先日の、JR東海に対する林道通行許可で、「リニア反対派」の方々が静岡市長に憤っているようです。しかし私はそれよりも、むしろ水問題に対する市長の姿勢が消極的であることを気にしています。
8/3静岡新聞
8/8静岡新聞
確かにほとんどの静岡市民は大井川の水に頼って生活しているわけではありませんが、市内を流れる河川の環境を守るのは静岡市の義務ではないのでしょうか。市が作成したユネスコエコパーク管理運営計画にもそんなことが書いてあったはずです。
静岡市長は配慮書(2011年6月)、方法書(2011年9月)、準備書(2013年9月)への市長意見において、トンネル工事による流量減少が水生生物に影響を及ぼすおそれがあるとして、適切な環境保全措置の考案を強く求めてきました。
配慮書(2011年6月)への静岡市長意見(左欄)と事業者の見解(右欄)
そのほか各図書への静岡市長意見はこちら
しかしいまだJR東海は、水生生物を対象とした流量減少時の環境保全措置を具体化させているとはいえない状況です。
特に大井川源流域に生息するヤマトイワナについては、静岡市調査では毎年生息が確認されており、地元漁協等も生息は確実だとして、その保全が強く求められているところです。しかしJR東海の調査では生息は確認されないとして調査を続けている段階であり、具体的な保全措置は未策定です。
JR東海が下流への水資源対策として計画している導水路案では、導水路出口より上流の環境を保全できる見通しが立ちません。
いっぽう大井川源流部には複数の取水堰があります。そこでは環境維持の目的で取水してはならない最低量が決められています。環境維持流量と呼びます。この量ははるか下流での環境維持を目的として決められた経緯がありますから、源流部の環境とて流域全体の水利用計画と無関係ではないはずです。
⇒国土交通省資料(PDFファイルで2.7MB)