今日は朝刊を開いて驚きました。
南アルプス長大トンネル、静岡県部分からの残土発生量は300万立方メートル。
斜坑は2本。
環境アセスメントは環境した事業案を検討するものですが、これのどこが、「環境配慮」なのでしょうか?
このブログでは、今まで残土の発生量は200万立方メートル程度(東京ドーム1.5個分)と見込み、それでもきわめて量が多いと懸念していましたが、実際にはその1.5倍にもなるそうです。
静岡県民の方々に分かりやす例えはないかと考えておりましたが…。
以下、静岡ローカルな話。
静岡市の静岡駅南側、市街地のど真ん中に八幡山という小高い山があります。標高は64m程度です。
国土地理院発行の1万分の1地形図と方眼紙を用いてこの山の体積を調べてみました。
その結果、おおよそ178万5000立方メートルという値がでました。
ただ実物の八幡山は木々に覆われていますので、実際の見た目は地図上から推定されるよりも大きく感ずるはずです。それゆえ、八幡山の木々を含めた容積は、200万立方メートル程度になると思われます。
リニアのトンネルから南アルプス山奥に掘り出される岩の容積は、八幡山1個半に匹敵する。
いまいち分かりにくいかな…。
静岡市街地のど真ん中に駿府城公園というのがあります。かつて徳川家康が西国大名に築かせたお城です。もとは3重の堀に囲まれてましたが、現在では外側2重の掘だけが残されています。内堀の内側は公園に、内堀と外堀の間は公共施設や学校等になっています。
この外堀(水落の交番-西草深町の交差点-市立病院-セノバ前-水落の交番)は、大まかに見ると1辺約700mの正方形です。それゆえ、外堀の内側を厚さ6mで埋めつくすと、300万立方メートルとなります。
駿府城外堀の石垣内側の容積に相当するともいえます。
とにかく、300万立方メートルというのは、「山奥のさらに奥の谷底」に掘り出されることを考えると、あまりにもに多いわけです。
これをJR東海の方針通りに現地処分すると、
①大井川の河原が埋め尽くされる
②小さな沢はほとんど消滅する
③中規模なダムが十数個造られる
②小さな沢はほとんど消滅する
③中規模なダムが十数個造られる
のいずれかにならざるを得ません。
さらに「斜坑を2本掘る」というのは、リニアの走る本線トンネルのほかに、長さ4㎞以上はあろう長大トンネルを2本掘るということを意味します。作業用トンネルとはいえ、大型車両あるいはトロッコの通行する本格的なトンネルです。
静岡市近辺でいうと、日本坂トンネルの倍の長さのトンネルが2本追加されるわけです。
2㎞程度のトンネルでも水枯れが発生するのが通例なのに、いくつもの谷をくぐるトンネルを3本も掘ったら、ひどい水枯れを引き起こし、河川の生態系が大ダメージを受けかねません。
Wikipedia から拝借した写真 塩見岳付近から荒川三山
中央の荒川岳手前の深い谷が大井川源流の西俣
リニアのトンネルはこの西俣直下を沢に沿って貫き、斜坑も静岡県部分だけで2本掘られる
現段階で分かっている断片的な情報だけでも、亜高山地帯やその周辺としては、とんでもない前代未聞の自然破壊となることは確実です。大井川現流域の河川生態系は壊滅的なダメージを免れません。
どういう環境配慮の結果として、このような案が出されたのでしょう?