前回に引き続き、JR東海が静岡県に送付した事後調査報告書の問題点です。
今回は燕沢平坦地での発生土処分計画について取り上げます。
全国紙などでは、「静岡市や静岡県の要望を受けて発生土置場を変更した」というJR東海の主張をそのまま流しているものをみかけます。しかし環境影響評価の段階でJR東海が出してきた案は「標高2000mの稜線上まで山の中をくり抜き。ベルトコンベヤで運搬して積み上げる。」という、到底、許可できるはずもないシロモノだったのですから、事業認可後になって本命の候補地を全面に出してきたというべきでしょう。
さてその処分場の案ですが、やはりこれも、とんでもないシロモノには変わりありません。
「大井川の谷底が400mほどに広くなっている燕沢平坦地という場所に、長さ600m、幅300m、最大高さ70mで積み上げるというものです。
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添付図表1 JR東海による盛土案
事後調査報告書より複製
この場所は大井川の最上流部。標高2500m級の山々にぐるりと囲まれていますが、その斜面は激しく崩れ、大量の土砂と倒木が大井川本流に崩れ落ちています。その様子は上空から撮影された写真で一目瞭然。
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添付図表2 発生土置場候補地付近を上空から俯瞰
Google Earthより複製・加筆
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添付画像3 燕沢平坦地付近の地形図
国土地理院 電子国土より複製・加筆
盛土部分を拡大
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添付画像4 盛土案を航空機からの写真に合成
国土地理院 電子国土より複製・加筆
率直な疑問。
対岸が大きく崩れたら川をせき止めちゃうじゃん!
・・・・今のところ、JR東海は対岸の地形や地質についての調査・報告はしていないません。
この燕沢平坦地では、大井川の流れが頻繁に変わっています。しかし大規模な盛土で右岸(地図上では左手)に流れを押し込めることになります。すると必然的に右岸側の侵食が進むことになってしまう。
防災科学研究所の地すべり分布図によると、その右岸側には大規模な地すべりが潜んでいる可能性が示唆されています。
地すべりの下端に川の流れをぶつけるのは危険じゃないのかな?
現在、静岡県内での残土処理計画や前回取り上げた大井川導水路案などについて、静岡県でパブリックコメントを受け付けています。
静岡県庁ホームページ
【リニア中央新幹線に係る事後調査報告書の公表及び県民意見の募集について】
http://www.pref.shizuoka.jp/kankyou/ka-050/assess/rinia/20170117.html
http://www.pref.shizuoka.jp/kankyou/ka-050/assess/rinia/20170117.html