昨年12月に、静岡市井川地区で行われた住民向け説明会にて、地元から掲げられていた道路整備に関し、JR東海から「市道閑蔵線沿いにトンネルをほろことなら検討しても良い」という内容の意思表明がなされました。
12月7日 静岡新聞
リニア工事、市道トンネル案に不満 JR説明で静岡・井川住民
JR東海は6日、リニア中央新幹線の南アルプストンネル静岡工区の工事現場になる静岡市葵区井川地区で、工事契約後初めての住民説明会を開いた。地元要望のうち、工事車両の通行ルート整備に関して市道閑蔵線へのトンネル新設を提案。住民は県道へのトンネル開設を要請していたため、不満の声が上がった。説明会は非公開。
同社は、市道トンネルについて長さ約2・5キロ、整備費は約100億円と試算する。説明会後に取材に応じた中央新幹線建設部の新美憲一担当部長によると「静岡市が整備するのであれば費用の半分を負担する」のが同社側の方針。市には提案を伝えたが、回答はないという。
一方、井川地区は市街地につながる県道三ツ峰落合線へのトンネル設置を希望してきた。参加した男性(56)は「がっかりした。閑蔵線は川根本町に抜ける道。静岡市民としては県道に造ってほしい」と話した。
このほか、JR東海は水資源や発生土置き場、地域活性化策に関する要望について提案を行い、出席した約70人の住民と意見交換した。新美担当部長は「厳しい声をいただいた。理解を得られたとは思わないので、引き続き議論を深めたい」と述べた。
同社は、市道トンネルについて長さ約2・5キロ、整備費は約100億円と試算する。説明会後に取材に応じた中央新幹線建設部の新美憲一担当部長によると「静岡市が整備するのであれば費用の半分を負担する」のが同社側の方針。市には提案を伝えたが、回答はないという。
一方、井川地区は市街地につながる県道三ツ峰落合線へのトンネル設置を希望してきた。参加した男性(56)は「がっかりした。閑蔵線は川根本町に抜ける道。静岡市民としては県道に造ってほしい」と話した。
このほか、JR東海は水資源や発生土置き場、地域活性化策に関する要望について提案を行い、出席した約70人の住民と意見交換した。新美担当部長は「厳しい声をいただいた。理解を得られたとは思わないので、引き続き議論を深めたい」と述べた。
その後、12月22日の静岡新聞記事
JR提案「おこがましい」 静岡市長、トンネル設置要望巡り
リニア中央新幹線南アルプストンネル工事の工事車両通行ルートを巡り、JR東海が静岡市の要望とは異なる市道へのトンネル整備を提案したことについて、田辺信宏市長は21日の定例記者会見で「おこがましいにもほどがある。地元の思いとは大きな隔たりがある」と非難した。
市は工事現場になる葵区井川地区の意向を踏まえ、工事車両の通行ルート確保や地域振興の観点から、市街地へのアクセスが良くなる県道三ツ峰落合線へのトンネル設置を求めていた。しかし、JR東海は井川地区で6日に開いた住民説明会で、川根本町につながる市道閑蔵線へのトンネル設置を提案。「市が整備するのであれば費用(100億円)の半分を負担する」とし、住民たちの反発を招いた。
リニア本線は南アルプスエコパークの地下を貫く。田辺市長は「(エコパーク登録までに)市民の時間と労力がかかっている。そこを毀損(きそん)することに、厳しい視点を持たなくてはいけない」と話した。
今後、条件が折り合わないままJR東海が工事を行う可能性については「強行するのは難しいのではないか。県と連携して対応していきたい」と述べた。
市は工事現場になる葵区井川地区の意向を踏まえ、工事車両の通行ルート確保や地域振興の観点から、市街地へのアクセスが良くなる県道三ツ峰落合線へのトンネル設置を求めていた。しかし、JR東海は井川地区で6日に開いた住民説明会で、川根本町につながる市道閑蔵線へのトンネル設置を提案。「市が整備するのであれば費用(100億円)の半分を負担する」とし、住民たちの反発を招いた。
リニア本線は南アルプスエコパークの地下を貫く。田辺市長は「(エコパーク登録までに)市民の時間と労力がかかっている。そこを毀損(きそん)することに、厳しい視点を持たなくてはいけない」と話した。
今後、条件が折り合わないままJR東海が工事を行う可能性については「強行するのは難しいのではないか。県と連携して対応していきたい」と述べた。
さらに27日の記事。
静岡市街地から井川地区へのアクセスは、一般的には、安倍川に沿って北上し、玉川地区を経て、大日峠(標高約1200m)を越えてゆく、というルートが使われています。その大日峠にトンネルが欲しいというのが井川地区の要望。
これに対しJR東海の提案は、井川地区から大井川に沿って川根本町に抜ける市道閑蔵線沿いになら、市と共同出資でトンネルを掘ることを検討しても良い、というもの。
この件については、地元の意向にせよ静岡市側の魂胆にせよ、どうも共感できないのですが、それは横に置いておきます。
⇒一般論として、これは静岡市/県に陳情すべきなのにJR東海に不満を示すのは筋が違うだろう?
長野県や山梨県では、JR東海が自治体と共同で道路の拡幅や新設工事を行っています。いずれも、もともと地元から道路整備の要望があったところに、工事用車両を通行させたいというJR東海側の思惑とが一致し、事業が実施されたという経緯です。
同じように考えれば、大井川沿いを工事用車両のルートとして使いたいという意向があるのでしょう。
実は、環境影響評価の早い段階でその意向が示唆されていました。
環境影響評価準備書(2013年9月)からコピーしたものです。
これによると工事車両は、市道閑蔵線を使って川根本町方面と行き来させることを想定していたことになります。井川地区住民が要望している大日峠越えルートは、この図では右下方向になりますが、そちらを使うとはしていません。
その後、評価書(2014年4月)および補正評価書(2014年8月)では、井川ダムより南側での車両通行ルートは示されておりません。どちらを使うのか再検討すべしと判断したのでしょう。
ただ、JR東海としては、元来は工事車両を静岡市街地と行き来させるつもりはなかったのですから、大日峠にトンネルを掘ってほしいと言ったところで簡単に受け入れられるはずもない。
なお仮に市道閑蔵線をメインルートと想定しているなら、次のような疑問が湧きます。
●環境影響評価では、事業実施対象地域は静岡市としており、川根本町内を対象とした各種予測は行われておらず、説明会等もなされていない。同町内への影響は皆無なのか?
※同町では大井川の流量減少でも影響が生じうる。
●市道閑蔵線は狭く、大雨で頻繁に通行止めとなるため、大型車両を大量かつ安定的に通行させることには支障があると思われる。このルートを用いるのなら拡幅工事ないし迂回トンネルの設置は必須ではないのか?
⇒グーグルアースのストリートビューでご確認ください。
●大井川下流部から資材等を搬入すると、南アルプス山中の工事現場までの輸送距離は片道130~150㎞となる。途中にストックヤードを設ける必要が生じるのではないか?