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Channel: リニア中央新幹線 南アルプスに穴を開けちゃっていいのかい?
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果たしてリニアは庶民的な乗り物か?

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「リニアで通勤・通学」
「名古屋から東京に通勤可能!」

とかなんとか言われていますが、これって、どこまで現実的なのでしょうか?

あれこれ言われている割には、具体的な料金についての資料は全く出てこないのであります。というわけで推測してみようと思います。

リニアの料金は、品川-名古屋で東海道新幹線の料金+700円くらいを見込んでいるという報道がかつてありました。
(日本経済新聞2013年9月18日)

これをもとに考えてみます。なお、建設費が高騰して料金がベラボウに高くならないという前提です。

現在の”のぞみ”の場合、品川-名古屋間で運賃6260円、指定席特急料金4830円、合わせて11090円となっています。

というわけで品川-名古屋でのリニアの料金は11790円と見積もりします。

リニア中央新幹線の品川-名古屋間は286㎞です。これをJRの幹線運賃表に当てはめると5080円になりますので、リニア特急料金は11790円-5080で、推定6710円。キロ当たり23.46円。

これを基に計算すると下表のとおりになりました。
イメージ 1
ブログ作者によるリニア料金の予想 

また、現在発売されている新幹線定期(FREX)と同程度の割引率を用いると仮定して、3ヵ月定期代も試算してみました。
イメージ 2
ブログ作者によるリニア三ヵ月定期券料金の予想 

品川-山梨県駅の料金設定は、東海道新幹線に当てはめれば東京-三島と同様の料金設定となりそうですから。べらぼうに高くなるわけでもなさそうです。長野県駅となると、東京-掛川と同程度になりそうで、これはさすがに高そう。

しかし料金的に可能といっても、本当に通勤・通学の足として使うためには、利便性がより重要な要素になるだろうと思います。

東京駅まで約1時間の駅における、朝の東京駅ゆき上り列車の運行本数は次の通り。
三島駅の場合、6時台3本、7時台5本。
高崎駅の場合、6時台4本、7時台8本。
宇都宮駅の場合、6時台2本、7時台5本。

リニア山梨県駅に、これだけの列車が停車するのでしょうか?

現在のところJR東海は「各駅停車は1時間に1本」としていますが、これだと朝寝坊したりお腹を壊して乗り遅れたら遅刻してしまうかも。

そもそも1編成に乗客は1000人しか乗れないのだから、名古屋+中間駅4つでそれぞれ均等に乗車するなら、甲府では単純計算で250人ぐらいしか乗れないのでは・・・?

さらに、全席指定のリニアで定期利用者用の座席を設けるのなら、そこは該当する駅まで空けておく必要が生じます。果たしてJR東海がそんなムダを許すのでしょうか? なお現行の新幹線定期FREXは自由席用なので、立ち乗りも可能なのであります。

ところで、リニア計画を国として推進する意義として、4番目にあげられているのが経済効果です。それによると、東京-名古屋-大阪を1時間で結ぶことにより、人の行き来が活発になり、様々な経済効果が生み出されるというものです。

イメージ 3
国土交通省中央新幹線小委員会 答申より 

しかし一見、正論のようであって、なんだか腑に落ちないのであります。

この答申だと、国として経済活動を活発にする必要があるとし、その手段として東京-名古屋-大阪での人の行き来を活発させることが有効だとしているわけです。

しかしより活発な行き来が必要があるとして、それを阻んでいるのが何なのか、という観点が全くない。言い換えれば時間的な壁と料金的な壁と、どちらがより邪魔なのかという観点が抜け落ちているように思えるのです。

経済効果が目的なら、東海道新幹線の料金がネックになって移動できない人がいるのではないか?というところまで考えを巡らせるべきではないのでしょうか。庶民感覚では、新幹線料金だってけっこう高額であり、そう気軽・頻繁に使えるものではないんじゃないのかなあ・・・? 

実現性は横に置いておいて、仮に、ばく大な建設費を用いて時間短縮する代わりに、東海道新幹線の値下げを行えば、それはそれで、相当な経済効果を生み出すような気がするのです。


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