JR東海に対し、国から建設指示が出されたのは2011年5月のことであった。
月日が経つのは早いもので、リニア事業が具体的に動き出してから今年でもう7年目である。
当時、中学生だった子供が、今年は新成人というわけだ。
リニアの名古屋開業予定は2027年で、大阪開業はアベノミクスによる前倒し計画(?)によれば2037年ということである(国が3兆円を融資することによりJR東海の予定より8年前倒し)。
リニア中央新幹線はビジネス利用がメインになるらしいので、今年の新成人あたりの世代が、開業間もない頃の利用の中心になるということになる。
と同時に、リニア建設後の様々な影響―借金返済、自然破壊、経済なメリット/デメリット―をマトモに受ける中心となる世代でもある。
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こんなことを考えたのであります。
「リニアはんたーい!」と叫んでいる人々がそれなりに大勢いる。
しかしおそらく若者は少ない。
極めて主観的な感想であり、きちんと調べたわけではありませんが、公開されている集会等の写真、ないしSNSのプロフィールから察するに、おそらく「リニアはんたーい」の中心世代は50~60代であると思われます。
将来、リニア事業に現役世代として向き合う世代(現在の40代以下)が少ない。
これは何を意味するのでしょうか。
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これまた極めて主観的な想像でありますが、似たような思考回路をもつ人間が集まってくると、やがて集団内でしか通用しない理論で思考が凝り固まってしまったりする恐れがあると思います。
昨年末の「リニア入札談合”事件”」については、道義的な問題はあるにせよ談合”罪”に問うことはできない、という意見もあります。
この論評は説得力があると思うのですが、「リニア反対派」の間では、なぜかあまり評価されない。その代り、日刊ゲンダイ等での「3兆円融資は“忖度”か リニア「国策化」の怪しいプロセス」のような記事は、えらく称賛される。
見たくないものには目をつむり、見たいものだけ見る、という思考パターンに陥っているとしたら、それは猪突猛進の推進側と一緒でマズいんじゃないのかなと思います。
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思考回路がパターン化することは、いろいろと弊害が多いんじゃないのかと思います。例えば、「リニア反対派」が掲げる懸念材料や反対の根拠について、客観的な評価をすることができなくなるのではないでしょうか。
住み慣れた土地を追われる
先祖伝来の土地が奪われる
先祖伝来の土地が奪われる
と言うと、同じ「リニア反対派」なら同情し、憤り、JR東海や推進している行政への文句に勤しむ。私も個人的には同情する。けれど人によっては事業に賛同するなり金目当でなり理由は種々あろうと積極的に土地を差し出そうとするかもしれない。どちらが正しいという類いの話じゃないと思う。そもそも生まれも育ちもアパートやマンションならば全くピンとこないかもしれない。
トンネルができると不動産価値が下落する
といった懸念も見受けられるけれど、土地など持っていない世代から見れば「雲の上の話」かもしれない。
自然破壊!
を叫んでも、おそらく普通の生活を送る上では何の支障も出ないだろうし、そもそも、部屋にこもりっきりで四六時中スマホやらパソコンをいじっている生活を送っていれば全く縁がない。南アルプスなんて、たぶんどーでもいいし、そもそもどこにあるかも知られてなさそう。
生活環境が悪化する!
というのは、もとより相対的劣悪な環境で生活している人からみれば、贅沢な悩みなのかもしれない。
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リニア計画を非難する側こそ、その主張をより確固たるものにすべく、いろいろな考え方・世代の声を柔軟に吸収すべきじゃないのかな、と思った2018年の始まりなのでありました。
リニア開業予定まであと9年・・・