国立国会図書館のホームページに
「調査及び立法考査局の刊行物」
http://www.ndl.go.jp/jp/diet/publication/newpublication.html
というコーナーがありまして、そこの「レファレンス 2018年10月(813号)」に、
「リニア新幹線の整備促進の課題―トンネル工事が抱える工事遅延リスク―」
と題したレポートが掲載されています。
摘要には
「リニア新幹線品川-名古屋間の平成39年の開業は、トンネル工事の成否がカギを握る。過去の会計検査報告からトンネル工事の事故が原因で開業が遅れた事例を抽出し、事故の背景・要因を考察する」
と書かれています。
参考文献として、これまで刊行された図書や、政府から発表された情報などが網羅されており、資料集としても重宝しそうです。
ところで、ここで紹介されている上越新幹線中山トンネルの事例が気になりました。
中山トンネルは大変な難工事となり、上越新幹線の開業遅れや速度制限の要因となったわけですが、それだけの難工事になってしまった背景として、会計検査院や当時の関係者の証言として、
・事前調査が不十分
・工期が5年と定められており柔軟な変更ができなかった
ことが大きかったそうです。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
これはリニア中央新幹線の現状そのままではないでしょうか。
リニアの場合、まず2007年に「2025年(平成37年)名古屋開業」が発表されました。その後、2010年にJR東海は、名古屋開業目標を2027年に変更します。
この段階では、まだ表向きにはルートすら決まっていません。2011年に事業認可を受け、環境影響評価手続きを経て、2014年に事業認可を受けます。
しかしこの段階に至っても、発生土処分方法や各種の環境保全対策は、ほとんど手つかずのままでした。
「着工」したとえはいえ、2018年10月の今に至っても、発生土処分方法が未定の区間ばかり(つまり調査されていない)ですし、大井川水問題にみるように、環境保全対策の決まっていない事項も多々残されています。
JR東海は「2027年名古屋開業」を掲げたままです。
はてさてどうなることやら。