大井川の流量維持を求める流域自治体との協定未締結問題について、JR東海の動きが奇妙です。
これまでの経緯です。
4月3日 静岡県における事後調査結果(導水路トンネル、工事用道路計画)に対する静岡県知事意見がJR東海に渡され、流域自治体からの要望を踏まえ、利水者と協定を結ぶよう要請。
4月27日 JR東海の見解が示されるが具体的記述はない。
10月10日、静岡県の川勝平太知事は、4月の意見書にて同月中にJR東海と大井川下流の水利権保有者との間に結ぶよう求めた協定が未締結であることを批判。これが発端となり、翌11日、JR東海の柘植社長が「誠心誠意進めてきた」と反論。
http://park.geocities.jp/jigiua8eurao4/SouthAlps/Shizuoka-news/2017-10-11.html
http://park.geocities.jp/jigiua8eurao4/SouthAlps/Shizuoka-news/2017-10-11.html
10月17日、導水路トンネルの施工業者が決まり、川勝知事は「ムダな行為である」と批判。
http://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/416378.html
http://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/416378.html
以上ふたつのニュースだけだと、川勝知事による唐突な批判で協議がストップしたかのような印象を受ける。けれど、その後のJR東海の動きを見ているとどうもおかしい。
11月8日 JR東海の柘植社長は記者会見で、大井川下流域の水利権保有者との協定について、締結寸前までいっていたとしたうえで、今後は担当者が利水団体を訪ね説明を行うと説明。
(静岡新聞)http://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/424874.html
(静岡新聞)http://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/424874.html
ポイント部分だけ引用
JR東海の柘植康英社長は8日、名古屋市で開いた定例記者会見で、リニア中央新幹線計画に伴う大井川の流量減少対策を明記した下流利水者との基本協定に関して「締結に至っていないが、締結したいという気持ちに変わりない」と強調した。「協定の有無にかかわらず、締結寸前までいった内容(流量減少対策)は誠実に実行する」と改めて述べ、近く担当者が利水団体を個別に訪ね、考えを伝える方針を示した。
11月15日 南アルプストンネル静岡工区での施工業者が決定。 静岡県の川勝知事は環境保全策が不明確な段階での工事契約について「遺憾の意」を示す。
http://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/427196.html?news=416378
http://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/427196.html?news=416378
11月17日 静岡県は協定について、JR東海に対し「前提が崩れるのであれば、白紙撤回せざるを得ない」と口頭で申し入れ。翌日JR東海は「誠実に対応する」とコメント。
http://park.geocities.jp/jigiua8eurao4/SouthAlps/Shizuoka-news/2017-11-16-17.html
http://park.geocities.jp/jigiua8eurao4/SouthAlps/Shizuoka-news/2017-11-16-17.html
11月24日 JR東海の柘植社長は記者会見で、大井川の流量減少が懸念されることについて、年内に利水者に対して具体策を示すと発表。
⇒すぐにリンクが切れると思うのでこの記事だけ全文コピー
NHKニュース
11月24日 20時09分
JR東海は、リニア中央新幹線の建設に伴って静岡県を流れる大井川の水量が減少しかねないという懸念が周辺の自治体から示されているのに対し、川を流れる水の減少分を川に戻すという従来の考え方を重ねて強調し、流域の自治体に対し年内に具体的な対策を説明する考えを示しました。
リニア中央新幹線の建設工事をめぐっては、静岡市北部の南アルプスの地下にトンネルを建設するのに伴って、地下水がトンネルに流れ込み近くを流れる大井川の水量が減少することが懸念されるとして、静岡県や流域の自治体がJR東海に対し、十分な対応を取るよう求めています。
これについてJR東海の柘植康英社長は24日、東京都内で行った記者会見で「国土交通省や専門家の意見も踏まえ、水の利用に影響が起きないよう流域の河川の水量の減少分はすべて戻すよう確実に対応を行いたい」と述べ、大井川を流れる水の減少分をすべて川に戻すという従来の考え方を重ねて強調しました。
そのうえで「対策費を惜しんで不十分な対策にしようということはない。工事の安全だけでなく地域連携も着実に進めていきたい」と述べ、理解を求めました。
JR東海は、トンネルに流れ込んだ地下水を水路を設けたりポンプでくみ上げたりして川に戻す計画で、こうした対策を年内に流域の自治体に説明して理解を得たいとしています。
記事を総括すると、JR東海の動きはヘンなのです。
11月8日の記事によると、その頃には協定の締結寸前であったそうです。ネット上での公開はされていませんが、中日新聞静岡版の記事では、利水者の間で合意が成立しかけていたものが10月10日の川勝知事の発言で白紙状態に戻った。という書き方でありました。
しかし同じ記事には、今後、利水関係者にJR東海側から担当者を派遣して説明をおこなう、とも書かれています。
そして今日11月24日のNHKニュースによると、JR東海は年内にも水利権傾斜に対して具体的対策を示すとのこと。
JR東海の発表を真に受ければ、10月上旬には協定締結寸前までいっていたのですから、利水関係者はJR東海の示した内容に合意できていたことになります。
それなのに、今から具体的対策を利水関係者に説明するとはどういうことなのでしょうか。