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Channel: リニア中央新幹線 南アルプスに穴を開けちゃっていいのかい?
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早川町雨畑ダムには堆砂がいっぱい

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前回のブログでも少し触れましたが、駿河湾特産のサクラエビ資源量が激減したことと、駿河湾に注ぐ富士川の水質との関係を疑う声がでており、元日から静岡新聞で連載記事が組まれています。

元日の第1回目は、富士川を濁らせている原因とされる山梨県早川町の雨畑ダムでの堆砂問題を取り上げていましたが、これがなかなか興味深い記事でした。
イメージ 1
ネット配信されていない記事ですので読めないサイズにしてあります。悪しからず。 

ブログ作者としては、ダム堆砂・濁水とサクラエビ資源量との関係については分かりませんが、普段取り上げられることの少ない隣県の山深い地域の事情を知ることのできる貴重な記事です。

記事のポイント、
●雨畑ダムを管理するのは東京都の某企業。
●もともと崩れやすい地質で堆砂が進んでいた。2011年秋の台風で大量の土砂が流れ込み、2018年の台風24号では川床が4mも上昇。ダム上流の集落では浸水被害が発生。
●現在も堆砂の除去は進んでいない。
●ダムからの濁水には富士川下流部の漁協も困っている。

記事では企業名は伏せられていますが、こちらの企業です。

雨畑ダムの堆砂に興味をもったので調べてみましたけど、どうやら堆砂の激しいダムとして全国的に有名らしく、少し古いですが、次のような数値が見つかりました。
総貯水容量:1365万立米
堆砂容量:600万立米
平成27年度堆砂量:1270.4万立米
 
水源開発問題全国連絡会のホームページより
同会が国土交通省へ情報公開請求を行って開示された資料による 

ところで、ダム堆砂は厄介者ですけど、見方を変えれば建設資材でもあります。現に雨畑開発事業協同組合というグループが堆砂を採取・販売しているようです。
http://www.chuokai-yamanashi.or.jp/union/u04
いつの話か分かりませんが、年間50万立米程度を採取しているとのことです。


ここで連想してしまったのがリニア中央新幹線絡みの話。

悪いクセです・・・。

平成26年(2014年)、山梨県は早川町北部と南アルプス市芦安地区とを結ぶ道路計画の事業化を決定しました。そのときの資料は次のようなものです。
イメージ 2
左上のほうにご注目頂きたいのですが、「建設コストについては、リニア建設工事の葉制度を盛土材料として有効活用することにより削減を図ることとした。」とあります。

ここが何とも引っかかります。

中央新幹線整備事業の環境影響評価書によると、山梨県からの情報として、この道路盛土に使う発生土量は120万立米を見込んでいるとのこと。

平成26年当時、町内の雨畑ダムにはその10倍もの砂利が埋まっていました。しかも厄介者として。

なんでこれを使わないのでしょう? 

早川町は隆起著しい南アルプスの東斜面にあたり、年間降水量が多く、糸魚川静岡構造線にともない地質がぜい弱であるため、あちこちに大規模な崩壊地があります。七面山のナナイタガレや布引山南面の大崩壊地は静岡の市街地周辺からも遠望できるほどです。山崩れが多く、常に山から膨大な量の土砂が押し寄せています。言い換えれば盛土材料には事欠かないし、それを販売する産業も成立している。

そんな地域で”わざわざ”リニア発生土を使わねば道路を造れない…というのは、かなり苦しい説明じゃないかと思います。


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