JR東海が計画している導水路は、途中で斜坑(非常口)と接続しており、そこで南に工区が分けられて工事契約がなされました。
南側(大井川に向かう側)は先に契約され、TBM(トンネルボーリングマシン)工法、断面積は10㎡です。
水力発電所の導水路なんかも断面積10㎡程度らしいので、単に水を流すだけにしては、妙に規模が大きい気がします。JR東海の資料によると、幅5m、高さ4.5mということで、ダンプカーが走れます。
何だか不審が気がして地図とにらめっこしていたのですが、もしかしたら導水路を使って本坑・先進坑の掘削を行うつもりなのではないでしょうか?
それならば、先に導水路を設置しなければならない、という非合理的な進め方にも合点がゆきます。
JR東海は、環境影響評価書では、本坑の完成後に具体的な流量対策を考案するとしていました。しかし事業認可後になって導水路を設置すると宣言。既に位置を決め、本坑掘削前に建設に取り掛かる姿勢を示しています。
しかし導水路の必要性や構造は、列車が通るトンネル貫通後に湧水状況を検証するまで決定できないはずです。仮に薬液注入等の止水対策が功を奏して大井川の流量に影響が出なかったら、無用の長物となるし、水質に問題があるなら放流するのにばく大なコストをかけて浄化する必要が出るかもしれない。
だから導水路を先に設置しなければならない、というのは非合理的です。
しかしこの導水路を先に造ってしまえば、切羽(せっぱ/トンネル先端部分の掘削現場)を増やして工期を大幅に短縮させることが可能となります。
斜坑との接続部部分より深い部分の断面積が大きいという妙な構造についても、中にベルトコンベヤを敷設するかダンプカーを通すためかもしれない。
導水路は、排水路だと疑っていましたが、3本目の斜坑である可能性を考える必要もありそうです。