静岡市の南アルプス山中に向かう林道東俣線は、市の条例により車両の通行が禁止されている。通行の際には申請を行い、許可を得ねばならない。
昨日、JR東海は宿舎建設のために車両を通行させる必要があるとして静岡市に申請を行い、今日(14日)、許可が出たそうで、早くも18日には宿舎建設に取り掛かる意向を示しているらしい。
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9月18日にリニア準備工事開始 JR東海 作業員宿舎建設へ
ところで、この記事の末尾に次のような一文がある。
県はこれを受けてJR東海の調査報告書を県のホームページで公開し、10月14日まで県民の意見を募集します。
ん・・・?
静岡県環境影響評価条例からコピペ
2 法対象事業者は、前項の調査を行ったときは、その結果を記載した報告書(以下「法対象事業事後調査報告書」という。)を作成し、知事及び法対象事業関係市町村長に送付しなければならない。
3 知事は、法対象事業事後調査報告書の送付を受けたときは、これを公表するものとする。
4 法対象事業事後調査報告書について環境の保全の見地からの意見を有する者は、前項の規定による公表の日の翌日から起算して1月を経過する日までの間に、知事に対し、意見書の提出により、意見を述べることができる。
5 知事は、法対象事業事後調査報告書の送付を受け、必要があると認めるときは、規則で定めるところにより、当該法対象事業に係る法第22条第1項の規定による送付を受けた者に対し、当該法対象事業者に対する環境の保全のための必要な指導を要請することができる。
6 前項の場合において、知事は、期間を指定して、法対象事業関係市町村長に環境の保全の見地からの意見を求めるとともに、必要があると認めるときは、静岡県環境影響評価審査会の意見を聴くことができる。
要するに事業者(JR東海)は、追加的に行った環境調査の結果を「事後調査報告書」として県知事に提出しなければならない。その内容について、環境保全の視点から何か言いたいことのある人は、一カ月以内であれば県知事あてに意見を出すことができる。
こちらが「事後調査報告書(平成30年9月)宿舎建設前」
(JR東海ホームページ)
コレへの意見提出期限は今年の10月14日となっているわけだ。
JR東海は、意見提出の期限が来る前に着工していることになる。
リニア計画の場合、2014年までの環境影響評価手続きで具体的な事業計画や環境保全計画が明らかにされてこなかったので、事後調査報告書で代替するような形になってしまっている。
そのため宿舎計画については、公衆等の意見提出が法的に認められていた環境影響評価手続き内では全く明かされず、このたびの事後調査報告書では意見提出前に既成事実として建設することになる。宿舎といっても750人が寝泊まりすることを想定しており、井川地区の人口より多い。突如、村が出現するようなもので、環境への影響は無視できまい。
それなのに結局、一度も県民どころか県の審査会に対しても計画内容を明かすことなく、いきなり建設に着手することになる。
こういう進め方が、「地元軽視」と言われるゆえんだと思う。
評価書への国土交通大臣意見
結局これも無視である