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Channel: リニア中央新幹線 南アルプスに穴を開けちゃっていいのかい?
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早川芦安連絡道路~盛土材料は大量にあるのにリニア残土がさらに必要?

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本日(11/8)になって急激に当ブログを訪問される方が増えました。福岡で地下鉄工事が原因の大規模陥没事故が起きておりますが、この事故からリニア計画を連想された方が多いことを実感しました。

ブログ作者は技術的なことはさっぱり分かりませんが、気になったことを書きます。

リニアのトンネルのうち、首都圏と名古屋市付近の区間は「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」を適用して建設されます。

これは
①地下室の建設のための利用が通常行われない深さ(地下40m以深)
②建築物の基礎の設置のための利用が通常行われない深さ(支持地盤上面から10m以深)
の、どちらか深い方の深さよりも下部になる位置を対象とし、通常は事前の補償が必要となるものを免除して、公共的な地下利用を認めるというものです。法律の定義なので回りくどくてすみません。
(国土交通省HP)

というわけで、地上の土地所有者に補償を払うことなくトンネルを掘ることが可能になります。そのため地下鉄のように道路の下をたどるのではなく、ビルや住宅地の真下にルートが設定されています。

下図は愛知県名古屋市の名古屋城公園付近で、昨日(7日)に起工式の行われた「非常口」にあたります。

イメージ 5
愛知県版 環境影響評価書 関連図より複製 

分かりづらいですが、このトンネルは高層ビル、高校、病院、小学校といった大型の建造物をはじめ、中小のビルや家屋の下を通ります。万一、陥没事故が起き場合、道路下に掘られる地下鉄と異なり、頭上の建造物を巻き込んでしまうことが避けられないでしょう。

ちなみに、ここに掘られる非常口とは、直径40m、深さ90mという巨大な穴です。


以下が本題です

こちらは山梨県南部のGoogleEarthの画像です。身延町付近になります。

イメージ 2
身延町北部 早川沿いに積まれた中部横断道からの建設発生土
GoogleEarthより複製・加筆  

画面中央の広い河原は早川です。右手で富士川に合流します。その早川河川敷に、だだっ広い造成地が確認できます。

ここをストリートビュー画像(2014年8月撮影)に切り替えると、道路際に看板が立っているのが分かります。各自ご確認いただきたいのですが、その看板には

「中部横断自動車道の建設発生土を搬入する工事を行っています 平成27年3月10日まで」 
とあります。

しかし今でも搬入作業を継続しているようです。国土地理院の地形図閲覧サービスで面積測定を行うと、おおよそ2万5000㎡になります。盛土の厚さは最大で15mくらいありそうなので、容量は30万立米以上になると思われます

一方こちらは、JR東海がリニア工事からの建設発生土を置く予定の早川町塩島地区の航空写真です。黄色い線で囲った部分になります。
イメージ 3

そこには既に、南アルプスの地質調査と称して小断面トンネルを掘った際の残土が積まれています(2008年頃)。盛土面積は約3000㎡であり、盛土厚さは2~3m程度とみられるので、1万立米弱の容量とみられます。今後本体工事の際には、この既存盛土の上に発生土を3万立米程度を重ねる計画です。早川町内に出される発生土の1%弱となります。

また、その南側には大小の盛土の小山が並んでいます。これも中部横断道からの発生土であり、面積は南側8500㎡、北側4500㎡ぐらいあります。それぞれ厚さは7~8mはありそうなので、容量は合わせて10万立米ぐらいとみられます。

◇   ◇   ◇   ◇   ◇ 

このブログで何度か取り上げていますが、早川町北端から甲府盆地側とをつなぐ早川芦安連絡道路構想というものがあります。山梨県による事業で、事業費は100億円とされています。2014年(平成26年)に事業決定しています。

早川町は山間地で地形が険しく、土砂崩れなどで頻繁に道路が寸断されます。これを解消するためにトンネルが必要というのが地元の悲願とされており、これを解消するのが早川芦安連絡道路であると説明されています。この事業目的について、ブログ主がとやかく言うつもりは全くございません。

ただ疑問なのが、この道路を実現するには「リニア・南アルプストンネルからの建設発生土を使うことによりコスト削減が可能」という説明です。

山梨県が平成26年に公表した説明です。
これは何だかおかしいのでは?

イメージ 1
早川芦安連絡道路事業化とリニア中央新幹線整備事業との関係  
出典

地元住民のために早期実現する必要があるのなら、なぜ早川沿いに点々と積んでいる中部横断道の残土を有効利用する計画とならなかったのでしょうか? 順番からみても、リニアより先に出てきた方を先に処分しないと、着工したくとも先に進むことができないのでは?

もしかしたら、中部横断道の残土だけでは足りないとか、建設条件に合わないと説明されるかもしれませんが、それならば早川町内にある雨畑ダムや西山ダムにたまった土砂(堆砂)を併用することはできなかったのでしょうか?

ここに、八ッ場ダム問題に取り組む”八ッ場あしたの会”が国土交通省から情報公開請求によって入手した、平成24年時点での全国の主なダムの堆砂状況が示されています。
http://yamba-net.org/%E5%85%A8%E5%9B%BD%E3%83%80%E3%83%A0%E3%81%AE%E5%A0%86%E7%A0%82%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%81%AE%E6%9C%80%E6%96%B0%E7%89%88/

これによると雨畑ダムは総貯水量1365万立米に対し、堆砂量は1275万立米。実に93%!
西山ダムの状況も、総貯水量240万立米に対し、堆砂量は216万立米。これだけで早川芦安連絡道路の盛土には十二分な量があります。

雨畑ダムは日本軽金属所有であり、セメント骨材として採取しているようなので公共事業に使うのは難しいかもしれませんが、西山ダムは山梨県営なので、融通が効くのでは? 流入土砂対策を事業化しているそうですし。


とまあ、早川流域には大量の建設発生土に加え、膨大な量のダム堆砂も存在するので、1㎞程度の盛土ごときに160万立米のリニア残土を”活用”しなければならぬ根拠が、いまいち分からないのであります

キチンと説明されているのでしょうか?

イメージ 4
早川町内にある盛土材料になりそうなもの
国土地理院ホームページより複製・加筆 


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