突然ですが、下水道という言葉には、ばっちいイメージがあります。
導水路というと、特に汚いというイメージはないと思います。
JR東海は南アルプストンネルへの湧水を大井川に流す施設を「導水路」と呼んでいますが、なんだか違うんじゃないのかなぁと思うのであります。
下水道法という法律によると、下水という言葉は次のように定義されています。
気になるのは次のところ
第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 下水 生活若しくは事業(耕作の事業を除く。)に起因し、若しくは付随する廃水(以下「汚水」という。)又は雨水をいう。
二 下水道 下水を排除するために設けられる排水管、排水渠きよ その他の排水施設(かんがい排水施設を除く。)、これに接続して下水を処理するために設けられる処理施設(屎し 尿浄化槽を除く。)又はこれらの施設を補完するために設けられるポンプ施設、貯留施設その他の施設の総体をいう。
ここで、第一項にある「又は雨水」という言葉は、自然に生じた不要な水という意味合いであり、降雨だけでなく雪解け水や湧水も含まれているとされています。
(「逐条解説 下水道法」による)
(「逐条解説 下水道法」による)
そして第二項によると、その不要な水を流すための施設全般のことを、下水道と呼ぶのだそうです。
ですので、地下室とか道路沿いの斜面などに湧き出した水は下水であり、それを流すための配管やらポンプやは下水道の一部ということになります。
こちらは東海道新幹線興津トンネルの側壁です。向こうから水が出ています。
暗くて分かりにくいのですが、奥はトンネルの壁。壁を隔てた向こうを列車が走っています。壁に設置されたパイプを通じ、手前の川に湧水が排除されています。これも法律上は下水とよぶのだと思います。
南アルプストンネルの導水路も、スケールがとてつもなくデカいだけであって構造としてはこれと同じです。上の写真のパイプの長さを2万倍ぐらいに伸ばしたようなものです。
これとてJR東海にとっては不要である湧水を河川に流す設備ですから、下水と呼ぶべきじゃないのでしょうか。
(そもそも毎秒2トンもの水を大井川に戻さず施工できるのだろうか?)
・・・
別に言葉遊びをしているわけではない。
河川法でも、一定以上の量の水を川に流す場合、その水は「汚水」とされている(施行令第十五条の五)。汚水を流す設備を導水路と呼ぶことには違和感がある。
ちなみに、東京の地下鉄に湧き出す水だって「下水」である。