リニア関連の読売新聞の記事が公開されていました。
大量の残土、行き場なく…リニア工事大幅遅れ 2018年11月01日 15時14分
この記事を始め、JR東海関係者が最近は様々なところで「工程に余裕がない」と漏らし始めています。
しかし、なぜ「2027年開業」を変更しようとしないのでしょう。
最初、JR東海はリニアの名古屋開業を2025年としていました(2007年4月26日)。その3年後の2010年4月28日に、経済的事情を理由として、名古屋開業目標年度を2027年開業に変更しています。
ネット上に当時の新聞記事も残されています。
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFD2800R_Y0A420C1000000/
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFD2800R_Y0A420C1000000/
かつて一度変更したことがあるために、2度目の変更を行うと事業遂行能力に「?」がつくとでも考えているのでしょうか。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
2027年開業という目標年度は、様々な技術的・経済的な制約を考慮したうえで出されたものだとされています。
しかひこれは、言わば事業者側が出した素案。
対外交渉めいたことは考慮していないスケジュールです。
事業推進のうえで、住民にとっての基本中の基本事項
●ルートの位置
●本体工事に伴う環境保全対策
この2点は、環境影響評価手続きが終了してはじめて明らかになる事項です。
また、事業認可の段階にいたってもなお、発生土の9割以上が行き先未定でした(目途を立てていたのは神奈川県360万立米くらい)。発生土処分計画は2014年がスタートだったといっても過言ではありません。そしてやはり、発生土処分にともなう土地取得・工事方法・環境保全対策等も、住民・自治体との協議を経てからでないと決めようがありません。
で、本体工事や関連工事の内容が決まらなければ、対策費用もスケジュールも決まらぬはずです。詳しいことは分かりませんが、それが決まれねば資金繰り計画も決められないでしょう。
※事業認可の2014年以降、
・早川芦安連絡道路
・静岡市への県道道路トンネル設置
・長野県中川村での道路改良工事(トンネル新設と大規模盛土道路)
が次々登場してきた。これらはいずれもリニア本体工事にむけての準備工事というタテマエになっているのだが、それにより2027年開業というスケジュールにどう影響するのかという説明は一度もない。
このほか大掛かりな付帯工事として
・大井川の導水路設置
・豊丘村変電施設
・甲府盆地への送電線設置
というものも2014年以降に登場してきた。これらによるスケジュールや資金繰りへの影響も不明である。
つまり「2027年名古屋開業」というのは、具体的な工事スケジュールが決まる前に決めたものですから、JR東海自身がそれに縛られねばならぬというのは奇妙な話ですし、地元としては、それに付き合わねばならぬ義務もないと思うのであります。