JR東海のホームページに、大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(大深度地下法)に基づく各種書類が掲載されました。
内容が多岐にわたり、いずれも大容量となっているため、全てに目を通したわけではありませんが、その中で、活断層についての記述が気になりました。
事業の施行に伴う安全の確保及び環境の保全のための措置を記載した書類(別添書類第6号)
にあったこの部分です。
とあります。
大深度地下区間で交差する活断層については特段の配慮は不要とする事業者見解です。
その妥当性についてはさておき、JR東海がリニア中央新幹線の活断層リスクについて具体的に言及したのは、2011年5月の建設指示以降、初めてのことじゃないでしょうか。
大深度地下区間で交差する可能性のある活断層は、名古屋市内の1本のみということです。しかし大深度地下区間以外に目を向けると、多数の活断層(である可能性の高い地形)と交差しています。
先に示した別添書類第6号の内容に従えば、断層と交差していることが確実で、活動した場合に構造物に作用を及ぼす可能性のある場合は、特別な配慮をとる必要がある、ということになります。
しかし断層活動が地表にまで及んだ場合、地面が割れてずれ動いてしまうわけですから、断層面をまたいだ構造物は絶対にダメージを受けてしまいますし、トンネル区間であったら、ぐにゃりと曲がるか切断されてしまいます(1970年伊豆大島近海地震での伊豆急行のトンネル)。
ふつうに考えれば、対策をとることは非常に困難だと思います。
そもそも線状構造物である鉄道に対し「交差する活断層が動いたら危険だから対策をしろ」との要望は、おそらく無理難題の範疇にくくられるものだと思います。
例えば東海道新幹線は丹那断層や富士川河口断層などと交差しています。万が一列車が通過するタイミングでずれ動いたら、一巻の終わりです。分かっちゃいるけど対策なんぞとりようがない。危険だからといって断層ごとに徐行運転をしていたら、新幹線としての意味がなくなってしまう。よって安全を祈りながら走らせるしかない。
しかし、リニア中央新幹線の場合は、場合によっては活断層対策をとるそうです。繰り返しますが、それがこのたび明らかとなりました。
――とはいえ実際のところ、活断層と交差する区間が既に着工されているのですが、そうした区間についてJR東海より発表された資料で、当該活断層への見解を示したものは存在しないようです。
(例:中央アルプストンネル)
どういうことなのだろう?