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Channel: リニア中央新幹線 南アルプスに穴を開けちゃっていいのかい?
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南アルプス静岡県側での施工業者公募開始  ~いつ誰が工事計画を受け入れたんですか?

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日本経済新聞にこのような記事が出ていたと教えてもらった。

リニアの工事、静岡でも見積もり公募 全都県で着工へ
2017/6/7 19:26

2027年開業を目指すリニア中央新幹線の工区について、静岡県でも建設工事の見積もりの公募を7日始めた。今秋まで同県内の約9キロメートルの工区について公募し、工事費用や建設技術など提案内容を検討したうえで決める。今回の公募開始により品川―名古屋間では東京都や静岡県など沿線の全都県でリニア工事が動き出すことになる。

 このほど発生土の管理や河川などの環境保全について、地権者との協議がまとまった。静岡県内の工事は品川―名古屋間のリニア工事で最難関工区の1つとされる南アルプストンネルの一部。地表からの深さが1000メートルを超える場所を掘り進める工事となる。同トンネルについてはすでに山梨県側、長野県側で工事が始まっている。

 7日の定例会見で柘植康英社長はリニア工事の進捗状況について「当初の予定とのズレは部分的にはあるが、工期に影響が出るとは考えていない」と説明。静岡県は品川―名古屋間のリニア沿線の都県で唯一、中間駅ができない。柘植社長は「リニアが大阪まで延伸した後は東海道新幹線にも余裕ができる。静岡や浜松への停車が増える可能性がある」とした。

こちらがJR東海の広報。




  


先日(5/30)の静岡新聞で、南アルプス静岡県側の地権者である特種製紙が、年内にも工事内容についてJR東海と合意する見通しである、という報道がなされていたけど、いきなりこんな話になるとは、寝耳に水である。
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というのも、県、市、大井川流域の市・町との協議が、(表向きは)全く進んでいないはずだからである。

今年1月17日に、JR東海が導水路新設案や工事用道路の計画変更案についての調査結果を静岡県に提出した。これら計画は環境影響評価手続きでは触れておらず、言わば、事業認可後に後出しジャンケン的に出してきたようなものである。法に基づく環境影響評価手続きではないため、国(環境省)は公的には関知していないと思う。

これとは別に、3月13日には大井川の流量減少問題について、上水道、土地改良区、電力会社など計11の水利用団体はJR東海に対し、流量減少対策の内容を明記した協定を4月末までに申し入れており、また同月31日には大井川流域の10市町がJR東海に対し大井川の流量と水質の現状維持を申し入れている。

さてJR東海作成の調査結果に対しては、4月3日に静岡県知事から意見書が出された。

●トンネル湧水の全量を大井川に戻すこと
●導水路出口より上流での流量を維持させること
●導水路上流域における河川生態系の保全措置の考案すること
●流量維持について大井川流域の市・町との協定を締結すること

など多数の項目からなっており――


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件が提出した意見書 静岡県庁ホームページより

それに対するJR東海の見解は、ほぼゼロ回答であった。県知事からは「従来の説明の繰り返しで、特段の進展は見られない」とされており、その後の進展はゼロのはずである。

(4/28静岡新聞)

大井川流量「全量回復」明記せず JR東海、静岡県に回答書
(2017/4/28 08:04)
http://www.at-s.com/news/article/economy/shizuoka/353861.html?news=345543
 JR東海は27日、リニア中央新幹線工事の事後調査報告書に関する知事意見への回答書を県に提出した。減少が予想される大井川の流量について、全量回復を早期表明するようにとの求めに対し、同社側の回答は「影響の程度をできる限り低減していく」との表現にとどまった。下流利水者11団体との協定締結については、すでに準備を進めているとした。
  同社は工事前後で大井川の流量が毎秒2トン減少すると予測。対策として、本線トンネルと大井川をつなぐ導水路トンネルを設置し、本線トンネル内に湧き出た水を大井川に戻すとしている。川勝平太知事は回答について、「従来の説明の繰り返しで、特段の進展は見られない」と指摘し、引き続き、全量回復の表明を強く求めるとした。
  知事意見では、下流利水者と28日までに、流量減少対策に関する基本協定を締結することも要請していた。同社は締結時期の明記は避けたが、すでに利水者側と協議に入っていることを明かし、「誠実に対応している」とした。川勝知事は「早急に締結されるよう、県として調整に努める」とコメントした。
 

これがJR東海の見解
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ぜんぜん、答えになっていないのであった。

ご覧の通り、木で鼻をくくったような、まるで加計学園問題に対する文部科学省の答弁のような書きぶりである。これでは、具体的にどういう工事をおこなうのか、本当に環境が保全されるのか、見定めることは困難である。



というわけで、JR東海の案に地元が了承しそうな状況ですらないし、そもそも意思を(公的に)表明する/確認する場すら与えられていないのである。

それなのに、市や県の頭を飛び越えて、施工業者の募集が始まってしまった。

環境保全方針や地質調査等も未定であるから、はた目には河川法や森林法の許可など出せないように見えるし、静岡市の定めている”静岡市南アルプスユネスコエコパークにおける林道の管理に関する条例”や、南アルプスユネスコエコパーク制度と、どうやって整合性を図ってゆくのかも分からない。

昨年7月20日には、地元井川漁協や渓流魚の保護・育成を行っているグループから、レッドリスト掲載種であるヤマトイワナの保全を求める意見書が出されているが、それに対してJR東海はどう対応したというのだろう? 少なくとも新聞等では、具体的な保全措置を含む回答を確認できていないが?

それに事業認可直後の説明会(2014年11月)以降、静岡市民や大井川流域の住民に対する説明もゼロである。



徹頭徹尾、地元軽視を貫く会社だぁと改めて感じたところである。

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