前回のブログで書いたように、週刊新潮(の
リニア中央新幹線トンネル工事にストップをかける静岡県知事の「思惑」 7月19日
という記事はフェイクニュースだと思う。
そういえば、その前にも同じような記事があった。
東洋経済 ONLINE 2019年7月8日
リニアでJR東海と対立、静岡県の「本当の狙い」
水資源問題で工事認めず、「代償」は空港駅?
https://toyokeizai.net/articles/-/290647
リニアでJR東海と対立、静岡県の「本当の狙い」
水資源問題で工事認めず、「代償」は空港駅?
https://toyokeizai.net/articles/-/290647
さらに今日になって、またまた同じような記事が出てきた。
ITメディア ビジネスオンライン 2019年7月23日
静岡空港新駅の設置が「交換条件」か:リニア建設を阻む静岡県――川勝知事の「禅問答」がもたらす、これだけの弊害
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1907/23/news015.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=facebook
静岡空港新駅の設置が「交換条件」か:リニア建設を阻む静岡県――川勝知事の「禅問答」がもたらす、これだけの弊害
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1907/23/news015.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=facebook
これもまたとんでもない記事だと思う。
新潮の記事は、ある意味で新潮らしいといえば新潮らしい。しかしこちらの記事は名の通った「文筆家」によるものである。その割には、リニア計画について何も知らずに文章を書いたのではないか、という気がしてならない。
●静岡県が環境保全を求めるのは言い掛かりみたいなものだと主張しているが、なぜそう感じたのかは不明である。
●手続き状況を把握していない。
●環境問題絡みでの静岡県に対する批判で始まっているが、環境影響評価書(つまりJR東海の主張)の記述が妥当であるとも主張していない。つまり資料に目を通していない。
●途中で「リニアへの誤解を解く」ような内容になるが、別に誤解がリニア建設を「妨げている」わけではない。水問題のほか、発生土処分、騒音、日照問題、ダンプ公害、立ち退き、自然破壊、景観破壊などリアルな問題が計画を妨げているのである。文筆家といいながら、リニアの建設されるところに血の通った人間が生活していることを想像できないのであろうか。
●「リニアはエコ」と主張している。その根拠は山梨実験センターのホームページによるらしい。
確かに航空機よりは一人当たり温室効果ガス排出量は少ないけど、乗客の大部分は東海道新幹線からのシフトを見込んでいるし、原発稼働中の前提で試算されているため省エネ効果は疑わしい。そればかりか、環境影響評価書への大臣意見では「これほどのエネルギー需要が増えることは看過できない」と喝破されたのである。仮に省エネが見込めるとしても、建設に伴う環境破壊は甚大であって釣り合いがとれない。
というわけで、さすがにリニア推進関係者の間でも「リニアはエコ」なんてことは軽々しく言えなくなり、いまだに主張しているのは、既成同盟会ぐらいである。リニアの優位性を主張するために、JR東海の公式資料ではなく実験センターの宣伝を用いるというのは異例だと思う(私としては初めて見た)。
物書きなら、せめて資料にあたる作業ぐらいはサボらないでほしい。