共謀罪やら加計学園疑惑をめぐる報道を見ていると、腹が立ってしょうがない。
初代人も官房長官も、○○の一つ覚えのように、どうでもいい答弁を延々繰り返したり、ヤンキー先生がまさしくヤンキーのごとく「チクった奴はタダじゃおかねぇ」とすごんでみせたり(?)。。。
国民もナメられたものだよぁ・・・
それでも内閣支持率がさほど変わらぬのだから仕方がない。
正論とか良識といった言葉が通用しない世になったものだと痛感し、「リニア新幹線の諸問題」などマジメに考えるのもバカらしくなったのであります。
というわけで久しぶりの更新。
先日、北陸新幹線の高丘トンネル(長野県中野市)にある周辺で、建物が傾くとか井戸が涸れるといった被害が相次いだ、との報道がありました。
北陸新幹線が開業してから2年経ちますが、今頃・・・?・・・と思って記事をよく読むと、
●被害はトンネル工事の行われた2001~2007年に発生
●建設主体の独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が、市内の家屋95戸189棟に対して補償
●補償は2015年までに全て完了
●同市の高社山トンネル工事でも、2001~2002年にかけて井戸や湧き水が枯れるなどの被害が出ていた
●補償は2015年までに全て完了
●同市の高社山トンネル工事でも、2001~2002年にかけて井戸や湧き水が枯れるなどの被害が出ていた
ということだそうです。つまり、10年前に生じていた問題が、今頃になって広く知れ渡ることとなったらしい。
(6/2 信濃毎日新聞)
トンネル工事で建物ゆがみ 北陸新幹線 中野・安源寺地区
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20170602/KT170601ATI090020000.php
トンネル工事で建物ゆがみ 北陸新幹線 中野・安源寺地区
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20170602/KT170601ATI090020000.php
(6/1 産経新聞)
北陸新幹線のトンネル工事で周辺住宅180棟超にゆがみや傾き
http://www.sankei.com/affairs/news/170601/afr1706010026-n1.html
http://www.sankei.com/affairs/news/170601/afr1706010026-n1.html
(6/13 信濃毎日新聞)
補償家屋は最終的に95戸189棟 中野の北陸新幹線トンネル工事
ところで、被害発生からなぜ10年以上も明らかにされてこなかったのでしょう・・・?
信濃毎日新聞によれば、この件についての情報公開は次のようなものだったそうです。
●機構も中野市も、被害が発生したこと自体を住民に通知していなかった
●機構は国土交通省や県への報告もしていなかった。
●中野市も県への報告をしていなかった
●機構も中野市も、被害が発生したこと自体を住民に通知していなかった
●機構は国土交通省や県への報告もしていなかった。
●中野市も県への報告をしていなかった
これってまずいんじゃないのでしょうか?
これじゃあ、例え何かのトラブルが生じたとしても、トンネル工事との関係を知らず/考えずに迷惑を受け入れてしまったり、あるいは自己負担で対応していたケースがあったかもしれない。
現時点では、”補償を終えた”という話になっているようだけれど、補償が終わるまでの手続きは、どうも適切だったとは思えないのであります。
ちなみにこの件に関しての情報は、同機構のホームページには何も掲載されていませんが、同機構か掲げた「基本理念・行動指針」から逸脱してるんじゃないのかな・・・?
http://www.jrtt.go.jp/01Organization/Summary/Summary-kihon.html
この高丘トンネルについて、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が土木学会で講演した際の資料がネット上で公開されています。(PDFファイル)
http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00035/2009/64-06/64-06-0318.pdf#search=%27%E9%AB%98%E4%B8%98%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB%27
シロウトゆえ、土木のことはよく分かりませんが、このようなことが書かれています。
「坑外より水抜きボーリング(L=130m)を実施した結果、当該箇所付近の観測井戸において3m程度の水位低下が確認され、地下水位はインバート付近で安定した。」
ここでいう当該箇所とは、トンネル頭上にある送電鉄塔を指すようですが、そのあたりでは、どうも地下水位を下げることを前提とした工事が行われていたらしい。
また、南半分の工事を請け負ったのは戸田建設だそうです。「掘削断面積 A75~109m2、NATM、上半先進ショートベンチカット工法」とあります。
NATM工法はドリルついた重機で岩を砕いて穴を掘ってからコンクリートを吹きつけて補強してゆくという工法なので、シールド工法と異なり水が出てくると工事を進められないから、事前に周囲の地下水を抜くのが前提らしい。
冒頭に記した産経新聞記事によると、被害を受けた神社の宮司さんは、
「父親の代の事前説明では『全く問題は生じない』とのことだった」と話した。
機構は「トンネル工事で建物に影響が及ぶのは珍しいことではない。補償の詳細は住民のプライバシーもあり、明らかにできない」としている。
とのこと。
地下水位を下げるというのに、地上へ全く問題はもたらさない、ということがいえるのでしょうか? どうも、事前説明も不適切だったんじゃないかという疑念もぬぐえない。
ちなみに、土木学会資料のほうには、末尾のほうに、「本坑掘削による鉄塔(ブログ作者注:送電鉄塔のこと)の変位量は最大で2.4㎜という結果となり、若干の沈下は見られるものの、トンネル掘削による鉄塔への影響はほぼ阻止できたといえる。
・・・
入念な対策工の検討、計測体制および慎重な施工によって、本トンネル最後の再重要保安物件である116号鉄塔の影響範囲を無事突破し、平成20年11月28日に高丘トンネルの全開通を迎えることができた」
・・・
入念な対策工の検討、計測体制および慎重な施工によって、本トンネル最後の再重要保安物件である116号鉄塔の影響範囲を無事突破し、平成20年11月28日に高丘トンネルの全開通を迎えることができた」
とあります。
しかし一連の報道によれば、建物被害が生じたのはトンネル工事の最中だったということですから、この報告資料に書かれている表現についても疑問が生じます。鉄塔以外の一般家屋は重要ではなかった、ということなのでしょうか?
リニア計画においても、トンネル土被りのごく小さな部分が多数あります。縦断面図によると、神奈川県西部、山梨県巨摩山地、長野県伊那山地、岐阜県内には、土被りが50mに満たない区間が多数あります。それから南アルプスの場合だと、作業用の斜坑が小さな土被りで川と交差する。
飯田市付近の一部をのぞくとNATM工法で工事をおこなう計画らしい。
ということは、おそらくは水抜き工事が徹底的に行われるに違いない。
水を抜くのを前提とした工事なのに、水環境に影響を及ぼさないというのは矛盾しているように思えるし、頭上に住まわれている方は、地盤沈下が起きることを想定しておくべきじゃないかと思うのであります。