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Channel: リニア中央新幹線 南アルプスに穴を開けちゃっていいのかい?
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バランス感覚

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●NHK山梨によると、山梨県南アルプス市で、リニアの予定ルートとなっている地区の住民およぼ250人が、住環境の悪化は避けられないとして、JR東海に工事の差し止めを求める裁判を起こす方針を決めたそうです。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kofu/20190205/1040005535.html 

ところで同日、中部横断自動車道の新区間の供用日が来月10日になると発表されました。地元から喜びの声が伝わってくるなどしています。



同じ地区を通る高架橋ですが、実に対照的な反応です。

工事による騒音やダンプ公害の様相、高架橋の規模や発生土量は、リニアも中部横断道も大差ないと思われます。それにも関わらず、かたや反対運動、かたや(表向きは)大歓迎。

これは、全く事情を知らぬ立場から見れば奇異に感じるかもしれません。

・・・ずっとリニア計画に関心をもってきた人間としては、このように対照的な反応が起こることは、ある程度予想がつきます。

・自分達の役に立つものと、そうとは考えにくいもの
・ある程度周囲の状況に配慮してルート設定されるものと、そうでないもの
・説明が丁寧なものと、ゴリ押し/ヘタクソなもの
・前例があるものと、前代未聞なもの
・地元の意向を聞いてくれるものと、そうでないもの

これはあくまでブログ作者の想像です。実際に住民の方々の思いについては、ご本人にしか分かりません。

昔の新幹線反対運動を引き合いにして、やれ金目当てだの、怪しげな活動家が暗躍しているだのという憶測を生みかねない。ましてネットを通じて好き勝手に発言できる時代(自分もそうだけど)だから、沖縄の米軍基地問題のごとくムチャクチャな誹謗中傷も生まれかねない。


心配しすぎかもしれませんが、「夢のプロジェクト」に異議を唱える以上、そうせざるを得ない事情について、もっと積極的に発信されたほうがよろしいのではないかと思いました。

・・・余計なおせっかいです。



●最近、長崎県で、九州新幹線の久山トンネル(諫早市-長崎市)工事により一部地区の水源が涸れ、生活や農業に深刻な影響を及ぼしているという報道がありました。

工事を行っているのは独立行政法人の鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)です。

このニュースを目にして、鉄道・運輸機構は、工事に先立ち、地下水への影響についてどのように予測し、どのような対策や説明をしていたのかという点が非常に気になりました。つまり九州新幹線のアセス評価書を見たかったのです。

・・・ところが、鉄道・運輸機構のホームページには、渇水の起きた諫早市-長崎市間に該当する区間の評価書は掲載されていません。
https://www.jrtt.go.jp/02business/construction/const-PksyN.html
(載っているのは複線化事業区間の評価書と、武雄温泉-長崎間についての平成27~28年度の事後調査報告書)
どうも、この区間のアセスは2002年に終了し、その情報を今となっては確認できないようなのです。
(参考 九州新幹線アセス手続きの流れ

そういえば、先に述べた中部横断自動車道にしても、工事はまだ続いているのにアセス図書はネット公開されていません。それどころか公共の図書館に納められていないことから県民が容易に閲覧することもできません。

一方で、2014年12月に着工した中央新幹線の場合、現在でもアセス図書をJR東海のホームページで閲覧することが可能です。

したがってJR東海のアセスは、内容自体はものすご~く不備が多いし論理的にデタラメなことが多く書いてあるのだけど、「住民等によるアセス図書へのアクセス」という点に限れば、他の事業よりははるかにマシじゃないかという気がするのです。
別にリニア計画自体を肯定するつもりはありませんが、この点だけは評価できるかと思います。



●南アルプス地域の環境保全を巡り、静岡県とJR東海との議論が平行線をたどっています。

確かにJR東海の環境保全に対する姿勢には、おおいに問題があります。

しかし一方で、そもそも問題をこじらせたのは川勝知事のほうかもしれません。実は2010年の第5回中央新幹線小委員会で、川勝知事がこんな資料を国土交通省に提出していたのです。2010年つまりアセス開始前は、静岡県はリニア大歓迎だったのですね。

イメージ 1

もちろん、当時はアセスの開始前だったので、環境への影響は見通せなかったという理屈は成り立ちます(水資源調査を容認していたけど)。

しかし、態度が変化したことについての説明が不足していると感じます。これでは、「単に見返りを求めているだけ」という批判は止まぬでしょう。




いろいろなところでバランス感覚が求められているなぁと感じております。







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