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Channel: リニア中央新幹線 南アルプスに穴を開けちゃっていいのかい?
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トンネルばかりになのに事業内で発生土を再利用することが難しい

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JR東海が、今度は神奈川県駅の施工業者の募集を開始しました。
神奈川県駅は地下駅となり、ここの工事だけで115万立米の発生土が生じます。ほぼ東京ドーム一杯に匹敵する量となりますが、発生土の処分はどうするつもりなのでしょうか?
神奈川県内での発生土量は1140万立米。このうち140万立米は川崎港で海岸埋め立てに使う方向で手続きが進んでいますが、残り約9割については目途が立っていないようです。

発生土置き場をめぐっては、最近、長野県内で気になる動きがありました。

松川町では、町内3地点に合計620万立米もの発生土を埋め立てようとする計画がありました。しかし過去に土砂災害を経験している地域であるため懸念が強く、結局、町として2地点590万立米分については取り下げることとなったそうです。
9月29日南信州新聞 松川町の残土処分候補地が難航 

この3地点では、計算上、南アルプストンネル長野工区と伊那山地トンネルからの発生土(530万立米)全てを受け入れるだけの容量があることになっていました。
また、同じ松川町内にガイドウェイ製造施設設置のために発生土20万立米を使って盛土するという計画もありましたが、これも土地利用制度の面から困難であるとされ断念することとなったそうです。
10月12日信濃毎日新聞 「リニア ガイドウェイ製作・保管の作業場 松川町、候補地を断念

このほか豊丘村では、「半の沢」という谷にかかる橋を、発生土30万立米を使った盛土構造に転換して道路拡幅を行う計画も浮上してきてます。しかし県の委託を受けて現地調査した専門家からは盛土するにはリスクがあると指摘されたそうです。
9月27日中日新聞 盛り土計画、安全を審議 技術検討委が発足

ちょっと調べてみると土石流危険渓流に指定されているようです。傍観者の感想になりますが、あえて盛土構造にするメリットは薄そうですので、この計画も紆余曲折しそうに思えます。


また、「すでに本坑掘削を開始している」とされる山梨県早川町でも、発生土の取り扱いが迷走しているようです。

同町への発生土量は329万立米になる見通しで、最終処分場1地点(3万立米)と仮置き場6地点(計24.7万立米)が決定してますが、すでに一杯のようです。120万立米を早川芦安連絡道路(山梨県事業)の盛土工事に、10万立米を別の道路盛土に使うとされていますが、今のところ搬入作業が開始されたとの情報はなく、どうなっているのかよく分かりません。



さらに早川町内では、中部横断自動車道から掘り出された発生土も数か所に運び込まれているようです。グーグルアース(2018年5月撮影)で眺めてみると古墳のような発生土の山が狭い谷底のあちこちに築かれており、これ以上、仮置き場を増やすことは困難に思えます。


◇   ◇   ◇   ◇   ◇

やっぱりリニア計画はムリが多いじゃないかと思うのであります。

中部横断自動車道の例に見るように、道路建設でも大量の発生土が生じます。資料の出所は失念しましたが、新東名高速道路の場合、静岡県内だけで7200万立米もの発生土が出たということです。これだけでリニアの東京-名古屋間の発生土量の約1.3倍にもなります。


どのように処分計画が立てられたのか分かりませんが、ところどころに超巨大な盛土構造区間が設けられています。下の写真は静岡のサービスエリアですが、撮影位置から向こう側1.2㎞ほど先まで、谷を延々と埋め立ててあります。ここだけで300万立米以上を使っているらしい。
イメージ 1

下の写真は反対側から撮ったものです。右手の光っているところに川が流れていて、その左手斜面全てが盛土です。
イメージ 2

ムチャクチャに大規模な盛土ですが、自らの事業内で「活用」されています。あちこちにこのような巨大盛土区間を設け、場所によっては住宅地造成などにも当てながら、7200万立米を使い切ったことになってますす。

ここがリニア計画と根本的に違う。


静岡市内の図書館に「東海旅客鉄道20年史」というものが置いてあります。
この本には山梨リニア実験線の検討経緯が掲載されており、その148ページに次のような記述があります。
「…山梨実験線は、上記運輸大臣の暫定技術指針及び配慮すべき条件に適合するよう、全長42.8㎞、うち複線区間24㎞の規模で全体を計画した。このうち、インフラ構造物については、トンネルが全体の8割以上を占めることとなり、最長は御坂トンネル(仮称)で約14㎞の延長となる。明かり構造物は、高架橋及び橋りょうが愛部分を占めるが、切取り区間も一部存在する。盛土構造については、超電導リニアの地上1次モーターと高速性に由来する厳しいガイドウェイ精度管理の面から採用しないこととした」 

赤く記した部分が、実は超電導リニア方式の隠れた盲点なんじゃないかと思います。

トンネルばかりなのに、事業内で発生土を再利用することが難しい。

これは致命的な弱点じゃないのかなぁ。


発生土処分計画の情報についてリンク集を設けてありますので、ご興味のある方はご覧ください。

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