昨日(12月27日)の静岡新聞朝刊の記事です。
これに先立つ、22日の静岡新聞記事です。
JR提案「おこがましい」 静岡市長、トンネル設置要望巡り
リニア中央新幹線南アルプストンネル工事の工事車両通行ルートを巡り、JR東海が静岡市の要望とは異なる市道へのトンネル整備を提案したことについて、田辺信宏市長は21日の定例記者会見で「おこがましいにもほどがある。地元の思いとは大きな隔たりがある」と非難した。
市は工事現場になる葵区井川地区の意向を踏まえ、工事車両の通行ルート確保や地域振興の観点から、市街地へのアクセスが良くなる県道三ツ峰落合線へのトンネル設置を求めていた。しかし、JR東海は井川地区で6日に開いた住民説明会で、川根本町につながる市道閑蔵線へのトンネル設置を提案。「市が整備するのであれば費用(100億円)の半分を負担する」とし、住民たちの反発を招いた。
リニア本線は南アルプスエコパークの地下を貫く。田辺市長は「(エコパーク登録までに)市民の時間と労力がかかっている。そこを毀損(きそん)することに、厳しい視点を持たなくてはいけない」と話した。
今後、条件が折り合わないままJR東海が工事を行う可能性については「強行するのは難しいのではないか。県と連携して対応していきたい」と述べた。
市は工事現場になる葵区井川地区の意向を踏まえ、工事車両の通行ルート確保や地域振興の観点から、市街地へのアクセスが良くなる県道三ツ峰落合線へのトンネル設置を求めていた。しかし、JR東海は井川地区で6日に開いた住民説明会で、川根本町につながる市道閑蔵線へのトンネル設置を提案。「市が整備するのであれば費用(100億円)の半分を負担する」とし、住民たちの反発を招いた。
リニア本線は南アルプスエコパークの地下を貫く。田辺市長は「(エコパーク登録までに)市民の時間と労力がかかっている。そこを毀損(きそん)することに、厳しい視点を持たなくてはいけない」と話した。
今後、条件が折り合わないままJR東海が工事を行う可能性については「強行するのは難しいのではないか。県と連携して対応していきたい」と述べた。
何やら、いつの間にか静岡市は、リニア建設と引き換えに道路整備を要望する話が進んでいるようなのであります。
静岡市民でありながら恥ずかしいことに、このような動きはほとんと把握しておりませんでした。何年か前、道路整備の要望がJR東海に提出されていたことは記憶していますが、いつ、誰が、どのような文面で要望したのかなど肝心なことを失念しておりました・・・
個人的にかなり疑問なのですが、なぜJR東海に要望する必要があるんでしょうか…?
標高700mの井川地区から静岡市街地に出るには、標高1200mの大日峠を越えてゆかねばなりません。この峠越えの県道は、今から約60年前に中部電力がダム件s津による村の水没への補償としてつくったもので、ヘアピンカーブが連続し、かなり狭いところもあり、大雨で頻繁に通行止めになります。井川地区が市内でありながら陸の孤島と言われる所以です。
ルート案について公表されているわけではないので、これはあくまでブログ作者のイメージ。
たぶんJR東海としては、島田方面から工事用車両を入れたいのだと思う。静岡市に抜けるルートだと、峠部分にトンネルを新設しても狭隘区間が多く残るのに対し、島田方面への道は、長島ダム建設に合わせ川根本町内で大規模に拡幅整備されたため、同ダム付近(接阻峡温泉)までトンネルを掘ってしまえば大型車両の通行には支障がでないと思われる。ただしこのルートでは井川地区の日常生活には全く役立たない。
だから、地元として道路整備を要望するのは理解できるけど、それをJR東海に求めるというのは、何だか筋が違うような気がします。
南アルプスの向こう側、山梨県では早川芦安連絡道路の整備が、長野県では県道改良工事(トンネル新設)が進められています。
どちらも地元が道路整備を要望していたところにリニア計画がやってきて、工事用車両を通行させたいというJR東海の思惑が一致し、県とJR東海との競合事業で実現に弾みがついたという構図となっています。なお早川芦安連絡道路の事業化プロセスには客観的に非常に疑問があるのですが、それは横に置いておきます。
井川地区へのトンネル新設要望が、JR東海の事業計画と一致しないのならば、JR東海としては積極的に動ことはないでしょう。
環境影響評価書によると、井川地区での車両通行台数は、最高で片道216台を予測。現状は1日536台(片道?)とされているので、確かに現状よりは多くなるし、地元に相当な迷惑を及ぼすことでしょう。
しかし、リニア沿線の方ならご承知かと思いますが、他の地区と比べれば、これは普通~やや少なめといった感じです。
品川~名古屋の各地でダンプ公害が予想されているわけです。ところが、こうした地域の中で、わざわざ道路を新設して迂回させるような措置がとられることとなったのは、先に述べた山梨県の早川芦安連絡道路整備と長野県での県道改良事業ぐらいなものです。そのほかの地域では、生活道路に片道数百台を通すような計画が平然と進められているわけです。
それに井川地域の場合は工事現場からは40kmくらい離れているのに対し、他県だと工事現場と生活空間とが重なっているので、日常生活への影響の大きさという意味では、たぶん比較にならない。
もっと過激な公害を押し付けられる場所がた~くさんあるのに、これしき(?)で道路設置を願おうなどというのは考えが甘い!
地元の道路要望の声をJR東海に押し付けているかのような田辺市長のお考えは、行政の責任を放棄しているようで理解しがたいし・・・・。