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Channel: リニア中央新幹線 南アルプスに穴を開けちゃっていいのかい?
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早川芦安連絡道路の大規模盛土とロープウェイ構想は関係あるか?

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引続き早川芦安連絡道路について。

山梨県は、早川芦安連絡道路の盛土にはリニア残土を120万立米も使うとJR東海に情報提供しているようです(補正後の環境影響評価書)。さらに新設道路トンネルからの発生分を加えると160万立米程度になるでしょう。

イメージ 3
盛土は3か所を予定しているらしいですが、こんなに大量の土を、そもそもどこにどうやって埋め立てるのでしょう。

まず、上の図で左端にあるカッパ沢をモデルに、高さ40mの盛土を造成するのに必要な最小量を見積もってみました。

実際の谷は曲がっていますが、計算を簡略化するために、一直線であると考えます。
そのうえで
・盛土の全幅140m
・盛土勾配1:2
・道路部分での盛土厚さ40m、
・谷底の幅を30m
・上面(道路部分)の幅を10m
・谷の勾配を10°
と仮定し、必要な盛土量を見積もってみました。この場合・・・
イメージ 1
厳密には、大規模盛土を行うときには高さ5mごとに小段を設ける必要があるらしいので、もう少し容積は大きくなる。一方で川を埋め立てるのだから水を流すトンネル部を設けねばならないし、裾部分は急勾配の擁壁とするのが普通でらしい。そのあたりは考えないということでご容赦頂きたい。

こんな巨大なものになります。

全長は194m、全高63mにもなってしまいます。

しかし、これでも必要な量は30~35万立米に過ぎません。これだけ巨大なもの盛土を3か所築いても、合計100万立米にも達しないのです。

次に、仮に盛土断面を堤防のように両下がりにするのではなく、道路より上流側を真っ平らに埋め立てるとします。住宅地造成のようなイメージです。

イメージ 2

公開されている図面から盛土部分の道路標高を1025mとみなし、その高さで谷の上流側を埋め立てた場合の容積を見積もってみました。

国土地理院の地形図閲覧サービスには、面積を測定する便利な機能が備わっていますので、今度はカッパ沢にてこれを利用してみます(等高線で囲まれた面積×高さ10mを高さ分繰り返すだけです)。

その結果、おおよそ55万立米という数字が出ました。先ほどの築堤状の盛土に比べ、かなり多くの容積となります。しかしこの場合、谷を延々300m以上にわたって埋め立てねばなりません。また、出現する平坦地の面積はおおよそ19万㎡に及びます。

幅員7mの2車線道路(舗装する面積は1000㎡程度)を造るために、幅300m以上もの盛土を必要とするのでしょうか。そしてそれは、県立自然公園特別地域内での道路造成時に大規模盛土の採用を禁じた県条例ひ反しないのでしょうか。

◇   ◇   ◇   ◇   ◇ 

ふたつの見積もりを比較して言えることは、リニア発生土120万立米を運び込んで造成する盛土とは、どうやら必要以上に巨大化させねばならぬ理由がありそうです。

県条例では、特別地域内での残土処分を禁じています。ゆえに巨大な平坦地は、あくまで建設資材としてのリニア発生土による造成地であって残土処分場であってはあらない。そうでなければ完全なる県条例違反となるから、それは避けねばならない。

盛土上に何か新しい施設を設けなければ残土扱いとなってしまいます。

たぶん、何かあるだろうなぁ…と思って資料を物色していたら、こんなものを見つけました。

イメージ 4

早川芦安連絡道路完成の折には、合わせて大掛かりなロープウェイを設けようとする構想です。

2012年頃に公開されたもので、詳細な検討がされていたかどうかは分かりません。

しかし早川芦安連絡道路で大規模盛土で造成地の出現する地点と、ロープウェイの起点を想定している地点とが見事に一致しています。観光施設に”再利用”すれば、リニア発生土は残土ではなく建設資材へと名を改めます。道路盛土ではなく造成地だというのなら、県条例による規制もクリアできそうです。

早川芦安連絡道路に過剰なまでのリニア発生土を運び込むのは、将来的にロープウェイを設置することを視野に入れている…のかもしれません。




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