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Channel: リニア中央新幹線 南アルプスに穴を開けちゃっていいのかい?
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工事用道路トンネルも水を大量に飲み込むおそれ

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リニア中央新幹線の車両L0系を開発・製造した三菱重工業が、今後の営業用車両の開発・量産からは撤退することを決めたとのことです。
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2017081090112031.html
ビジネスのことなどさっぱり分かりませんが、三菱重工業はジェット旅客機MRJの完成遅れ、豪華客船事業の不振・撤退、アメリカでの原子力発電所トラブルでの巨額補償など懸案事項が山積みになっており、とてもリニアどころじゃなくなってしまったとか。
リニアの開発・製造は日本車両という会社が引き継ぐことになるそうですが、果たしてどうなることやら?
そういえば2014年(平成26年)の事業認可時に公表されたリニアの事業費内訳では、車両費は名古屋開業時でも1兆5000億円くらいと見込まれていたのだけど、これじゃもっとかさむよなぁ・・・ 



話がガラッと変わって静岡市側の南アルプス大井川源流部の話。

今年1月、JR東海は工事用道路トンネル(以下道路トンネルと略称)についての環境影響調査結果を公表しました。

これは、道路トンネルの位置が環境影響評価手続き時とは変更されたために実施されたものです。なおJR東海が自主的に行ったもので、環境影響評価法に基づくものではありません。

新たな計画によると、道路トンネルの長さは約4㎞。これだけで”長大トンネル”といえる規模であり、また西俣()に注ぐ悪沢など小規模な沢を複数くぐり抜けるため、それなりの湧水が生じるものと考えられます。
悪沢岳(3142m)に水源をもつ河川。間ノ岳(3190m)から下る東俣と合流し、そこから下流は河川管理上の大井川となる。西俣ではリニアの本坑・先進坑・斜坑(非常口)掘削により流量減少が予測されている。 

イメージ 4
イメージ 1
工事用道路トンネルの位置
国土地理院ホームページ 電子国土Webより複製・加筆 


ところがJRの調査結果では、道路トンネルによる湧水量あるいは河川流量への影響については全く取り扱われていませんでした。

これじゃ困る…ってことで、静岡市長意見および静岡県知事意見では、その周辺でのモニタリング態勢の再検討などを要求しています。ところがJR東海はぜんぜんマトモに答えておりません。モニタリングを行うこと、という意見に対し、「適切に対応する」「アセス手続きは終わっている」としただけです。
⇒4/28当ブログ記事参照

さて、こんなふうに事業者による事前調査が不十分なのですが、今回の静岡市(委託)調査では、その道路トンネル掘削にともなう湧水量も試算されていました

その湧出量は約0.4㎥/sと試算されました

イメージ 2
静岡市による委託調査の試算結果
両図の中央付近に工事用道路トンネルからの湧水量予測が記されている
 

実は静岡市による委託調査は2年前にも行われていたのですが、今回は前回時に比べ、本坑・先進坑・斜坑からの湧水量が少なく予測されています。

つまり予測モデルに工事用道路トンネルの存在を組み込んだところ、地下水が深いところのトンネル(斜坑・本坑)に達する前に、工事用道路トンネルが飲み込んでしまうとはじき出されたようです。

上記の地図に示された湧水量予測値を、トンネルの上下関係を示した図に記入したものがこちら。静岡市調査結果に、緑色の枠の部分を書き加えてあります。
イメージ 3


工事用道路トンネルに湧き出した水は、東京電力田代ダムの下流側出口に排水されます。

考えようによっては、工事用道路トンネル出口から0.4㎥/s出されることは、大井川本流の減水対策という考え方ができるかもしれません。降った雨を道路トンネルでキャッチし、本流に注ぐようなものと言えなくもない。

けれども、今度は工事用道路トンネル頭上で沢や土壌水分が失われてしまうのだから、ミもフタもない。

悪沢というところには本坑・先進坑に加えて工事用道路・導水路と、計4本ものトンネルが集中的に掘られることになるのですが、一帯どうなるのだろう?

例えば水がチョロチョロ流れているような岸壁には、湿り気を好む植物が生えます。往々にして珍しい、希少性の高い植物だったりしますが、もしもそういう環境があるのだとしたら、その背後でのトンネル掘削は大きな打撃となりかねない。

もっとも、こんなのはあくまで懸念であって、本当にそんな植物が生えているかどうかは分かりません。けれども今のところ、悪沢をのそくと工事用道路トンネル頭上での各種環境調査は計画されていないので、そういう植物が存在しないとも言えない。

早い話、この工事用道路トンネル掘削によって、水環境がどこらへんまで影響を受けるのか、そしてその範囲内にはどんな生物が分布しているのか、現段階では何にも分からないのです。環境への影響が生じる恐れがあるのかどうか、判断しようがない。

JR東海はちゃんと調べた方がいいんじゃないのかな?

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