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Channel: リニア中央新幹線 南アルプスに穴を開けちゃっていいのかい?
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山梨版評価書は誤りじゃないのか? 第四南巨摩トンネルと保守基地連絡路のナゾ

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何やら不審点の多い山梨県の第四南巨摩トンネル。

各種資料を整理してゆくと、どうも単なるトンネルではない、巨大地下構造物になっているように思えます。

こちらは甲府盆地から南アルプスにかけての縦断面図になります。普通の地図と異なり、右が西(名古屋方)になります。
イメージ 3

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トンネルの位置関係 

第四南巨摩トンネルに注目すると、トンネル内部で勾配が大きく変化しているのがわかります。トンネルの東側2/3くらいは40‰の急勾配で、残る西側の大部分(約2300m)は3‰の緩勾配、早川側の出口近くは再び40‰となり、そのまま南アルプストンネルに達しています。
(注)‰(パーミリ)とは1/1000のこと。40‰だと水平方向1000mで垂直方向に40m高さが変化することとなる。 

急勾配のトンネルの途中に緩勾配区間が設けられていることになり、なんだか不自然ですなのですが、おそらく、この区間が巨大な分岐施設となり、保守施設への連絡路を分けているのだと思われます。

また、富士川町での説明会で使用されたスライドを見ると、本線の北側に連絡路が示されています。ゆえに、本線のトンネルと並行にもう1本トンネルを掘ることになるのでしょう。
イメージ 4
JR東海ホームページより複製
図中緑色の線が保守基地と本線との連絡路 

つまり第四巨摩トンネルの途中でトンネルが分岐し、高下地区では事実上の複々線となって保守基地へと向かうことになるはずです。高下地区にはトンネルが4つ口を開け、その間を2本の高架橋が結ぶことになるのでしょう。

以前、当ブログに書いた内容と重複しますが、この連絡路の存在については、環境影響評価書では触れていないように思えます。

山梨県版の環境影響評価書の3-28ページ「⑧富士川町」の説明によると、
南アルプス市境からは、南西方向に地上を進み、最勝寺地区からトンネルに入る。最勝寺地区、鰍沢地区で三枝川、畦沢川及び県道406号とそれぞれ地上で交差した後、再びトンネルに入る。高下地区で小柳川を地上で渡河し、再びトンネルに入る。その後、十谷地区をトンネルで通過し、早川町に至る。なお、高下地区付近には、変電施設及び保守基地を計画する。富士川町の通過延長約13㎞のうち、約80%がトンネルである。」

と書かれており、トンネルが分岐するとか、本線とは別の高架橋を設けるといった記述はありません。保守基地を設けるとした記述はあるものの、その保守基地の説明においても、大規模な分岐装置が必要になるとか、大規模なトンネル設備が付随するという説明はありません。

イメージ 2
山梨県版 事後調査計画書より複製・調整
保守基地や連絡路についての記述はない

環境影響評価の過程では伏せられていた工事ということなので、各種予測や環境保全措置が、はたして妥当なものであったかどうか、かなり疑問に感じます。発生土量の予測には含まれていたようですが。。。

また、「環境影響評価の段階では位置や規模を明らかにすることが困難」として、事業認可後に先送りさせる手法がとられることがあります。リニア計画の場合、発生土置場(静岡県を除く)がこれに当てはめられていますが、保守基地ないし連絡路が該当するとする記述はありません。

イメージ 5
山梨県版 事後調査計画書より複製・調整
保守基地ないし連絡路についての記述はない


さらに長野県では、大規模な変電所(豊丘村)や送電鉄塔(大鹿村)の計画が事業認可後に明らかになり、環境影響評価の過程では全く明らかにされてこなかったと問題となっていますが、これは電力会社の施設だというヘリクツが成り立ちます(道義的には疑問)。けれども連絡路はJR東海の施設なのだから、そういう理屈も成り立たない。

つまり、連絡路の存在について環境影響評価の過程で示さなくてもよい、とする根拠はないのです。

こりゃあ、やっぱり、環境影響評価書の誤りじゃないかと思うのであります。


その証拠がこれ。

高下地区を西側から見下ろした完成予想図です。
前々回のブログで触れた、高下地区の景観予想図です。列車の通る高架橋だけが描かれており、連絡路はどこにもない。先のスライドの通りなら、本線の左隣に描かれてなければならぬはずです。

というわけで、本当はこうなるのでは?

イメージ 7


それからこんなことも気になります。

JR東海によると、本線と連絡坑との分岐付近での掘削断面積は、およそ300㎡になるとしています。南アルプス区間で想定している掘削断面積106㎡の約3倍となります。つまりふつうのトンネルよりも、長さの割に発生土量が多いことになります。

この拡幅区間は、実は鉱山の試掘権の設定されている箇所にあたります。茂倉鉱山といって、昭和10年代から石膏や銅を採取し、終戦と同時に閉山されたそうです。鉱山としての採掘期間は短かったものの、今でも赤茶けた水が湧きだしているといるようです。

イメージ 1
環境影響評価書より複製・加筆 

茂倉鉱山YouTube動画もあります。
https://www.youtube.com/watch?v=xF13S080w40

門外漢ゆえに詳細は分かりかねますが、やはり鉱床からの発生土というと、何かしら毒性のある物質が含まれている確率は高いような気がします。直近の事例でいうと、やはりすぐ近くの中部横断自動車道を思い出さずにはおれません。トンネルからの残土に基準値超の有害物質が次々と検出され、対策に追われて開通が大幅に遅れているというものです。

静岡新聞 2016/11/21
中部横断道19年度開通 新清水―六郷 2年遅れ
http://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/303566.html 

有害物質の含有量の高そうな箇所で、あえてトンネル断面を大きくして発生土量を多くしていることになり、環境配慮や地元への影響という観点からみて、果たして妥当な計画なのか、疑問があります。

この他、水環境の予測において、トンネル断面が大きくなることを考慮していたのかアヤシイですし、連絡路の建設に伴う騒音などの予測についても疑問が生じてしまいます。


すでに西工区(早川町側)では「起工式」が行われ、既成事実化sれていますが、これを容認し山梨県に説明を求めるべきだと思うのであります。





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