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Channel: リニア中央新幹線 南アルプスに穴を開けちゃっていいのかい?
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リニア環境アセス準備書 静岡県版の問題点を振り返る

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昨年11月頃より、リニア中央新幹線の環境影響評価準備書・静岡県版の問題点を書き続けています。あまりにひどい内容であり、問題点が多方面にわたっていて何が何だか分からなくなってきたので、ちょっとここで整理。
 
私の気付いたこと
静岡市・県の審議会で問題視されている点
準備書に寄せられた意見・質問
をまとめてあります。
 
1.調査・評価方法のおかしさ・疑問
 (1)騒音の現地調査…川のそばで調査されたとみられ、川音が現地の騒音とされている
 (2)大井川の流量について、予測において用いられた式で示した理論上の現況値と、実測値との間に大きな差がある 
 (3)現地調査において、これまで南アルプスでは記録されていない植物が複数”確認”されている
 (4)大量の車両の通行する林道東俣線沿いで生物相の調査が行われたが、なぜか鳥類だけ対象から外されている
 (5)現地調査の最中に林道の改修工事を行っている
 (6)用いられた地図が縮尺が不適当であり、詳細な様子が分からない
 (7)県境で工事を予定しているが、動植物を保全対象とする基準が県によって異なる
 (8)各種予測式や試算結果に対し、その妥当性の検証が行われていない
 (9)合理的な説明もなく、環境影響評価の対象地域は改変予定地から600m以内に限定されている。
 
2.客観的に準備書を審査するのに必要な、最低限の資料が開示されていない
 (1)土壌に関するデータ
 (2)群落組成表
 (3)ボーリング調査結果
 (4)猛きん類の飛行ルートや餌場、営巣木など、希少動物の行動パターンと改変予定地との位置関係
 (5)希少植物の確認地点と改変予定地との位置関係
 (6)動植物ごとの、それぞれの生息環境に関するデータと事業との関係
 (7)微地形に関するデータ
 (8)湧水、流水の分布
 (10)改変箇所の選定過程
 (11)各種現地調査の時間・場所・期間・人数等の情報
 (12)現時点で想定している工事内容の詳細
 (13)東俣林道沿いでの生物調査結果
 
3. 本来は評価対象にされるべきものが、ヘリクツによって(■)、あるいは説明もなく(▲)評価対象より外されている
 (1)河川や谷の生態系(■)
 (2)残土捨て場の存在が環境全般に与える影響(▲)
 (3)南アルプス国立公園、奥大井県立自然公園で採取・損傷の禁じられている動植物(▲)
 (4)工事用道路トンネル(長さ約10㎞?)の存在が環境に与える影響(▲)
 (5)方法書において「重要な種」にあげられた動植物のうち、合計一月足らずの現地調査で確認されなかったもの全て(■)。ヤマトイワナ、アカイシサンショウウオ等、地元としては当然生息しているという認識にある希少動植物もしかり。
 (6)登山者に対する騒音の影響(▲)
 (7)リニア供用時の温室効果ガス排出量(■)
 
4. 理由を説明したデータや具体的な対策を記載していないのに、主観的な判断で「影響はない/小さい」という評価に至っている。
 (1)イヌワシ、クマタカをはじめとする希少動植物に与える影響
 (2)斜坑、工事施工ヤードの存在が景観に与える影響
 (3)残土中に有害物質が含まれる可能性
 (4)360万立方メートルの残土の処分方法
 (5)大井川の流量減少が環境全般に与える影響
 (6)リニアの走行によるエネルギー消費の詳細
 (7)川の濁り 
 
5. 環境影響評価の”標準手法”に選定されていないため、明らかに環境に悪影響が出ることや安全性に疑問のあることに対し、丁寧な説明がない
 (1)残土捨て場の安全性…ひとつは谷底より600mも高い伝付峠北方稜線上の地すべり。もうひとつは千枚岳東面の巨大崩壊地直下
 (2)外来種搬入対策が示されていない
 (3)ロードキル(動物の路上轢死)対策が示されていない
 (4)工事・作業員用の水源
 (5)無人地帯で大人数が長期間住み続けること
 (6)地形・気候条件、求められる水準から、工事終了後の緑化が甚だしく困難であること
 (7)ユネスコ・生物圏保存地域(エコパーク)登録に与える影響
 (8)エコパークに登録された場合の利用者、登山者、釣り客に対する配慮
 (9)未舗装の東俣林道を改修することによる影響
 (10)10年余の工事期間中に起こりうる災害への対策
 (11)トンネル運用後における、緊急時の非難・救助体制
 (12)南アルプスの隆起速度に関する認識が、地形学の定説とかけ離れた過小評価となっている。
 
6.環境保全対策に非現実的な案が多い
 (1)工事規模を徐々に大きくすることによって猛きん類の馴化を図る
→工期が示されていないので実現性が疑わしい。そもそも可能かどうかもわからない。
 (2)発生残土360万㎥は9割リサイクルする
→可能なら残土捨て場は不要なはず。そもそも具体的な案が示されていない。
 (3)”環境に配慮して”合計10㎞の作業用道路トンネルを掘る
→残土の増加、水脈の切断など明らかに環境への大きな負担
 (4)希少な植物を移植する
→移植先の生態系に与える影響が考慮されていないし、菌類と共生するラン類などは移植可能かどうかもわからない。
 (5)大井川の流量減少が起きた場合はポンプでくみ上げる
→恒久的なものではないし、常時2万kW近い電力を消費する。
 (6)標高2000mの残土捨て場を緑化する
→気候を考慮していない。
 (7)残土捨て場からの流出を防ぐために巨大な壁をつくる
→明らかに景観を損ねる

7.環境影響評価の進め方そのものの問題
 (1)あらゆる面において、どのような検討過程を経て計画が決定されてきたのかが分からない。
 (2)パブリックコメント、配慮書、方法書、準備書各段階において寄せられた意見がどのように反映されたのか分からない。
 (3)一般市民の意見を受け付ける機会がほとんどなかった(何かあれば事務所に来いというが、平日の日中しか開いていない)。
 (4)詳細な事業計画がいつまでたっても開示されない
 (5)工事は東京-名古屋286㎞に及ぶが、その中で南アルプスという場所が環境保全上どのような位置づけにあると見なしているのか、さっぱりわからない。
 


1月21日火曜日午後6時~8時30分に、県条例に基づき、リニア中央新幹線計画の環境影響評価に対する公聴会が開かれます。
詳しくはこちら(県庁のホームページ)

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