JR東海の社長さんが、静岡刻くについても「地元の理解を得たい」とおっしゃっているようです。
宿舎建設に向けて資材搬入を開始した後の21日朝刊でも、同様の会見内容が報じられていました(WEB配信なし)
しかし「理解」という言葉は要注意。南アルプストンネル長野側では、「地元が理解したかどうかは弊社が判断する」と述べていたのであります。
ところで静岡県の場合、そもそも「地元」とはどこを指すのでしょうか?
先日、宿舎建設についての説明会は、今年8月7日に静岡市葵区の井川地区で行われています。しかし静岡市街地では開かれていません。
法律に基づいて実施された方法書・準備書の説明会は、静岡市中心部と井川地区との両方で行われました。法律上の義務のない評価書の説明会も同様でした。しかし今回は井川地区だけに限定しています。なぜなのでしょう。
宿舎建設予定地と井川地区とは、直線でも20㎞以上離れています。ですので工事による振動や騒音などが井川地区に届くことはまず考えられません。だから工事による直接の影響を考慮して最寄りの井川地区だけで説明会を開いた、という理屈は成り立たないように思われます。
工事用車両の通行を考慮したというのでしょうか。
しかし、静岡市街地から井川地区へ向かうルートは基本的に1本に限られるため、道路沿いはどこでも同じ程度の影響を受けるはずです。よって、やはり井川地区に限定する理由にはならないと思います。言い換えれば、ルート上であって市街地寄りの横沢~落合~油島地区でも説明会を行わないのはおかしい。
ところで、2013年の環境影響評価準備書以降、大井川の流量が減少すれば流域の生活への影響が出かねないとして問題になっています。
ところが環境影響評価手続きでは、大井川の中・下流域は、環境影響評価法第十五条でいう「対象事業に係る環境影響を受ける範囲であると認められる地域」に含まれませんでした。
このため、大井川中・下流域自治体は、環境影響評価法に基づいて手続きに参加することができず、一般住民を対象とした説明会はこれまで一度も開かれていません。
さて、「地元」というのはどこを指すのでしょう?
よく分からないですけど、「地元とはどこを指すのか弊社が決める」と軽々しく言われないように、「地元自治体」は釘を刺しておかねばならならないと思うのであります。下手すりゃ「地権者(=1社)だけ」なんて話になりかねない。
大井川の流量が減った場合に、利水に影響が出るかもしれないのは次の図で黄色く塗った市と町。なお静岡市井川地区は大井川に面しているが、上水道(簡易水道)は浅井戸から取水しているとのこと。井戸の位置など分からないので、影響の有無についてはブログ作者には分からない。
環境影響評価手続きで取り扱われてきたのは静岡市のみ。
いっぽう、工事車両通行ルートはこんな感じ。別に井川地区だけ突出して影響が大きくなるという説明はない。基本的に一本道だから、ルート上の市街地寄りだって同じ程度の車両が通行するはずである。
3枚の図をまとめたもの。
影響を受けるのはあちこち多方面だし、これまで説明会等を行ってきたのは静岡市中心部だった(つまり大井川下流部の住民でも参加しやすい)のに、なぜか説明会は井川地区だけ。