加計学園問題じゃないけれど、
「知事はリニアが南アルプスを通ることをいつからご存じだったのですか?」
という話がヒジョーに気になります。静岡県の川勝平太知事のことであります。
いま開かれている静岡県議会で、南アルプストンネル工事に伴う大井川の流量保全についての質問が相次いで出されている。
これに対し、川勝知事からは、不退転の決意をもってJR東海に対策を求めてゆく…云々という回答が出されている。
それと同時に、「リニアは静岡にとってメリットがない」というようなことも繰り返しおっしゃっている。
あれ?
確か川勝知事は、平成22年(2010年)7月2日に開かれた国土交通省中央新幹線小委員会において、「静岡県としての期待は極めて大きい」と仰っていたはずである。
このとき、JR東海としては「南アルプスルートで建設したい」という意向を表明していたものの、政府としてはルートを決める前の段階である。
当時の議事録
ところで、後々、環境影響評価評価書(2014年)にて公にされたことであるが、JR東海は遅くとも平成18年(2006年)には、大井川水系での流量調査を開始していた。
計画段階で流量を調査するのは、工事する側にとっては、それを把握しておくことが必要だからである。
2006年から調査を続けていたことは、静岡県の行政機関も知っていたはずである。
調査自体に県の許可が必要になるかどうかは分からないけど、全く知らぬということはないだろうし、車両が大井川源流部に入るためには市の許可が必要になる。なんといっても、前年まで田代ダムからの環境維持放流量をめぐってギリギリの調整を続けていたのだから、大井川の流量は非常に敏感な事項であった。
それに、南アルプスルートが決定する前の段階で、「調査・認可に協力する」と進言したのだから、大井川の流量が減少しかねないとか、許可が必要となるような規模の地上工事が県内でおこなわれることを想定していたはずであろう。
つまり、2010年の時点で静岡県(の関係機関)は、静岡県内で相当規模の自然破壊が行われることを、ある程度、承知していなければおかしいのである。
このあたりのことを、当時の川勝知事がどこまで考慮されていたのかは全く分からない。
けれども常識的に考えれば、静岡県にとってもデメリットを上回るメリットがある、と判断されたからこそ、「中央新幹線に対する静岡県の期待は極めて大きなもの」とご発言なされたのであろう。
それから7年。
「中央新幹線に対する静岡県の期待は極めて大きなもの」
から、
「最大の問題は、リニア中央新幹線によって、静岡県にメリットはなにもないことです」
(平成29年6月定例会(7月20日)塚本大氏による一般質問への回答)
に、大きく変貌してしまったわけですが、なんでこうなったのでしょうか?
初期の認識に問題があったのではありますまいか?