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Channel: リニア中央新幹線 南アルプスに穴を開けちゃっていいのかい?
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国立公園拡張構想も国策である

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ここのところ、愛知県の大村知事の発言が静岡県内のニュースでも取り上げられるようになってきました。

静岡県の川勝知事の言動にえらくご立腹のようですけど、焦っているんじゃないのでしょうか? 

2011年、国土交通大臣の諮問機関(中央新幹線小委員会)は、中央新幹線は、南アルプスルートが妥当だと判断したわけですが、このままだと、その正当性が疑われつつあるのを察したのかな?

大村知事やJR東海は、国土交通大臣の調整を求めています。国交省も前向きな姿勢を見せていると報道されてます。

しかし今頃になって国土交通省が調整に乗り出すとすれば、それは南アルプスルートを決める際に
①鉄道関係の部署と河川関係の部署という、国土交通省内部での折衝が不十分だった?
②環境省の意向を軽視していた?
③静岡県の意向を無視していた?
ことを意味するかもしれません。リニア計画の無計画ぶりを象徴するような話です。

あくまで推測ですが、鉄道・道路事業で河川を横断するルートを検討する際には、正式決定の前に、あらかじめ当該する河川管理者もしくは河川行政をつかさどる部署(国土交通省水管理・国土保全局)に対し、法制度や技術面で実現が可能かどうかについて水面下で協議しているものかと思います。

事業を始めてから法的なクリアは絶望的なことが判明した…なんてアホな事態を、優秀なエリート官僚の方々が招くとは思えませんので…。

仮にリニア計画において、建設指示(2011年5月)までの間に国・県・JR東海との間で協議がなされていて、河川法をクリアできる案が生まれていたと仮定すれば、JR東海はそれを環境影響評価準備書(2013年9月)に正々堂々と書いていればよく、とっくの昔に工事は始まっていたはずです。

しかし準備書段階では具体的な環境保全措置が示されませんでした。

いまだ堂々巡りである状況をみると、リニア計画は静岡県だけでなく国土交通省水管理・国土保全局の了承も得られていないのではないでしょうか

◇   ◇   ◇   ◇   ◇ 

また大村知事は国の調整を求めていますが、「国」といっても、リニア計画には国土交通省だけでなはく環境省も関わってきました。

2010年12月、国土交通大臣の諮問機関である中央新幹線小委員会は「南アルプスルートがのぞましい」とする中間取りまとめ案を発表し、同時にパブリックコメントを受け付けました。

このとき、パブリックコメントに対して環境省が意見を出しています。
ちなみにパブコメ結果が発表された翌年2月15日の議事録を見ると、委員がかなり驚いているような印象を受けます。 
http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s304_sinkansen01_past.html

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環境省意見には
南アルプスルート上にある赤石山脈及び巨摩山地(中略)は、一部が南アルプス国立公園、県立自然公園に指定されているほか、指定地域外についても、現在、国立公園の候補地として検討を進めていることから、これらの地域にも影響を及ぼすことのないようにするべきである
と書かれています。大井川上流部は、まさしく「国立公園の候補地として検討を進めている」地域になります。

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しかし結局、小委員会は南アルプスの中でも南寄りの、大井川流域を貫くルートを選定します。

2019年現在、そのルートは大井川の環境に取り返しのつかない影響を及ぼす危険性があるとの認識で静岡県側は一致しています。

国立公園候補地に、そのような影響を及ぼすべきでないと2010年時点で指摘していた環境省意見について、国土交通省はどのように検討したのでしょうか。

大村知事が「国の調整を…」とおっしゃるのなら、当然環境省にも出てもらわねばなりません。 


なお国立公園拡張計画は牛歩の歩みで進められており、最近では静岡県川根本町にも打診があったそうです。


上に掲げた図について補足説明。

環境省のページからは既に削除されているが、まだウェブ上には残っているようである。

2004年2月、生物多様性条約第7回締約国会議において保護地域作業計画が決議された。これは代表的な生態系を網羅した保護地域ネットワークの確立が目標とされており、このため「2009年までに、国あるいは地域レベルのギャップ分析により抽出された保護地域を選定する」という目標が掲げられた。


その選定作業が国立・国定公園総点検事業であった。結果は2010年10月4日に公表され、その中で南アルプス周辺地域も国立公園区域とすべきとされている。国交省の小委員会が南アルプスルートが望ましいとの見解を示した16日前のことであった

国立・国定公園総点検事業の結果は、同年10月11~15日に愛知県名古屋市で開かれた際物多様性条約第10回会議(COP10)で発表された。南アルプスをさっさとぶち抜け、と述べているのは愛知県知事だけど、その愛知県で開かれた国際会議で、国が南アルプスの保護強化を述べていたのだから皮肉である。

リニア事業については、環境省から4つの意見書が出されているが、国立公園候補地への影響を最小限にとどめよ、という点は一貫している。リニア計画が国策ならば、国立公園拡張構想もまた国策である



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