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Channel: リニア中央新幹線 南アルプスに穴を開けちゃっていいのかい?
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地震防災対策強化地域にルートを設けて東海/南海トラフ地震対策?

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ここのところ、静岡新聞で東海地震についての特集記事がデカデカと掲載されています。

今の日本、総理大臣の横暴に起因して加計学園、共謀罪、皇室典範と、大問題が噴出しているのに、紙面からはそんな気配が感じられず、何だか違和感を覚えてしまう。もちろん東海地震だって忘れてはならないテーマでしょうけど、もともと紙面の限られた地方紙ゆえ、地震特集を一面に持ってこられるとその分政治のニュースが削られてしまうのであります。

それはともかく。

一連の東海地震特集は、大規模地震対策特別措置法に基づく警戒宣言について書かれたものです。今回はその話。

大規模地震対策特別措置法の目的は次のように定められています。

第一条 この法律は、大規模な地震による災害から国民の生命、身体及び財産を保護するため、地震防災対策強化地域の指定、地震観測体制の整備その他地震防災体制の整備に関する事項及び地震防災応急対策その他地震防災に関する事項について特別の措置を定めることにより、地震防災対策の強化を図り、もつて社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的とする。 

そして第三条により、「大規模な地震が発生した場合に著しい地震災害が生ずるおそれがあるため、地震防災に関する対策を強化する必要がある地域を地震防災対策強化地域として指定」することになっています。

現在のところ、この法律が対象としているのは東海地震のみ。つまり東海地震対策の法律だということができます。地震防災対策強化地域は次の通り。

イメージ 1


そして地震防災対策強化地域においては、病院、学校、鉄道事業者など、多くの人が集まる施設の管理・運営者は地震防災応急計画を定めることになっています(第七条)。

またよく知られるように、東海地震については予知できる可能性があるとして、地震の発生が予測された場合に総理大臣が警戒宣言を発令することを定めています。地震防災応急計画では、警戒宣言等が発令された場合の対応も定めておく必要があるようです。

強化地域内に線路を所有するJR東海の作成したものは次の通り。

このうち、東海道新幹線についてはこのようになっています。
イメージ 2

(警戒宣言発令時でも名古屋-新大阪では運行を継続するらしい。けれども次の想定震度分布をみると、名古屋駅付近は震度6弱前後である。すると名古屋駅への進入は取りやめねばならぬはずである。矛盾しているのではなかろうか?)

震度6弱以上の揺れが想定される地域への進入を禁止し、同地域を走行中の列車は停止させるとあります。つまり警戒宣言が発令されれば東海道新幹線は東京-新大阪を直通することはできなくなります。

東海地震で想定されている震度分布は次の通り。
 

イメージ 3
気象庁ホームページより複製 


さてここで疑問。

リニア中央新幹線の建設の意義は「東海地震等の災害に備えて交通を二重系統化する」ことにあるとしています。

上述の「東海旅客鉄等株式会社防災業務計画」は、計画されているリニア中央新幹線にも適用されるのでしょうか? 

リニア中央新幹線は、東海地震の地震防災対策強化地域を横切り、山梨県から長野県にかけてと、名古屋市付近のルート沿いでは震度6弱相当の揺れが想定されています。甲府盆地南部では一部に深度6強と想定されている地域も通過します

今のままでは、警戒宣言が発令されたらリニア中央新幹線も運休せねばならない、ということになりそうに思えます。

もしも運転を取りやめることを前提とするのなら、そこには何かしら危険があると認識しているわけですから、建設の意義に掲げた「二重系統化」やらルート選定の過程が果たして妥当だったのか疑問が湧きます。

なおJR東日本の対応では、地震防災対策強化地域を対象として列車の進入・運行を禁止するとしています。したがってリニア中央新幹線と並行するJR中央本線は、山梨県内から諏訪湖にかけての運転が取りやめになるのでしょう。

JR東日本作成「防災業務計画」(東海地震については後半部分に掲載) 
JR東日本も、警戒宣言発令時には「列車の運行には危険がある」と判断しているのだと思います。



ところで昨年来、この大規模地震対策特別措置法を、東海地震だけでなく南海トラフ大地震に拡大して適用しようではないか、という議論がなされています(冒頭の静岡新聞の取り組みはこれを反映したもの)。
(朝日新聞 2016/6/29)
静岡新聞長期連載企画 沈黙の駿河湾 東海地震説40年
http://www.at-s.com/news/featured/social/chinmoku/

南海トラフ地震を対象とした場合を考えます。

南海トラフ大地震の想定震度は、東日本大震災以降の見直しにより、大きく変わりました。現在の最悪の想定ケースの場合、新幹線の運行を停止せねばならない震度6弱以上の想定範囲は、東海地震に比べると格段に広がっています。
(以下の想定震度図は内閣府中央防災会議のホームページより複製)

イメージ 5

これに、現在想定されているリニアの東京-大阪間間のルートを記入すると次の通り。

イメージ 6

一見してお気付きになると思われますが、山梨県から大阪までは、ほぼ全てが想定震度6弱以上になっているのです。しかも濃尾平野から伊勢平野にかけては震度6強!

 現在のJR東海の防災業務計画をそのまま適用すれば、リニアは全区間で運休せねばならない?



はたして政府が掲げた「東海地震に備えて二重系統化」という建設目的は、政府の防災対策と合致しているのでしょうか?




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