制に関する条例 (面積500㎡以上/埋立量500㎥以上)
富士市土砂等による土地の埋立て等の規制に関する条例 (面積500㎡以上/埋立量500㎥以上)
岐阜県埋立て等の規制に関する条例 (面積3000㎡以上)
中津川市埋立て等の規制に関する条例(面積500~3000㎡)
犬山市埋め立て等による地下水の汚染の防止に関する条例
そのほか、残土処分に関わる主な条例
川崎市環境影響評価条例
静岡市環境影響評価条例(残土処分場:50000㎡以上)