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Channel: リニア中央新幹線 南アルプスに穴を開けちゃっていいのかい?
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次々と問題が噴出した1年だった

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年が明けてから1年を振り返りますが、2017年は、リニア計画に内在する問題点が次々と露呈してきた一年だったような気がします。

2月には、岐阜県瑞浪市内で計画されている発生土置場において、清水建設など施工共同企業体(JV)が砂防指定地で許可を得ずに土地を掘削し、長さ50mの道路を造成していたことが発覚。発注元のJR東海も法令順守が問われる事態となりました。

5月には、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構からの借り入れが終了。工事費5兆5千億円のうち、3兆円は国からの借金で賄われることとなりました。

同じ5月には、JR東海が計画している長野県豊丘村の本山発生土置場候補地に関し、発生土を受け入れた地権者の森林組合について、適切な組合運営が行われてこなかったとして長野県が改善を指導。結局、白紙撤回するという混乱が起きました。

8月には営業用車両LO系先頭車両の製造を担当した三菱重工業が、開発・量産から撤退する方針を示したという報道もありました。直接的には、三菱重工業の経営立て直しが背景にあるようですが、採算が合わないと判断されたことには違いありません。

同じく8月。南アルプスのトンネル工事に伴う大井川流量への影響について、静岡市が独自にシミュレーション調査を行ったところ、JR東海の試算結果とは大きく異なる値が出されました。アセスおよび環境保全措置の妥当性に疑問を突き付ける端緒となりました。

10月以降は、静岡県の川勝知事が大井川の流量保全問題やデメリットを頻繁に口にするようになり、さらに大井川の水を使う中部電力からも水力発電所に与える損失について懸念が表明されました。

そして年の瀬に降ってわいたような談合”事件”。厳密には事件に相当するとは考えにくい構図のようなのですが、リニア計画の根本的な問題が凝縮されているようにも思えます。


超・大規模で、なおかつ未知の要素が非常に大きい事業。そのため、事業の計画段階から事業主体(JR東海)を交え、工事を請け負う各企業間で調整を行わねば、効率的に推進することができない宿命を負っている。談合めいたことをしなければ実現不可能な事業を、国が認可したことは妥当だったのでしょうか。

談合”事件”のさなかには、長野県内でJR東海が手掛けていた道路トンネル工事現場のすぐそばで、同工事での発破が原因とみられる土砂崩れが発生。道路をふさぎ、周辺の生活に大きな影響を及ぼす自体となりました。近傍では以前より崩落が相次いでいたのですが、そのような場所で火薬を使用したことの妥当性が問われそうです。

長野県内では、1年を通じて発生土の受け入れ先がたらい回しになり、山梨県内では土壌汚染の恐れがあるなどとして、なし崩し的に発生土の仮置場が増やされた年でもありました。



これらの問題、ごく簡単にまとめると、
無許可工事
 ⇒事業主体としてのコンプライアンスの問題
談合騒動
 ⇒法制度と事業計画との整合性に疑問
 ⇒情報公開のあり方
土砂崩れ誘発
 ⇒採用された工法の妥当性に疑問
大井川の流量問題&発生土のたらい回し&要対策土壌の発生
 ⇒アセスがいい加減だった
 ⇒利害の不一致
三菱重工業の撤退
 ⇒事業の採算性に疑問
こんな言葉に置き換えられるのではないかと思います。

元来抱えていた様々な無理難題が、実際に事業が動き出してみたところ、壁にぶち当たって次々と噴出してきたという印象です。起こるべくして起こったような騒動ばかりかといえそうです。

今年も次々と問題が噴出してくるかと思いますが、JR東海社長のインタビューでは、「2027年開業を最優先」とのこと。

さすがにもう、ムリなんじゃないのかな・・・?

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