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Channel: リニア中央新幹線 南アルプスに穴を開けちゃっていいのかい?
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どこの誰がリニアを環境対策に有効だと考えてるんだ?

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静岡県での審議に提出された資料の検討を続けようと思ったけど、唐突にぶっ飛んだ文書が出現してびっくらこいたので、そちらを紹介する。

6月6日に都内で開かれた「2019年度リニア中央新幹線建設促進期成同盟会総会」の決議文が公開された。

http://www.linear-chuo-shinkansen-cpf.gr.jp/topicks20190606.html


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赤線のところにご注目頂きたい。

リニア中央新幹線はエネルギー問題、環境問題においても、優れた特性をもつ大量高速交通機関として期待されている。 

とアピールしている。

さんざん繰り返してきた経済効果とか、交流人口の増大とか、新たな産業の創出とか、地域活性化とか、そういう面をアピールするのなら理解できる。

けれど、どこの誰が、エネルギー問題や環境問題への対策としてリニア中央新幹線に期待してるのだ???

マトモに取り合うのもバカらしいけど、一応、過去の資料をおさらいしてみる。

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中央新幹線小委員会の答申では、エネルギー効率は在来型新幹線のほうに軍配を上げていた。

いっぽう、答申に添えられた参考資料には「自動車・新幹線からのシフトでトータルでの排出量を考えるべきではないか」という一文があった。これが決議文の根拠かもしれないが、あくまで疑問形であった。
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後々の環境アセスメントでは、JR東海は、答申通りに「航空機利用者は全てリニアに移行するため、旅行者数は増えてもトータルのCO2排出量は航空機がある場合と変わらない」という理屈を生み出している。
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しかし、前提条件に様々な疑問がつけられ―
①航空便全廃という前提。
②大部分の原発が再稼動している前提。
③リニアの乗客一人当たり温室効果ガス排出量は東海道新幹線N700系の約4倍。すなわちJR東海という会社としては現状より大幅にエネルギー消費を増やす前提。

結局、環境大臣意見では「これほどのエネルギー需要が増えることは看過できない」とされてしまったのであった。
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政府としても、超電導リニア方式によるエネルギー消費の増加は問題だと認識しているのである。

一応、理屈のうえでは、リニアが走行するための電力の大半が再生可能エネルギーでまかなわれ、なおかつ空路が全廃され、温室効果ガスの排出量が大幅に減るという状況が考えられなくもない。決議文はそこに拠っているのかもしれない。

けれど、常識的にはバランスを考えるべきであろう。

<環境面の淡い期待>
・上手くやれば温室効果ガス排出量を抑えつつ経済性成長ができるかもしれない

<環境面での確実なデメリット>
・下手すれば温室効果ガス排出量が大幅に増加
・水循環を断ち切る(⇒復元不可能/生態系破壊と水源枯渇のリスク)
・膨大な発生土処分(⇒生態系破壊、景観破壊、土砂災害リスク増大のリスク)
・騒音(世界に前例がない)
・日照問題(高架橋+土管フード=新幹線以上)
・建設工事に伴う公害
などなど




この決議文に腹が立つのは、これを書いたのが既成同盟会すなわち「沿線都県」ということである。

目下、環境問題への懸念から工事が遅れつつある。同盟会未加盟の静岡県は別としても、長野県での発生土処理問題と水問題、山梨県での騒音対策問題や日照問題なども、解決の見通しは立っていない。環境問題は顕在化しつつある。

それにもかかわらず、このタイミングで「環境問題においても、優れた特性をもつ大量高速交通機関として期待されている」という表現である。沿線都県は住民の受ける環境問題を把握してないという意味にとれることに気付かなかったのだろうか?

この無神経さが腹立たしい。



 

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