ここ一月あまり、リニア関連記事検証コーナーのようになってしまってますが、またも8月8日読売新聞朝刊に気になる記事がありました。
(静岡県版だけに掲載された記事かもしれません。)
(静岡県版だけに掲載された記事かもしれません。)
「完全な対策 限界ある」 検討委・名大教授
JR東海が設置した大井川水資源検討委員会の委員として、リニアの建設が大井川の水量や環境に与える影響を議論した戸田祐嗣・名古屋大学教授(河川工学)に話を聞いた。
静岡工区のトンネルで生じた湧水については大井川の減水分を導水路トンネルで戻すという結論が出た。
工事の影響を把握できるようなモニタリング(継続監視)計画を立て、工事を進めながら戻す量を判断していく想定だったが、最近になって県はトンネルの湧水を全て大井川に戻すようにJR東海に強く要求するようになった。
大井川が流域の住民にとって非常に重要であることは理解できるが、県はその後も詳細計画を求めるなど、徐々に交渉のハードルを上げているように映る。
地形や地質が複雑な南アルプスの工事は実際に進めた上でないと分からない部分もあり、現段階で網羅的に完全な対策を明らかにするのには限界がある。
2014年8月に環境影響評価手続きが終了しました。しかし大井川で流量減少が予想されたことに対して、JR東海は具体的な環境保全措置を評価書に記述しないままでした。
2014年12月、JR東海は「大井川水資源検討委員会」を自主的に設置し、環境保全措置の手法を議論し始めます。議事概要によれば、JR東海からの提案を、JR東海が招集した有識者が検討してゆくという方式であったようです。静岡県・静岡市がオブザーバーとして出席してますが、発言資格があったかどうかは分かりません。翌2015年11月の大4回委員会で、導水路案を基本とするとの結論が出たようです。県民に正式に公表されたのは2017年1月17日です。その妥当性についてはまだ議論が続いています。
記事には「静岡工区のトンネルで生じた湧水については大井川の減水分を導水路トンネルで戻すという結論が出た。」とあります。経緯を知らなければ、導水路案で決着したかのように思ってしまうかもしれませんが、あくまでJR東海の設置した委員会としての結論が導水路案になったということであって、地元自治体や利水者および県民の合意が得られているわけではありません。
読者に誤解をもたらす表現だと感じました。
「最近になって県はトンネルの湧水を全て大井川に戻すようにJR東海に強く要求するようになった。」
これも誤解されています。
こちらは環境影響評価準備書に対する県知事意見と事業者見解です(評価書より複製)。
県知事意見が事業者に提出されたのは2014年3月25日です。はっきりと「トンネルにおいて本県境界内に発生した湧水は、工事中及び供用後において、水質および水温等に問題が無いことを確認した上で、全て現位置付近へ戻すこと。」と書いてあります。全量を戻すことは導水路案の出てくる前から要求しています。
県はその後も詳細計画を求めるなど、徐々に交渉のハードルを上げているように映る
⇒事業者側が詳細な計画を提示してこないのだから、事業計画を詰めてゆくのは当然じゃないのでしょうか・・・?
この先生のコメントは、どうも先月の週刊新潮のフェイク記事によく似ているのですが、なにか関係あるのでしょうか?
⇒7月20日 当ブログの記事
「デイリー新潮 これはフェイクニュースだろう」